相続税 2020.05.04

かえって危険!コロナ対策の生前贈与

新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっています。
志村けんさんや岡江久美子さんなど著名な方がお亡くなりになったという情報は、人々を震撼させています。

そんな中、もしもの時に備えて慌てて自分の遺産を子供や孫に贈与を始める人が出てきているという情報を耳にしました。

そこで今回は、当該行為に意味があるのか法的に解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

駆け込み贈与が増えたわけ

コロナウイルスの影響で、いつ誰が被害を受けてもおかしくない状況になってきています。そのせいで今もし自分が死亡したとしても大丈夫なように、予め自分の財産の振り分けを始めている人たちがいるのです。

実はこの情報、やって意味がある人とかえって税負担が増えてしまう人がいるため注意しなければなりません。

相続税の節税効果は?

相続発生時に相続財産が減っていれば、その分課税される税金は減りますので相続税の節税効果があるように思いますよね。ところが、相続はそんなに甘くありません。

というのも、仮に今から急いで贈与したとしても、3年以内に本人が死亡して相続が発生したら、生前贈与分もすべて相続税の課税対象になるのです。

ですから、早く生前贈与したからといって相続税負担を免れるわけではありません。

この話をすると

「それなら贈与税の基礎控除額である年間110万円以下の範囲でだけ贈与すればよいのでは」

と言われる方がいるのですが、残念ながら相続開始前3年以内の贈与財産については、贈与税の基礎控除額である110万円以下のものも含めて相続税の課税対象となります。

ですから、節税という観点からすると慌てて今から生前贈与する行為にはあまり意味がありません。

遺言書を活用しよう

自分の死後の相続に不安を感じているのであれば、慌てて贈与するよりも遺言書を書く方がおすすめです。特にコロナウイルスは容体が急変してお亡くなりになるケースもあるようなので、もしものことを考えると元気なうちに書いておくことがとても重要になります。

遺言書に希望する遺産配分を記載しておけば、相続発生後の揉め事を防ぐことができます。

特に重要なのが、法定相続人以外への「遺贈」です。

遺言書がなくても法定相続人であれば財産を相続できますが、それ以外の人に遺産を残したいと思ったら必ず遺言書を書かないと取得させることができません。

このケースに特に当てはまるのが、「内縁関係」の方たちです。

内縁関係では婚姻関係は成立していないので、万が一どちらかが死亡しても一切遺産を相続することができません。相続人として本人の父母や兄弟姉妹が出てくると、最悪の場合住む家を失う可能性もありえます。

このようなケースを回避するためには、遺言書によって一定の財産を遺贈するよう記載するか、亡くなる前に婚姻届を提出する必要があります。

 

外出しなくても作れる遺言書

遺言書は法的な効力のある書類ですが、実は家の中にあるものだけを使って作成することが可能で、専用の用紙などは必要ありません。用意するものは以下3つだけです。

・紙(なんでもいい、便箋なども可能)

・ボールペン

・実印

印鑑は実印である必要はありませんが、信憑性を高めるためにも実印で捺印することをおすすめします。これらを準備した上で、以下の事項を満たしていれば遺言書は有効に成立します。

・作成した日

・署名捺印

・一部を除いて直筆

このようにして作成した遺言書のことを「自筆証書遺言」といいます。

 

生前贈与したほうがいい人

相続税の節税という意味ではそこまで効果がない駆け込み贈与ですが、遺産分割という角度から見た場合に生前贈与が有効といえるケースもあります。

それは経営者の方です。

オーナー社長の場合、自社の株式の100%を自分で保有しています。

万が一死亡した場合は、株式が配偶者や子供たちに相続されるわけですが、一箇所に集約していた株式が分散してしまうと、会社の意思決定機能に支障が出ることがあるのです。

このようなケースでは、後継者と決めている子供に予め株式を贈与しておいたほうが、会社の経営体制を守れる可能性があります。

 

まとめ

コロナウイルスの早期収束を願うばかりですが、もしもの時の対策をとることもとても大切です。

ただ、闇雲に動いてもかえってマイナスになってしまうので、各ご家庭にあった対策を考えることを心がけましょう。

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