相続税 2020.04.20

相続税を計算する時ローンの残債はどうすればいい?

相続税を計算する際に扱い迷いが生じるのが故人の残したローンです。

相続というとプラスの財産を取得するイメージが強いかもしれませんが、実はローンなどのマイナスの財産についても相続の対象となります。

そこで今回は相続税を計算する際のローンの取り扱いについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続税の計算におけるローンの取り扱い

相続税は相続する財産すべてに対して課税されるため、ローンなどの債務がある場合は、プラスの財産から債務控除することが可能です。

相続税を計算する際にはプラスの財産だけでなく、ローンなどの債務についても漏れなく確認することが相続税の節税につながります。

ただし、被相続人が残したローンの中にはプラスの財産から控除できるものとできないものがあるため注意が必要です。

クレジットカードのローン

クレジットカードの支払いが残っている場合、相続人が引き継いで支払うことになるため相続税の計算上債務控除できます。

ほかにもカード会社のキャッシングについても、未払いの部分については利息分も含めて相続税の計算上、マイナスの財産として控除することが可能です。

マイカーローン

マイカーローンについても相続の対象となります。

マイカーについては、自分が車を使わない場合や時価とローン残債に開きがある場合は相続しない方がいいともいわれています。

ただ、基本的に相続するかしないかについては、財産個別に指定できるわけではなく、全体に及ぶことからマイカーの処遇だけで相続するか放棄するかを判断することは好ましくありません。

基本的にほかのローンも含めて相続するかどうかを検討するようにしましょう。

その他のローン

銀行から借りている教育ローンや投資ローン、多目的ローンなどあらゆるローンについて被相続人名義で借りているものについては、相続財産の対象となり相続税の計算上債務控除が可能です。

 

住宅ローンの残債相続の注意点

このようにほとんどのローンが相続税の計算において債務控除の対象となるのですが、注意しなければならないのが住宅ローンの残債相続です。

住宅ローンの残債がある状態で亡くなると、相続人が残りの住宅ローンを背負うことになります。

ただし、住宅ローンについてはローン契約をする際に団体信用生命保険に加入するケースが多いため、住宅ローンを相続しても債務控除の対象にならない可能性があるのです。

 

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険とは住宅ローンを返済途中の人が死亡したり、一定の病気にかかったりした場合に、残りのローン残債相当額の保険金が支払われるという保険です。

例えば、住宅ローン残債が3,000万円ある状態で本人が死亡すると、保険会社からローンを組んでいる金融機関に対して3,000万円の保険金が支払われて、住宅ローンの残債務がゼロになります。

これにより残された家族が住宅ローンの返済に苦しむことなく、ローンのなくなった自宅に安心して住み続けられるのです。

通常、生命保険金が支払われるケースでは、保険金をみなし相続財産として相続税の計算上相続財産に加える処理をしますが、住宅ローンの団体信用生命保険については保険金が直接金融機関に支払われることから、通常の生命保険のようにプラスの財産で申告するという処理はしません。

よって、生命保険金によって控除される住宅ローン残債についてもマイナスの財産として相続税申告する必要もありません。差し引きゼロということで相続税は課税されないのです。

 

ローン以外の債務に注意

相続財産から控除できるマイナスの財産は金融機関や消費者金融、カード会社で組んでいるローンだけとは限りません。

例えば、個人間でお金の貸し借りをしているものについても、すべて申告の対象となってきます。

証拠がないものについてはどうしようもありませんが、借用書や金銭消費貸借契約書などを交わしている場合は、相続人の方が相続した後に返済していかなければならないため注意が必要です。

ちなみに、マイナスの財産についても遺産分割によって支払いをする配分を取り決めることはできますが、そのことを債権者に対抗することはできません。

相続人が複数いる場合、債権者は法定相続分に応じてすべての相続人に対して被相続人の残した借金の返済を請求することができますので、遺産分割協議をする際にはそのことも踏まえて十分注意しましょう。

 

まとめ

今回は相続税の計算におけるローンなどのマイナスの財産の取り扱いについて詳しく解説してきました。

基本的にローンは相続税の計算上相続財産から債務控除することが可能ですが、住宅ローンについては団体信用生命保険に加入していると死亡によってローン残債が消滅することから、例外的に相続税の対象から外れますので覚えておきましょう。

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