相続税 2020.04.17
葬儀費用や交通費は控除できる?相続税の計算から控除できるものとは
相続が発生した直後は、葬儀の準備に手一杯で、相続税を計算する余裕はとてもありません。
しかし、葬儀に関する費用の中には、相続税を計算する際の相続財産から控除できるものもあるというのをご存じでしょうか?
そこで今回は、相続税の計算から控除できる葬儀費用について詳しく解説します。
葬儀にかかる費用はどのくらい?
葬儀にかかる費用は、葬儀のスタイルや規模によって変わってきますし、お住いの地域によっても差がありますが、日本消費者協会が2017年 に発表した「葬儀についてのアンケート調査報告書」によると、葬儀費用の平均額は約196万円という結果でした。
葬儀の費用は、主に以下の3つに分類出来ます。
葬儀一式費用
・遺体を搬送し、安置対応するための費用
・式場利用料
・祭壇、棺の費用
・位牌、骨壺などの費用
・お供え物や生花の費用
・霊柩車、マイクロバスやタクシーの送迎などにかかる車両に関する費用
・司会や式場スタッフなど、葬儀社に支払う人件費
・火葬費用
飲食接待費
・通夜振る舞い、精進落としなどの飲食費
・会葬返礼品や香典返しなどの費用
・参列者の宿泊費やお車代など
宗教者への費用
・読経料、戒名料など寺院へのお布施
・お車代など
葬儀の総額費用は、上記の3つを合計した金額となり、その大まかな内訳は、葬儀一式費用が全体の約50~60%を占め、最も高額であり、続いて宗教者費用が20~30%、飲食接待費が15~25%と続きます。
合計で約200万円かかると考えて内訳を計算してみると、どの項目にどのくらいかかるのかシミュレーションしやすいかもしれません。
相続税の控除対象となる葬儀費用は?
結論からいうと葬儀費用は相続税の計算から控除できるものと、できないものに区別されます。
原則として葬儀費用は、亡くなられたことによって発生する必然的な費用なので、基本的には相続税からマイナス財産として控除することが可能です。
ただし、明確な基準を設定しないと相続税の節税のために常識を逸脱したような豪華な葬儀をする人が出てくる可能性があることから、葬儀費用に認められるものと認められないものがある程度区別されています。
葬儀費用に該当するもの
葬儀費用と一言でいっても様々な内訳がありますので、1つずつ確認していく必要があります。
・通夜、告別式の費用
通夜と告別式の費用は、葬儀費用として相続税の計算から控除することが可能です。
通常、これらの費用は葬儀会社に支払うことが多いので、葬儀会社から領収書をもらっておきましょう。
ただし、社会通念に照らしてあまりにも豪華な葬儀を行うと、全額が控除されない場合も出てきます。
・葬式の飲食代
葬儀に参列した人に出す飲食代も、葬儀費用として相続税の計算から控除することが可能です。
・心付け
葬儀を手伝ってくれた人に対して支払う、いわばバイト代のようなものです。
葬儀という関係上、手伝ってくれた人から領収書を回収することは難しいでしょう。
その場合は支払った相手や人数、金額などをメモしておくことで相続税の計算から控除することが可能です。
ただし、あまりに高額な心づけは認められないため、概ね1万円以下と考えましょう。
・お寺、神社、教会に支払った費用
葬儀は故人の信仰していた宗教によって様々ですが、概ね上記のいずれかに対してお布施など何らかの費用を支出することになるでしょう。
これらの費用も相続税の計算から控除することが出来るので、領収書がなければメモしておきましょう。
ただし、親族を葬儀に招くために支出した交通費については葬儀費用として認められません。
・火葬、埋葬、納骨費用
火葬場などに支払う費用も葬儀費用として認められます。
ただし、社葬を行った場合は会社側の経費の問題になるため、相続税の計算上控除することができません。
判断が難しい葬儀関連費用
次の費用については、葬儀に関係して支出していても葬儀費用として相続税の計算から控除できるかどうか、判断が難しいため注意が必要です。
・タクシー代などの交通費
葬儀で親戚一同を集める際には、交通費を喪主が負担するというケースは珍しくないでしょう。近所に住んでいれば大した交通費にはなりませんが、北海道や沖縄、さらには海外に住んでいる場合は交通費だけでもかなりの金額になることもあります。
喪主としては交通費が控除できないと非常に厳しいところですが、残念ながら交通費は控除できません。
たとえ喪主が交通費を負担して領収書もあったとしても、葬儀に直接関係する費用ではないという認識から相続税の計算上は控除できないのです。
ちなみに、親族が近所のホテルに宿泊した場合の費用も交通費と同様に控除できません。
また喪主自身が葬儀の手配などで交通費がかかることもあります。
例えば、ガソリン代や高速道路代、駐車場代などがかかることもありますが、基本的にこれらの交通費も葬儀費用として控除できません。
・生花
葬儀といえば交通費もさることながら、生花の費用もばかになりません。
生花については、喪主が負担した範囲において葬儀費用として認められます。
・死亡診断書
