相続税 2020.01.30
相続税はいくら?法定相続の割合と知っておくべき軽減措置
ご高齢の方の中には、ご自身が亡くなられた後の相続税について心配している方もいるのではないでしょうか。また、相続する側の世代の方も将来どの程度の相続税負担が発生するのか気になることと思います。
そこで今回は、相続税を計算する際に基本となる法定相続の割合と相続税の計算手順について解説します。
相続税対策についてこれから検討しようとお考えの方は、是非参考にしてください。
法定相続の割合を抑えよう
相続税対策を検討する前に必ず知っておくべきなのが、法定相続の割合についてです。
法定相続の割合とは各相続人が相続する法定相続分のことで、誰が相続人になるのかによって割合が異なります。
遺産分割をする際にはもちろんの事、相続税を計算する際にも法定相続の割合を用いるため基本中の基本です。
法定相続人は誰?
財産を相続する人のことを法定相続人といい、民法において次のように優先順位が決められています。
配偶者相続人
配偶者については常に相続人となります。
配偶者は相続人の中でも亡くなられた方に最も近い存在であり、財産形成に対する貢献度も高いことなどから相続税負担が大幅に軽くなる「配偶者控除」という制度が適用でき、次のいずれか高い金額まで配偶者の取得した遺産額に対する相続税が免除されます。
・配偶者の法定相続分
・1億6,000万円
このように非常に高額な控除制度があるため、一般的に配偶者が相続すると相続税がかからないといわれているのはこのためです。
ただ、配偶者控除があるからといってあまりにも多くの財産を配偶者に集中させてしまうと、将来的に配偶者が亡くなられた際の二次相続において子供達に高額な相続税負担が発生するリスクがあるため、配偶者の相続割合については二次相続まで視野に入れて考えることが大切です。
また、死亡した時点で離婚していたり婚姻しておらず事実婚の状態だったりした場合については、いくら生活を共にしていたとしても相続人にはなれないため、遺言書がない限り取得できる割合はありません。
婚姻届を出していれば、たとえ亡くなる一週間前に婚姻届を提出していたとしても配偶者としての相続割合があるのです。
血族相続人
配偶者以外に相続人となりうるのが血族相続人です。
血族相続人は次のように優先順位が決められており、配偶者との組み合わせによって相続する割合が異なります。
・配偶者1/2:第一順位 子1/2
・配偶者2/3:第二順位 直系尊属(父母)1/3
・配偶者3/4:第三順位 兄弟姉妹1/4
例えば、子供がいない夫婦の一方が死亡して相続が発生した場合、亡くなられた方の父母が相続人として浮上し、父母がすでに死亡している場合は兄弟姉妹が相続人となります。
相続割合は亡くなられた方から近い順に高く、誰が血族相続人になるのかによって配偶者の割合が大きく異なる点に注意が必要です。
相続税の計算と相続割合の関係
法定相続の割合がわかったところで、ここからは相続税の計算方法について触れていきたいと思います。
そもそも法定相続の割合については、民法で規定されているものの絶対的に強制されるわけではないので、相続人全員が合意していれば法定相続の割合とは違う割合で遺産分割することも可能です。
法定相続の割合はあくまで遺産分割が相続人同士でもめてしまい、話がまとまらないような場合に国の示している基準という形で持ち出します。そのため、遺産分割協議で調停や審判になった際には多くのケースで法定相続の割合に従った分割案でまとまることが多いです。
法定相続の割合で相続税を計算する
相続税については、相続する遺産額に応じて各相続人が負担することになります。
ただし、法定相続の割合とは違う分け方で分割する場合についても、相続税の計算上は法定相続の割合で分割したと仮定して相続税の総額を計算することになるため注意が必要です。
例えば、課税遺産総額が1億円だとして配偶者と子がわける場合に、たとえ法定相続分とは違う割合で相続する場合でも5,000万円ずつ1/2の割合で相続すると仮定して相続税を計算します。
計算式にすると次のようになります。
誤:1億円×30%-700万円=2,300万円
正:5,000万円×20%-200万円=800万円 5,000万円×20%-200万円=800万円
合計1,600万円
よって、相続税の総額は1,600万円となります。
上記ケースでは、配偶者控除により配偶者は相続税がかかりませんが、子が遺産を相続する場合については子が相続する遺産の割合に応じて相続税を納税します。
まとめ
相続税の計算においては、実際に相続する割合の前に民法で決められている法定相続の割合を用いて相続税を計算するため、法定相続の割合は必ず覚えておく必要があります。
計算の手順を間違えると、間違った申告をしてしまう恐れがありますのでできれば相続税に強い税理士に相談して計算してもらった方が確実でしょう。
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