相続税 2017.10.02
みなし相続財産って何?
相続税の課税対象となるのは、相続や遺贈によって受け取った財産です。
ところが、中には、相続や遺贈とは関係なく、被相続人の死亡をきっかけとして一定の金銭等をもらう場合があります。
これを「みなし相続財産」と言います。
そこで今回は、みなし相続財産に関する基礎知識について解説したいと思います。
みなし相続財産は、相続税の課税対象
みなし相続財産は、厳密には相続や遺贈で取得しているものではありません。
ですが、相続税の課税にあたっては、相続財産とみなして相続税を課税することになっています。
なんだか納得できないような話ですが、相続をきっかけとして受け取っている金銭であるため、性質としては相続財産と同等と考えられているからでしょう。
なお、みなし相続財産は相続税の課税上は相続財産としてみなされますが、遺産分割協議の対象からは外れます。
この点について間違えやすいので、十分注意しましょう。
みなし相続財産の具体例
みなし相続財産の意味は理解できたかと思いますが、まだ具体的なイメージがわかない人もいることと思います。
そこでここでは、みなし相続財産の具体例を3つご紹介します。
生命保険金
被相続人が死亡したことによって支払われる生命保険金については、みなし相続財産に該当します。ただし、生命保険料については、誰が保険料を支払っていたのかによって、税金上の扱いが変わってきます。
みなし相続財産の対象となるのは、被相続人が保険料を負担していた部分についてのみです。
詳細は次の通りです。
・保険料負担者=生命保険の受取人自身の場合→所得税が課税されます
・保険料負担者=被保険者でもなく、生命保険の受取人でもない場合→贈与税が課税されます
・保険料負担者=被相続人→相続税が課税されます(みなし相続財産)
このように、生命保険金については、保険料を誰が負担していたのかによって、課税される税金が変わりますので注意しましょう。
死亡退職金
被相続人の死亡によって勤務先から支払われる死亡退職金については、みなし相続財産として課税されます。
ただし、被相続人が死亡してから3年以内に支給が確定したものに限ります。会社によっては功労金が支払われる場合もありますが、これについても同じくみなし相続財産となります。
また、会社によってはこれらとは違う呼び方をして手当金を支給する場合がありますが、みなし相続財産に該当するかどうかは、名目に関係ありません。
実質的に死亡退職金としての性質があって支給されているものについては、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。たとえそれが現金ではなく現物で支給された場合についても、価格を評価して課税財産に含める必要があります。
ちなみに、生前に退職している場合でも、その死亡退職金の支給が被相続人の死亡から3年以内に確定しているようであれば、これもみなし相続財産として相続税が課税されます。
なお、税務署は相続税申告のチェックにあたっては、被相続人はもちろんの事、相続人やそれに近い関係の人の預金口座情報過去3年分をチェックするといわれています。
生前の退職だとしても、そう簡単にはごまかすことはできないので、十分気を付けましょう。
その他
上記以外の権利で、給付事由がまだ発生していないものについてもみなし相続財産として相続税が課税されます。
みなし相続財産には、非課税枠がある
生命保険金と死亡退職金については、以下のような非課税枠があります。
500万円×法定相続人の人数=非課税限度額
よって、この金額以下であれば相続税は課税されません。
ただし、この非課税制度が利用できるのは法定相続人が取得した場合に限られます。例えば、受取人が愛人や不倫相手を指定しているような生命保険契約の場合は、非課税制度の適用はありませんので注意しましょう。
みなし相続財産に該当しないもの
みなし相続財産は、相続税の課税対象となります。
反対に、みなし相続財産に該当せず、相続税が非課税となる「非課税財産」には以下のようなものがあります。
・お墓
・仏壇
・仏像
・神棚
これら、宗教や思想信条に密接な関わり合いがあるものについては、その習慣などを尊重するという考え方から相続税は課税されません。
また、これ以外の財産であっても、相続税申告期限までに国や地方公共団体などに寄付をした場合については、その寄付をした財産について相続税は課税されません。
みなし相続財産は、相続税申告の中でも忘れられやすい項目なので、これらの知識については最低限覚えておくと良いでしょう。
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