相続税 2019.10.07

相続税の税率が上がった!節税効果が高い配偶者控除とは?

2015年1月1日から相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたこと、適用税率が事実上増税されたことで、将来発生する相続税に不安を感じている人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、改正後の相続税の税率と、相続税を大幅に引き下げできる「配偶者控除」という制度について詳しく解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

相続税の税率は?

相続税の適用税率については、対象となる遺産の取得金額に比例して税率も高くなる方式が採用されています。

以前は適用税率が6段階に区分されていましたが、2015年の法改正によって8段階構造になり、最高税率については50%から55%の税率に増税されました。

詳しくは、国税庁のHPを参考に作成した下記税率比較表をご覧いただければ、税率の推移がわかります。

相続人ごとの取得金額 改正前の税率 改正後の税率(2015年1月1日以降)
~1,000万円以下 10% 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 15%
3,000万円超~5,000万円以下 20% 20%
5,000万円超~1億円以下 30% 30%
1億円超~2億円以下 40% 40%
2億円超~3億円以下 45%
3億円超~6億円以下 50% 50%
6億円超~ 55%

(※2019年8月現在)

相続によって取得する金額が2億円を超える方については、適用される税率が高くなるように改正されました。

このように、相続税の税率は、取得する金額が多ければ多いほど、高い税率を適用される構造になっているのです。

 

配偶者控除ってなに?

そもそも相続税とは、亡くなられた方から遺産を相続するために支払う税金ですが、配偶者については、もともと亡くなられた方の資産形成にかなりの貢献をしているはずです。

そこで、配偶者が遺産を相続する際については、他の相続人が相続する場合とは違い、大幅な軽減措置である配偶者控除(配偶者の税額軽減)という制度が設けられています。

配偶者控除の内容について

配偶者控除とは、配偶者が相続する遺産の課税価格の合計額が、次のいずれか多い金額までであれば、相続税が免除されるという制度です。

・配偶者の法定相続分相当額(課税価格の合計額)

・1億6,000万円

簡単にいうと、相続が発生した際に、法定相続分を目安にできるだけ配偶者が相続する方が、相続税を節税できるということになります。

では、実際に配偶者控除を使って相続税を計算してみましょう。

配偶者と子で相続する場合

課税遺産総額1億円(基礎控除を控除済み)の財産を、子と2人で相続するとします。まずは、法定相続分で取得したと仮定して、税率を当てはめて相続税を計算します。

配偶者部分の税額:5,000万円×税率20%−200万円=800万円

子部分の税額:5,000万円×税率20%-200万円=800万円

このように、適用税率については、法定相続分で相続したと仮定した取得額に対して税率が適用されるため、注意が必要です。

よって、相続税の総額は800万円+800万円=1,600万円となります。

各相続人の相続税を計算する

相続税の全体の総額を、各相続人が相続する割合に合わせて按分していきます。仮に、法定相続分通りに実際も遺産分割した場合、各相続人の相続税額は以下の通りです。

配偶者:800万円(配偶者控除で0円)

子:800万円

配偶者については、配偶者控除が使えるため、法定相続分による相続なので相続税は0円となります。

配偶者が相続したほうが、相続税は安くなる

配偶者控除のメリットは、配偶者の相続分が増えれば増えるほど、配偶者控除の限度まで相続税が節税できることです。

例えば、上記の事例で以下のように遺産分割したとします。

配偶者:9,000万円

子:1,000万円

この場合、相続税は次のように課税されます。

配偶者:1,440万円(配偶者控除で0円)

子:160万円

配偶者は法定相続分を超えて相続していても、1億6,000万円までは非課税なので、配偶者に相続させた分だけ相続税が節税できることになるのです。

このように、配偶者控除を利用することで、不動産など高額な遺産を相続する際に、相続税を大幅に節税できます。

 

配偶者控除の落とし穴

配偶者控除を利用すれば、配偶者にかかる相続税は大幅に節税できますが、あまりにも偏った配分で配偶者ばかりに相続させると、二次相続が発生した際に節税した分が跳ね返ってくるため、注意が必要です。

二次相続とは、相続人である配偶者が死亡した際に発生する相続のことをいいます。

配偶者が相続した財産は、いつか子に相続されることになりますので、その際に発生する相続税まで考えたうえで、一次相続における相続分を考えることが重要なのです。

 

配偶者控除の適用方法について

配偶者控除を適用すれば相続税がゼロになる場合でも、相続税申告は必要になります。相続税を申告する際に配偶者控除の適用を申請することで、相続税がゼロになりますので、非課税だからといって何もしないでいると、相続税が課税されてしまいますので注意しましょう。

 

まとめ

今回は相続税の改正後の税率と配偶者控除について解説してきました。税率は増税されましたが、配偶者控除を利用すれば、相続税は大幅に節税することが可能です。

ただし、あまり配偶者に相続させすぎると、二次相続で跳ね返ってきますので、一次相続における相続分を検討する際には、一度税理士に相談することをおすすめします。

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