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相続税が戻ってくる更正の請求とは具体的にどのようなもの?

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相続税の更正の請求とは?

更正の請求とは、なんらかの理由で相続税を多く納めすぎた場合に、正しい金額を申告することで差額を還付してもらうための請求のことをいいます。

例えば、土地の相続税評価額の計算を誤って申告していたことにより、相続税を多く納税してしまったような場合に、後から正しい相続税評価額を更正の請求によって申告することで、払いすぎた相続税の還付を受けるといったケースがあります。

また、遺産分割協議が終わらないまま相続税申告をした場合についても、遺産分割が終わった段階で更正の請求をすることで、正しい相続税額との差額の還付を受けることが可能です。

更正の請求をするために事前に必要な書類

遺産分割が終わらないまま相続税申告をする場合は、3年以内の分割見込書という書類を相続税申告する際に提出する必要があります。その後、遺産分割が確定した段階で更正の請求を行います。

遺産が未分割の状態だと、相続税を大幅に引き下げることができる「小規模宅地等の特例」などの各種特例制度を適用することができないため、相続税がかなり割高になってしまいます。

そのため、遺産分割協議が確定したら、必ず更正の請求をして、払いすぎている相続税を還付してもらう必要があるのです。

更正の請求と修正申告の違いとは?

相続税申告を修正するという意味では、修正申告という言葉の方が私たちにとって馴染みがありますが、更正の請求とは何が違うのでしょうか。

修正申告とは、本来納めるべき相続税よりも少なく申告している場合に、正しい相続税に修正して申告し、納税することをいいます。つまり、修正申告は追加で相続税を納めることになる手続きです。一方、更正の請求は相続税を返してもらう手続きであるため、目的としては真逆となっています。

間違いを直して申告することを全て「修正申告」といっているケースが多いかもしれませんが、実は更正の請求とは明確に違うので、認識の仕方に注意しましょう。

 

相続税申告をする前に相続人が死亡した場合

更正の請求については、一旦、相続税申告をした上で後から更正の請求をするという流れとなりますが、もしも、相続税申告をする前に相続人の中の誰かが死亡した場合、相続税申告はどうなるのでしょうか。

実際、夫が死亡した後に妻も短い期間で続けて死亡するケースは少なくないため、まだ相続税申告が終わらないうちから次の相続が発生してしまう可能性が考えられます。

相続税申告は1回でいい

このように相続税申告をしないまま相続人が死亡した場合、税務上は最初に死亡した被相続人から直接受け取ることになるため、相続税申告については二重に課税されるのではなく、1回だけ課税されることになります。

法務上は2回相続が発生していますが、税務上は1回で扱われるため、相続税が不利になるわけではありません。

遺産分割がもめて更正の請求が必要になることも

このように、相続手続きが終わらないまま立て続けに相続が発生することを「数次相続」といいます。

数次相続が親から子への相続であればそこまで問題ありませんが、子が配偶者の連れ子である場合には、話がややこしくなります。

例えば、再婚した両親にそれぞれ連れ子が1人いたとします。

夫が死亡して相続が発生すると、妻と夫の子が相続人となります。その後、妻が死亡して数次相続が発生すると、妻の子は妻の財産はもちろんの事、妻が相続するはずだった血の繋がらない義理の父の遺産についても相続することになるのです。

このように、立て続けに相続が発生すると揉めるケースが多く、相続税申告までに遺産分割が終わらないことがあるので、一旦未分割のまま相続税申告をした上で、後から更正の請求をせざるをえません。

遺産分割でもめていると、気がつかないうちに相続税の申告期限を過ぎてしまうこともありますので、遺産分割でもめそうな場合は早めに相続税申告をしておくことをおすすめします。

 

まとめ

相続税申告は、一般の方からすれば非常に難解な手続きですが、更正の請求となるとさらに手続きの難易度は上がります。すでに納税している相続税を返してもらう手続きである以上、税務署としては、提出された更正の請求について細かく確認するはずです。

最近では相続税の「セカンドオピニオン」として、相続税申告の更正の請求を得意として宣伝している税理士がたくさんいますので、更正の請求が必要になりそうな場合は、できるだけ税理士に依頼することをおすすめします。