相続税 2020.05.29

相続税の未成年控除とは?

相続税には負担を軽減するためのいくつかの控除制度がありますが、今回は未成年者が財産を相続する場合に利用できる「未成年控除」について詳しく解説したいと思います。

現在相続の手続き中という方はもちろん、遺言書を書きたい人や相続対策を検討している方はぜひ参考にしてください。

記事ライター:棚田行政書士

未成年控除とは

未成年控除とは未成年者の人が財産を相続した際に、課税される相続税を軽減する制度です。一般的に控除というと課税対象となる評価額からの控除が多いのですが、未成年控除はより節税効果の高い「税額控除」であるという点が大きなメリットといえます。

つまり、相続税の計算のもととなる金額からの控除ではなく、計算した相続税額そのものから直接控除をするということなのです。

未成年控除の金額

未成年控除で控除される金額は、相続する未成年者の年齢によって変動します。計算式にすると次の通りです。

未成年控除の額=(20歳-相続した年齢)×10万円

相続開始時点の年齢で計算し、1年未満の年数については切り上げて1として計算をします。

例えば15歳5ヶ月の子供の未成年控除は次の通りです。

(20歳-16歳)×10万円=40万円

よって、納税すべき相続税額から40万円が控除されます。

控除が余っても無駄にならない

このように計算すると分かる通り、未成年控除の節税効果はかなり大きいので、人によっては控除額を余らせてしまうこともあります。

その場合は、他の扶養義務者の相続人の税額から控除することが可能です。

例えば、相続人が先ほどの未成年者と母親だった場合で、それぞれの負担すべき相続税額が以下の金額と仮定します。

子供:相続税額20万円

母親:相続税額100万円

この場合、子供の相続税額から40万円の税額控除を使ってもまだ20万円残ります。

残った分を母親の100万円から20万円控除できるので、母親の相続税額が80万円になるのです。

実際、未成年者の相続税のやり繰りをするのが親権者である親だということを考えると、非常によくできている控除制度だといえます。

なお、未成年控除を使うと納税額がゼロになる場合は申告不要です。

 

未成年控除の適用要件

未成年控除は未成年であれば誰でも適用できるわけではなく、次の要件に該当する必要があります。

法定相続人であること

未成年控除が使えるのは、あくまで法定相続人だけです。仮に遺言書で未成年である孫に財産を遺贈する場合では、未成年控除は適用できません。

なお、孫であってもすでに子が死亡していて代襲相続が発生している場合は法定相続人となりますので未成年控除は使えます。

日本国籍を有している

外国人の方は未成年であっても控除されません。

結婚している未成年者はどうなる?

日本では男性18歳、女性16歳から結婚でき、婚姻した未成年者は成年とみなすという規定があります。では、未成年者が結婚している場合は、未成年控除が使えなくなるのでしょうか。

当該規定を「成年擬制」といいますが、未成年控除では適用されないので問題なく控除が受けられます。

よって、結婚しているかどうかは気にする必要がありません。

 

特別代理人が必要

通常、未成年者が法的な手続きをする際には親権者である親が代理人として行います。

ところが、相続において親も子も相続人の場合、親に子も代理させてしまうと親にとって有利な取り分に勝手に調整してしまう恐れがあるのです。

このような状態の関係を「利益相反関係」といい、子供の不利益を避けるために親とは別に「特別代理人」を選任する必要があります。特別代理人は弁護士などの資格者である必要はなく、相続人ではない親族、例えば祖父母などでも全く問題はありません。

特別代理人の選任は、当事者だけでできるわけではなく、別途家庭裁判所に申し立てる必要があります。

必要書類は主に以下の通りです。

・特別代理人選任申立書

・申立人の戸籍謄本

・未成年者の戸籍謄本

・遺産分割協議書の案

・収入印紙等

手続き自体はそんなに難しくありません。

 

まとめ

遺産総額によって相続税はかなりの金額になるので、節税対策はとても重要になります。

特に未成年者の相続では、実質的に親の懐から相続税を出すことになるので未成年控除を使って極限まで負担を軽くすることが大切です。

ただ、未成年者の相続手続きを進めるためには、まず特別代理人の選任申立てが必要ですので覚えておきましょう。

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