相続税 2017.11.24
相続税の計算をシュミレーションしてみよう
家族が亡くなってある程度の相続財産がある場合、相続税がどれくらいかかるのかが気になると思います。ここでは、相続税の計算について、具体的にシュミレーションしてみたいと思います。
相続税の計算シュミレーション ステップ1 課税価格の合計額を算出
相続税の計算シュミレーションでは、まず、課税価格の合計額を算出する必要があります。相続税は、相続により取得した財産(本来の相続財産)にそのまま課税されるわけではなく、本来の相続財産に加算されるものがある一方で、本来の相続財産から差し引きされるものもあります。
本来の相続財産に加算されるものとしては、みなし相続財産(①)、相続開始前3年以内に生前贈与された財産(②)があります。また、本来の相続財産から差し引きされるものとしては、非課税財産(③)、債務(④)、葬式費用(⑤)があります。
つまり、課税価格の合計額の相続税計算シュミレーションの式は、次のようになります。
課税価格の合計額=本来の相続財産+①+②-③-④-⑤
①「みなし相続財産」とは
生命保険金や死亡退職金は相続により取得するものではありませんが、相続税の計算においては、相続により取得したものとみなされ、相続財産に加算されます。
②「相続開始前3年以内の贈与財産」とは
被相続人が相続開始前3年以内に行った生前贈与については、受贈者(生前贈与を受けた人)が、本来の相続財産、みなし相続財産、相続時精算課税制度による贈与財産のいずれかを被相続人から取得している場合にのみ、相続財産に加算されます。
③「非課税財産」とは
生命保険金、死亡退職金については、それぞれ次のような非課税枠があり、非課税枠内であれば非課税財産となります。つまり、生命保険金、死亡退職金は、非課税枠を超えた分だけが、みなし相続財産として本来の相続財産に加算されます。
生命保険金の非課税枠…500万円×法定相続人の数
死亡退職金の非課税枠…500万円×法定相続人の数
非課税財産には、このほかに、墓地、墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝している物、相続人が国や地方公共団体に寄付した相続財産、被相続人の勤務先から支給を受けた弔慰金・花輪代などがあります。
④「債務」とは
被相続人の債務の額は、「債務控除」として本来の相続財産から差し引くことができます。債務控除の対象となる債務は、租税公課、公共料金、借入金、賃貸不動産の預かり敷金、保証金、未払いの医療費などになります。保証債務、遺言執行費用、相続税の申告費用などは債務控除の対象となりません。
⑤「葬式費用」とは
葬式で行う埋葬、火葬、納骨費用、寺院等に支払うお布施・戒名料等(相当程度のもの)などは本来の相続財産から差し引きできます。香典返戻費用は葬式費用に含まれません。
相続税の計算シュミレーション ステップ2 課税遺産総額の算出
相続税の計算は、課税遺産総額にもとづき行います。相続税の計算シュミレーションにおける課税遺産総額は、ステップ1で算出した課税価格の合計額から基礎控除額を差し引きして算出します。
課税遺産総額=課税価格の合計額-基礎控除額
課税価格の合計額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。
基礎控除額は次の計算式で計算します。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は
3000万円+600万円×3人=4800万円
となります。
相続税の計算シュミレーション ステップ3 相続税の総額の算出
相続税の計算シュミレーションのステップ2で算出した課税遺産総額を、法定相続人が法定相続分で相続したものと仮定して各相続人の相続税額を計算し、これを合計して相続税の総額を算出します。
例) 課税遺産総額が9000万円、相続人が被相続人の妻、長男、次男の3人の場合
課税遺産総額を法定相続分で分けると、妻4500万円、長男2250万円、次男2250万円となります。これを次の相続税速算表に当てはめて、各人の相続税額を出します。
出典:国税庁ホームページ
妻:4500万円×20%-200万円=700万円
長男:2250万円×15%-50万円=287万5000円
次男:2250万円×15%-50万円=287万5000円
相続税の総額=700万円+287万5000円×2=1275万円
相続税計算シュミレーション ステップ4 各相続人の税額の算出
相続税の計算シュミレーションにて、ステップ3で算出した相続税の総額を、各相続人が実際に相続した割合で分けます。
たとえば、ステップ3の例で、実際には妻、長男、次男がそれぞれ3分の1ずつ相続した場合、相続税の総額1275万円を3人で公平に分けることになりますから、
1275万円÷3=425万円
となり、各人の相続税額は425万円ずつとなります。
なお、実際の納税額については、さらに控除が受けられる場合があります。
たとえば、被相続人の配偶者については、「1億6000万円」または「課税価格の合計額のうち配偶者の法定相続分に相当する額」までは相続税がかかりませんから、上記の例でも妻の実際の納税額はゼロになります。
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