相続税 2020.05.27
株式の評価額と相続税の節税方法
相続税を計算する際に、遺産が預金や現金ばかりであればさほど手間はかかりませんが、評価額に換算して計算する遺産があると一気に難易度が高くなります。
中でもややこしいのが「株式」です。
そこで本記事では、上場株式と非上場株式の評価額の調べ方について詳しく解説します。
上場株式と非上場株式
株式には一般市場に公開されて取引が行われている「上場株式」と、上場されていない「非上場株式」の2種類があり、相続税を計算する際の株価の評価額の考え方もそれぞれ違ってきます。
上場株式
東京証券取引所やジャスダックなどに上場している会社の株式のことで、証券会社に口座さえ開設すれば、誰でも気軽に取引をすることが可能です。株価はリアルタイムで変動するので、日によって株価は大きく異なります。
上場株式の相続方法
現在の株式は電子化されているので、昔のように金庫に株券を保管するということはなく、すべて電子化されています。そのため、上場株式を相続するためには、相続人が証券会社に口座を作っている必要があるのです。
この際、できるだけ被相続人と同じ証券会社で口座を持っていた方が、手続きがスムーズに進みます。
相続人の方から「株には興味がないから、すぐに売りたい」と相談されることがよくあるのですが、上場株式を売却して現金化するためには、まず一旦自分の名義に変更してからでないと売ることができません。
そのため、証券会社に口座を持っていない相続人が相続する場合は、すぐに売る場合でもまずは口座を開設しなければならないのです。
上場株式の評価額の計算方法
上場株式は日々相場が変動するため、そのことを相続税の計算をする際にも考慮する必要があります。例えば、1株1,000円だったものが昨今のコロナウイルスの影響などで、翌日には700円といった感じで一夜にして一気に値下がりすることがあります。
この場合、1,000円の時に亡くなっていたとしても1,000円で計算するのはあまりにも酷です。
そこで上場株式については、以下の死亡した日の前後のいずれかの価格を評価額とすることが認められています。
・課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
よって、先ほどのような株の暴落が発生しても不利な取扱いを回避できるようになっているのです。
非上場株式
いわゆる同族会社などの中小企業の会社の株式のことを、非上場株式といいます。
家族経営の会社やオーナー社長のような会社では、株式を相続することがすなわち事業承継です。
公開取引されていませんので、株価はその都度特殊な計算方法によって計算して算出します。
非上場株式の相続は事業承継
上場株式は単なる投資に過ぎませんが、非上場株式は次期後継者が誰になるのかという大きな問題なので、そもそも誰が相続するのかについて生前から家族で話し合っておくことがとても大切です。
相続人が複数いる場合に何の対策もとらないと、相続発生後に株式の持分が分散してしまい、経営判断がスムーズにできなくなってしまう恐れがあります。
そのため、非上場株式については相続ではなく生前贈与による事業承継を行うことも、選択肢の1つとして検討することがとても大切です。
相続発生後に移転をさせたいという場合は、後継者が他の相続人との相続分の帳尻を合わせられるよう、生命保険などを活用して代償金を準備するなどの対策を検討するとよいでしょう。
非上場株式の評価額
非上場株式の評価額の計算方法は、会社の規模などによっても異なるため一概にはいえませんが、基本的に会社の業績を反映することになります。
そのため、たまたま売上が好調な時に相続が発生すると、非常に高い相続税を課税される可能性があるため注意が必要です。
できれば、評価額が下がっているうちに後継者へ移転させたほうが、事業承継にかかるコストを大幅に削減できるでしょう。
まとめ
上場株式の相続であれば、比較的評価額の計算方法は簡単ですし、その後の手続きについても証券会社の指示通り対応すればそこまで難しくはありません。
ところが、非上場株式は計算が難しいだけでなく、承継手続きも面倒な部分が多いので基本的には税理士に任せてしまうことをおすすめします。
顧問税理士がいるという場合でも、相続税に不慣れな税理士だと思うように節税ができない可能性もありますので、相続税については相続税に強い専門の税理士に別途相談したほうがよいでしょう。
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