相続税 2019.09.18

マンションを活用した相続税対策

平成27年に相続税の基礎控除額が縮小されてから、相続税対策を検討する方が増えてきました。相続税を節税する方法はいくつかありますが、中でもマンションを活用した節税対策を実施する人が多くいるようです。

そこで今回は、マンションを活用した相続税対策について解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

マンションは節税になるのか

一時期、都心部のマンションの高層階が、節税対策目的の富裕層相手にたくさん売れていましたが、そもそも、なぜマンションが節税になるのかをご存じでしょうか。

マンションが節税になる理由

相続税を計算する際には、相続税の課税対象となる価額を計算する必要があります。

預貯金については、預金残高自体が課税対象価額となりますが、マンションについては相続税評価額を別途計算する必要があるのです。

通常はマンションの時価よりも低くなるため、キャッシュで保有しているより、マンションを買って保有していた方が、相続が発生した際の相続税が節税できます。

例えば、5,000万円の預貯金があった場合、そのまま死亡して相続が発生すると5,000万円から基礎控除を除いた金額に相続税が課税されることになります。

一方で、5,000万円を使ってマンションを購入すれば、相続税評価額は時価よりも低い路線価や固定資産税評価額をベースに算出されるため、7割の3,500万円程度におさえることができるので、相続税の基礎控除の範囲におさまるのです。

タワーマンションだとより節税効果がある

マンションの中で、最も節税効果が高いといわれているのが「タワーマンション」です。

マンションについては、土地と建物に分けて相続税評価額を算出するのですが、タワーマンションの場合は土地部分の面積が少ないことから、評価額が割安になります。

低層マンションの場合、基本的には敷地面積が広い横長のつくりになるのが一般的ですが、タワーマンションについては、狭い敷地に塔のようにたくさんの部屋を積み上げるつくりとなっています。

タワーマンションの敷地は、各部屋の所有者が床面積の割合に応じて所有しているため、狭い敷地を多くの所有者で分割することになり、計算上の土地評価額がとても低くおさえられるのです。

さらに、床面積が同じであれば2階でも30階でも土地評価額は同じになります。つまり、時価が高額である高層階の部屋であればあるほど評価額との差額が大きくなるため、節税効果もより大きくなります。

 

マンションに親と同居している場合

すでにマンションを所有している場合についても、相続税を節税する方法があります。

例えば、父親がマンションに居住している場合、相続人となる予定の息子が父親と同居していると、相続発生時に「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができるため、マンションの土地評価額について、330㎡まで80%減額できるのです。

なお、配偶者が相続する場合、同居要件はありません。

同居の判定基準について

同居と判断されるかどうかで、課税される相続税が大幅に変わってくるため、同居の判定基準についてはとても重要です。

この際の同居については、税務署側も厳格に確認するため、本当は別世帯にもかかわらず、ばれないだろうと思って同居として申請をすると、後日税務調査が入って否認される可能性があります。

同居の判断基準としては、家の構造、設備状況、同居した目的など、細かく確認した上で総合的に判断されるため注意が必要です。

例えば、週末だけ親の顔を見るために実家に帰って寝泊まりしていた場合については、同居とは認められません。

単身赴任はどうなるのか

生活の拠点は実家に残したまま単身赴任をしているような場合については、単身赴任後、実家に帰ってくると考えられるため、同居として認められる可能性があります。

ただし、親の死亡後に転勤してしまうと、継続居住要件を満たさなくなってしまい、特例が適用できないので注意が必要です。

 

マンションは相続前に売るべきか

相続税対策として有効なマンションですが、東京オリンピック開催の影響で都内の不動産価格が値上がりしていることから、相続を前にマンションを売却しようかと悩んでいる方も多いようです。

では、現在マンションを保有している人は、相続前にマンションを売るべきでしょうか、それとも保有し続けるべきでしょうか。

ニーズによって答えが異なる

基本的に相続税の節税だけを考えた場合、相続前にマンションを売ることはおすすめできません。前述のとおり、マンションの相続税評価額は実際の売却価格である時価よりもかなり低いため、売却して現金化してしまうと、相続税が割高になってしまうからです。

ただ、一方で遺産分割対策を優先して考えた場合は、マンションを売却した方がよい場合もあります。

相続人予定者が複数人になる場合、マンションなどの不動産は相続財産のうち、かなりの価格割合を占めるため、誰がマンションを相続するかについて、もめてしまう可能性があるのです。

そのため、相続人予定者の仲があまりよくない場合については、マンションを売却して現金化しておくことで、法定相続分通りに分けられるようになるので、紛争を回避できるようになります。

 

まとめ

マンションを有効に活用すると、相続税を効率的に節税することが可能です。また、実需のマンションについては、同居要件を満たすことでさらに相続税が節税できます。

ただし、節税よりも遺産分割における紛争回避を優先させたい場合については、分割しやすく現金化しておくことも1つの選択肢となるでしょう。

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