不動産相続における登録免許税の基本的な計算方法
相続した不動産にかかる登録免許税の税額は、基本的に次のように計算します。
登録免許税額 = (課税標準)×(税率)
登録免許税の課税標準となる金額は、申請する登記の種類によって変わります。売買や相続の登記のように不動産の価額が課税標準になる場合もあれば、債権金額による場合、あるいは不動産の個数による場合もあります。
計算された登録免許税額に100円未満の端数があるときは切り捨てとなり、計算された登録額が1,000円未満である時は、登録免許税は1,000円とされます。
不動産登記の種類による課税標準と登録免許税の税率は、下の表の通りです。一部の登録免許税の税率については、期間限定の軽減措置が取られています。
不動産の登記事項 | 登録免許税の課税標準 | 登録免許税の税率 |
所有権移転登記
・土地の売買
・建物の売買
・相続
・遺贈・贈与 |
固定資産税評価額 |
・土地の売買 1,000分の20 (2019年3月31日までの軽減税率として1,000分の15)
・建物の売買 1,000分の20 (2020年3月31日までの軽減税率として、一定条件を満たす建物に限り1,000分の3)
・相続 1,000分の4
・遺贈・贈与 1,000分の20
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所有権保存登記 | 法務局の認定価格 | 1,000分の4
(2020年3月31日までの軽減税率として、一定条件を満たす新築建物に限り1,000分の1.5) |
抵当権設定登記 | 債権金額または極度金額 | 1,000分の4
(2020年3月31日までの軽減税率として、一定条件を満たす建物に限り1,000分の1) |
相続を原因とする所有権移転登記における登録免許税について
不動産を相続した際の登録免許税の課税標準は、固定資産課税台帳にある「固定資産税評価額」です。固定資産税評価額とは、市区町村が発行する課税証明書などで「本年度価格」や「評価額」として記載されている価格のことです。
よく「固定資産税課税標準額」と混同されてしまうことがありますが、これは登録免許税の課税標準とは別物ですので注意しましょう。
もし、固定資産課税台帳に固定資産税評価額の価格表記がなければ、相続した不動産を管轄する登記所が認定した価額が、登録免許税の課税標準とされます。
課税標準においては、1,000円未満の端数は切り捨てます。もし価格が1,000円未満である場合は、課税標準は1,000円になります。
売買を原因とする所有権移転登記における登録免許税について
相続の時と同様、固定資産課税台帳にある「固定資産税評価額」が課税標準となります。
税率は上の表の通り、1,000分の2となります。
なお,個人が一定の要件を満たす住宅用家屋を購入し、市区町村長などが発行する証明書を添付して購入から1年以内に所有権移転登記をした場合は、登録免許税の税率が1,000分の1から1,000分の3までに軽減されるという優遇制度があります。
所有権保存登記における登録免許税について
所有権保存登記においてもやはり、固定資産課税台帳にある「固定資産税評価額」が課税標準となります。
税率は上の表の通り、1,000分の4となります。
なお,個人が一定の期日までに住宅用家屋を新築した場合、または未使用などの一定要件を満たす住宅用家屋を購入した場合で、市区町村長などが発行する証明書を添付して新築または購入から1年以内に所有権保存登記をした場合は、登録免許税の税率が1,000分の1または1,000分の1.5までに軽減されるという優遇制度があります。
抵当権(または根抵当権)設定登記における登録免許税について
債権金額(根抵当権の場合は極度額)が課税標準となります。他の登記と同様1,000円未満の端数は切り捨て、金額が1,000円未満の場合は1,000円として計算されます。
税率は上の表の通り、1,000分の4となります。
なお、個人が一定の要件を満たす住宅用家屋の購入資金の借入れのために、抵当権を設定する場合などは、税率が1,000分の1に軽減されるという優遇制度があります。
まとめ
不動産を相続した際の登録免許税は、原則として現金での納付後、その領収証書を登記の申請書に貼り付けるという流れで納付します。登記をする以上必ずかかってしまう登録免許税ですが、要件を満たす場合には、大幅な税額軽減も受けることができます。