人が亡くなると死亡診断書を医師が作成しますが、この際に発行手数料や作成料がかかります。相続税申告に死亡診断書は必要ありませんが、発行を受けた際に支払った費用については相続税の計算から控除することが可能です。
その他、遺体の捜索費用、遺骨の回送にかかった費用なども相続税の控除対象となります。
控除を受ける際の注意点
相続税の計算から控除を受ける際にはいくつかの注意点がありますが、まずは相続税の計算から控除できない費用をみていきましょう。
控除できない費用
タクシー代などの交通費
葬儀で親戚一同を集める際には、交通費を喪主が負担するというケースは珍しくないでしょう。近所に住んでいれば大した交通費にはなりませんが、北海道や沖縄、さらには海外に住んでいる場合は交通費だけでもかなりの金額になることもあります。
喪主としては交通費が控除できないと非常に厳しいところですが、残念ながら交通費は控除できません。
たとえ喪主が交通費を負担して領収書もあったとしても、葬儀に直接関係する費用ではないという認識から相続税の計算上は控除できないのです。
ちなみに、親族が近所のホテルに宿泊した場合の費用も交通費と同様に控除できません。
また喪主自身が葬儀の手配などで交通費がかかることもあります。
例えば、ガソリン代や高速道路代、駐車場代などがかかることもありますが、基本的にこれらの交通費も葬儀費用として控除できません。
位牌代
基本的に葬儀費用として認められません。
ただし、葬儀で使うものであれば例外的に認められることもあるようですが、仏壇に飾るものであれば葬儀費用として認められません。
香典返しの費用
香典は、いただいても贈与税や所得税が発生しません。
よって、香典に対するお礼である香典返しも、控除の対象にはならないのです。
一方で、会葬御礼は葬儀費用として控除対象になる場合とならない場合があるので注意が必要です。
会葬御礼は、通夜や葬儀に来てくださった方に対して渡すお礼の品のことです。
もし、会葬御礼を渡して香典返しを送らなかった場合は、会葬御礼が香典返しとみなされるので控除の対象にはなりません。
しかし、会葬御礼を渡して香典返しも送った場合は、会葬御礼は控除の対象となるのです。
この違いに注意しましょう。
初七日、四十九日、一周忌の法要にかかった費用
故人の冥福を祈る追善供養であるこれらの法要は、葬儀とは違うものなので、葬儀費用には含まれず、控除の対象にはなりません。
ただし、初七日の法要に関しては、近年、日を繰り上げて葬儀の日に一緒に執り行うことが増えており、その場合は葬儀費用となるため、控除の対象となります。
また、四十九日の際に行う納骨の際、石材店に支払う費用は葬儀費用となり、控除が認められます。
墓地や墓石の購入費
墓地や墓石は、葬儀には関係のないものなので、葬儀費用とはみなされず、控除には含まれません。
解剖費用
医学上、または事件に巻き込まれるなどして裁判上、遺体を解剖する場合の費用は控除の対象外となります。
葬儀費用として認められる、遺体を搬送し、安置対応するための費用との区別が必要です。
領収書の保管は必ず行い、もらえない場合はメモを残す
領収書がなければ、支払った証拠が残らず、控除の申請が出来ないので、必ず貰い、大事に保管しておきましょう。
また、葬儀費用には、領収書がもらいにくい種類のものも多くあります。
例えば、宗教者への費用やお心付けなどは領収書がもらえないので、そういう場合はメモを取って残しておきましょう。
メモには、支払った年月日、何の費用か、支払先の住所・氏名・電話番号、金額などを書いておくと良いでしょう。
メモがあれば、相続税の計算から控除可能です。
葬儀費用の申請は10ヵ月以内に行う
相続税の申告、納税は、相続を知った日の翌日、つまり被相続人の死亡日の翌日から10ヵ月以内に行わなければなりません。
ですから、葬儀費用の申請も、被相続人の死亡日の翌日から10ヵ月以内に行わなければならないのです。
しかし、葬儀費用とみなされるか、みなされないか、控除の対象となるのかならないのかは、判断が難しく、申請に時間がかかってしまい、10ヵ月を過ぎてしまうことがあります。
そうなると、控除が受けられなくなる可能性があるので、葬儀費用の申請の準備は早めに行い、出来れば税理士などの専門家に相談するのが望ましいでしょう。
葬儀費用の控除が認められない相続人もいる
「制限納税義務者」と呼ばれる相続人には、葬儀費用の控除が適用されません。
制限納税義務者とは、相続発生時、および相続発生時から遡り5年以内に国内に住所がない人のことです。
つまり、海外に住む相続人のことであり、制限納税義務者は葬儀費用を支払っても控除の対象にはならないと定められているので注意が必要です。
まとめ
葬儀費用として相続財産から控除できる項目は、判断に迷うものもありますが基本的に葬儀のために直接的に支出しているかどうかがポイントとなります。
よく領収書の有無で判断している人がいますが、たとえ領収書が出ないものでも葬儀に直接関係する費用であれば控除することが可能です。
反対に領収書が出やすい交通費については、いくらかき集めたとしても相続税の節税にはつながらないので覚えておきましょう。
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