相続税 2019.06.18

初めてでも安心できる相続税申告・納付の流れとは

被相続人が亡くなると、遺族は遺品整理や死亡に関係した諸手続きに追われます。しかし、その中でもとりわけ重要な手続きは、相続税の申告と納付です。
相続税の申告では、相続財産がどのような内訳になっており、相続税額がいくらになるのかを正確に申告しなければなりません。相続税の納付は、期限を超過することなく済ませる必要があります。では、相続税申告と納付の流れを確認してみましょう。

記事ライター:棚田行政書士

相続税申告の対象者とは

相続手続きは相続税の申告と納付を持って終了する、というイメージが広く浸透していますが、そもそも相続税は相続人全員に課せられているものではありません。

相続財産全体が相続税の基礎控除額に収まっているのであれば、相続税は課税されず相続税の申告も基本的には不要です。

平成27年に相続税の基礎控除額が引き下げられたことによって、従来は全体の4%ほどだった相続税申告の対象者の割合が跳ね上がるのではないかと懸念されていました。

しかし国税庁の調査によると、平成28年度の相続税申告者・納税者の割合は全体の8.1%ほどにとどまったということです。相続税を申告・納付しなければならないのは、極めて少数であることが分かります。

なお、小規模宅地等の特例や、配偶者控除などの一部の特例制度を利用したい場合には、納めるべき相続税が無いとしても相続税申告が必要ですので注意しましょう。申告の必要があるかどうかの判断に迷う場合には、税務署に問い合わせるのが安全策です。

 

相続税申告・納付の流れ

被相続人の財産が多額で、相続財産が基礎控除額を上回った場合には、相続税の申告と納付が必要です。

被相続人の財産状況や相続人の人数などの調査が終了し、納めるべき相続税額が決定したならば、速やかに相続税申告書を提出しましょう。

なお、相続税申告に関係する書類は全部で15種類ほどあり、添付書類や付表などを合わせるとかなり複雑な書類作成となります。

15種類の書類すべての提出が必要になる相続人はほとんどいませんが、個々の状況によっては書類の数が膨大になる場合があるでしょう。混乱してミスをしないためにも、税理士や行政書士に書類作成を依頼することも検討できます。

書類の提出先は、被相続人の死亡当時の住所地を管轄している税務署です。相続人の住所地の税務署では申告できません。

ちなみに、一般的な税金は口座引き落としや振込用紙での送金もできますが、相続税の納付は、被相続人が最後に住民票を置いていた市区町村の税務署もしくは金融機関に出向いて納付しなければならないという特徴もあります。

また、相続税の納付は全額を現金で、一括払いするのが基本です。申告は期限内に済ませていても、相続税の納付が遅れた場合には延滞税が加算されます。

しかし、相続税も他の税金と同様に延納や分納の申請が可能です。万が一、相続税の納付が困難となった場合は、速やかに手続きを行いましょう。

相続税の納付において特に注意したいのは、共同相続人間の連帯納付義務です。共同相続人は、皆で一人の被相続人の財産を分け合う関係となります。

相続税は相続人各自が受け取る財産すべてに対して課されるため、財産を受け取る相続人全員が相続税の納付義務について連帯責任を負うことになるのです。

万が一、共同相続人のうちの誰かが相続税の申告をしなかったり、納付を怠ったりすれば、他の相続人が弁済を求められる場合があります。

 

相続税の申告時期

相続税の申告は、相続開始日(被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内です。死亡したのが1月1日なら、10月1日が申告期限ということになります。

相続税の申告期限は、何かの理由によって延長できるものではありません。よくあることですが、遺産分割協議がまだ成立していないので相続税の申告はしない、というような主張は認められないのです。

期限までに申告しない場合は、無申告加算税などの追徴課税があるため、注意しなければなりません。

先に触れたように、各種特例制度を利用したい場合にも、期限内の相続税申告が必須となることがあります。申告期限を超過することにメリットは何一つありません。必ず期限を守るようにしましょう。

 

まとめ

相続税の申告と納付を間違いなく完了するには時間と労力が必要ですが、正確に行わなければなりません。

一般的な税金と比較して納税額が高額になりやすく、申告や提出方法に間違いが生じやすいため、相続税の申告と納付に関しては税務調査が入りやすくなります。

少しでも不安がある場合には、最初からすべて専門家に任せてしまうことも検討しましょう。

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