相続税 2019.09.13
相続税の税務調査が入る原因とタイミングについて
相続税申告を期日までにしたとしても、後に税務調査の対象となることがあります。税務調査となると、申告漏れを指摘され、追徴課税されるリスクがあるため、できる限り避けたいところです。
そこで今回は、相続税申告における税務調査が入る原因と、そのタイミングについて解説したいと思います。
相続税の税務調査が入る原因
相続税申告は、毎年行う確定申告とは違い、故人が生前に築き上げてきた財産すべてを対象に、適正に評価した上で相続税を計算しなければならないため、税理士であってもミスが出ることもあるほど難易度が高いです。
また、相続税は遺産が多いと税額についても高額になるため、税務署としても申告漏れを防ぐために、かなり厳しく確認してきます。
では、具体的にどのようなことが原因で税務調査の対象となるのでしょうか。
調査対象となる原因1:税理士に依頼していない
前述した通り、相続税申告は税理士であっても判断に迷う部分があるくらい、高度な申告手続きです。
そのため、初めて経験する相続税申告で、税理士に依頼せず、相続人が自力で申告書を作成して提出した場合については、かなりの確率で税務調査の対象となります。
税理士でもミスをするくらいの難易度ですので、素人である相続人本人が自ら申告してきたとなると、税務署としては「ミスがある前提」で考え、申告書を細かくチェックしてくるのです。
調査対象となる原因2:相続財産に不動産が含まれている
相続財産が現金や預金だけであれば、相続税の計算はそこまで難しくありません。
ところが、不動産が相続財産に含まれている場合は、課税対象となる金額が「相続税評価額」となるため、不動産を適正な方法によって価額に評価する必要が出てきます。
相続税評価額は、路線価や固定資産税評価額を用いて計算するだけでなく、不動産に内在する個別具体的な事情に応じて評価額を減額することがポイントとなるため、税理士でもある程度の相続税申告経験がないと、そのあたりのさじ加減がわかりません。
そのため、不動産が相続財産に含まれている場合は、税務署側も財産の評価方法が適正であるか、行き過ぎていないかなどを入念に確認するため、少しでも疑わしい場合は、税務調査の対象となってしまいます。
調査対象となる原因3:記入漏れやミスが多い
相続税申告で提出する書類は多岐にわたり、記入する箇所も沢山あります。税務署は相続税申告書が提出されると、申告書の内容をチェックする前に、記入漏れやミスがないかを先に確認していくことが多いようです。
そのため、この時点で記入漏れやミスが多発すると、申告内容自体にも疑問を持たれ、税務署側にマークされてしまい、税務調査の対象となりやすいでしょう。
自分自身で相続税申告をするのであれば、記入漏れやミスについてはできる限りなくすように、何重にもチェックする必要があります。
税務調査はいつ入る?
相続税申告の税務調査については、申告後すぐに調査に入るケースはほとんどなく、概ね1年以上経過した頃に調査の連絡がきます。
そのため、相続税申告をして、その年に何も連絡がなかったとしても油断してはいけません。
遅いと2年後くらいに税務調査の連絡をしてくることもあり、人によっては保管しておくべき書類などをなくしていたり、処分してしまったりするケースもあるため、注意が必要です。
税務調査の時効について
相続税については、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月が申告期限ですが、消滅時効としてはそこから5年です。
ただし、偽りなどの不正行為によって脱税しているような場合については、2年間時効がスタートしないため、実質的な時効は7年と考えたほうがよいでしょう。
税務調査の対象となる修正申告ではなく、払いすぎた相続税の還付を受ける更正の請求については、原則として5年で時効にかかります。
税務調査で課税される税金はいくらか
税務調査の対象となるとかなりの確率で追徴課税されると言われている相続税ですが、実際にいくらの税金が追加で発生するのでしょうか。
国税庁が平成29年に調査した情報によると、税務調査による追徴税額は全国で783億円にも上り、調査1件あたりに換算すると623万円にもなるそうです。
また、悪質な申告漏れなどに課税される重加算税については、14.3%の賦課割合でした。
まとめ
税務調査が入るとかなり高額な追徴課税が発生するため、相続税申告をする際には、できる限り相続税申告に強い税理士に依頼することをおすすめします。
相続税に強い税理士であれば、自分自身で申告するよりも適切な評価額を算出してくれるため、節税効果も考えると費用対効果はあるといえるでしょう。
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