相続税 2020.05.22
相続税申告について税務署に相談してもいいの?意外なデメリットとは
相続税申告をしなければならないものの、費用を気にして税理士に相談するのを躊躇している方もいるかと思います。いっそのこと税務署に相談するというのも1つの手ですが、これには事前に知っておかなければならない「落とし穴」があるため注意が必要です。
本記事では、相続税申告を税務署に直接相談する際の注意点について詳しく解説します。
税務署に無料で相談できる
税務署は相続税申告を承るだけでなく、申告者のサポートもしていますので相続税申告書の作成方法についても直接相談すれば教えてもらうことが可能です。
ただ、毎年行う確定申告とは違い相続税申告は膨大な資料が必要になるので、いきなり飛び込みでいっても対応してもらえないことがあります。
相談する前の準備
税務署に相談に行く際には、まず電話などで相談の予約をすることが大切です。自治体によっては事前予約制のケースがありますので、飛び込みはやめましょう。
また、相談に行く際には以下のような資料をきちんと準備して持参する必要があります。
・亡くなった方の死亡から出生までの戸籍謄本や除籍謄本
・預金残高のわかるもの
・その他遺産の概要がわかる財産目録など
詳しい資料がない状態で相談をしても、一般的な案内しかしてもらえません。
できる限り具体的な資料を持参したほうが、税務署側も対応しやすいはずです。
電話で相談できる
税務署に直接行くのは気が引ける方や、個人を特定されたくないという方の場合は、電話による相談も可能です。
実際に対面して相談する時に比べると、どうしても一般的な話に留まることになると思いますが、税務署側の見解を確認する簡単な方法として利用する方も多いようです。
このように税務署に直接相談すれば、無料で相続税申告書の作り方を教えてくれるのに、なぜ税理士にお金を出して依頼する人が多いのでしょうか。
これには税務署に相談することにおけるデメリットが2つ隠されているのです。
税務署は節税方法を一切教えない
税務署の相談会は、相続税申告をするために必要なことを、納税者に対してサービスで教えているだけです。よって、税理士がしてくれるような「節税」に関するアドバイスは一切行っていません。
このことを理解していない人が非常に多いようで、相談会で「この場合、どうすると税金が安くなりますか」といった質問を平気でしている人がいます。
税務署はこのような節税につながるアドバイスについては、たとえ合法的なやり方だとしても一切レクチャーしません。
例えば相続人が複数いる場合などは、誰が何を相続するかによって適用できる特例も違ってくるので、相続税額も大きく変動することがあります。
税務署側はそれに気が付いても一切教えてはくれませんので、節税についてアドバイスを受けたいのであれば、費用を負担して税理士に相談するしかありません。
相談は公式見解ではない
「税務署に相談して言われたとおりにやれば大丈夫」
と思うかもしれませんが、実はそうとは限りません。
税務署で行っている相談は、あくまで対応した税務署員の一見解であり、税務署としての公式な見解ではないのです。
「税務署に言われたとおりに申告したから税務調査の対象になることはないですよね?」
という質問をされる方が時々おられるのですが、答えはノーです。
たとえ税務署の指示通りに申告書を作成して納税したとしても、税務調査のリスクは常に残ります。
なぜなら、税務署の公式見解ではないからなのです。
税理士に相談するメリット
税理士費用を気にして相続税の相談を躊躇している方、実は費用を負担してでも相談したほうがいいかもしれません。
税理士は相続税の節税方法について、きちんとアドバイスをしてくれます。
相続税は税額がかなり高額になるので、税理士報酬が発生したとしても、それ以上の節税効果が得られる可能性があるからです。
すでに申告書を出し終わっている場合
すでにご自身で相続税申告を終えているという場合でも、申告書の内容を税理士に確認してもらうことでもっと節税できる部分が見つかる可能性があります。
このような手続のことを「相続税のセカンドオピニオン」といい、一度申告した後でも「更正の請求」という手続をすることで、節税できた部分の相続税の差額の還付を受けることが可能です。
すでに申告が終わっているという方も、あきらめずに相談してみましょう。
まとめ
税務署で相談すれば無料ではありますが、節税対策にはならないことを考えるとやはり税理士に相談したほうがよりメリットが大きいといえます。
税務署への相談は申告書の書き方など、一般的な相談ができると考えた方がよいでしょう。
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