相続税 2017.11.13
相続財産に関わる税金の知識
日本の採用している法定相続分課税制度においては、相続人の人数や相続分の割合を計算したうえで、相続人のおかれている状況に応じて相続税額を決めていきます。そのため、相続税の計算が他国より難しくなっています。
この記事では、相続財産と税に関して、役に立つ知識をご紹介いたします。
平成27年度の相続税改正
被相続人の死亡によって財産が相続されるときに、その相続財産に課される税のことを「相続税」といいます。相続財産に課される相続税の方式は国によっていろいろな形式があり、その中で、我が国は法定相続分課税方式を採用しています。
次に税率の高さですが、相続税の最高税率は55%で、先進国の中でもとても高い税率となっています。それだけに財産に対する節税の知識は重要だといえるでしょう。
まず知っておきたいのは、平成27年1月1日から適用されている改正の内容です。それぞれの改正内容を見ていきましょう。そこから相続財産に関わる税金の内容が分かってきます。
相続財産を受け継ぐ人に不利な税に関わる変更点
1.税率区分
それ以前、全6段階であった税率区分が8段階に増えました。相続財産1億越え3億以下が40%だったのですが、その内容に2億以下40%、3億以下45%が追加変更となりました。また、相続財産3億以上は50%だったものの上に、6億以上55%が加わりました。実質的に税金が高くなったといえます。下記に参考になる財務省の発表している表を示しましたので参考にしてください。
2.基礎控除
改正前の控除額 5000万円 + ( 1000万円 * 法定相続人の人数 )
改正後の控除額 3000万円 + ( 600万円 * 法定相続人の人数 )
改正によって、基礎控除が60%に減額され、相続税の申告の必要な方が増加しました。
参考 財務省ホームページ(http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei13/02.htm)
相続財産を受け継ぐ方に有利な税に関わる変更点
1.小規模住宅等の特例
相続財産が住宅であるときに有利です。亡くなった方が所有していた家屋に配偶者や子供が住み続ける場合に適用されます。利用することによって最大80%土地の評価額が変わります。相続財産に税がかかるかどうか不安なラインの方にはかなり有利です。
他にも事業用の家屋に住んでいる方、老人ホームに入っている方、2世帯住宅の方などにも条件によっては特例を受けることができます。なお、この制度を利用するのは必ず税務署に届け出ることが必要です。
2.未成年者控除
未成年者が財産を相続するときに一定の控除を受けることのできる制度です。
改正前は、満20歳になるまでの年数*6万円でしたが、
改正後は、満20歳になるまでの年数*10万円に代わりました。
3.障害者控除
障害者が財産を相続するときに一定の控除を受けることのできる制度です。
改正前は、85歳になるまでの年数*6万円(特別障碍者は12万円)でしたが、
改正後は、85歳になるまでの年数*10万円(特別障碍者は20万円)になりました。
相続税の計算
では実際に財産について相続税の計算を行うときの方法を見てみましょう。
遺産総額の計算
●有価証券・現金
現金や預金は額面の額でそのまま計算します。株券などは、原則的評価方式や、配当還元方式を用いて計算します。
●不動産
市役所の税務課に行き、不動産の課税評価額を確認します。小規模住宅等の特例を受けるときには申告が必要となります。
●動産
美術年間に記載のある骨董品や自動車など価値のあるものは調達価格で評価します。
●退職金や、生命保険は、非課税限度額( 500万円*相続人の人数 )を超えた額が加算となります。
以上すべての物を全て足しこんだものから、借金と葬儀費用を差し引いた額が相続財産額となります。借金で気を付けることは保証人問題です。単なる保証人では原則債務控除になりませんが、連帯保証人の場合、債務控除が受けられる可能性があります。
以上の計算の結果、財産総額が基礎控除を超えていなければ相続税はかかりません。
ただし、ぎりぎりで相続税がかからない場合や、その他の理由により、後日税務署から「相続税に関するお尋ね」という書類が送られてくることがあります。これは税務署が、相続財産が本当に非課税なのかを確認したいという意思表示をしている状態ですので、絶対に放置してはいけません。必ず送られてきた「相続税に関するお尋ね」の書面と、今回確認した書類をもって税務署に出向き、指示を受けましょう。
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