相続税 2020.06.11

相続税は誰が払う?相続税の納税義務者とは

法改正で相続税の基礎控除枠が縮小されてから、相続税対策に関するご相談が増えています。相続税対策は早めから始めることがとても有効ですが、その前に納税義務者が誰なのか確認しておかないと、的外れな対策になってしまうため注意が必要です。
そこで本記事では、相続税の納税義務者について詳しく解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

相続税の納税義務者とは

相続税がかかる場合に相続税を納税しなければならない人のことを「納税義務者」といいます。実は相続において納税義務者は、誤解している人がとても多いので注意が必要です。

おそらく多くの人が、法定相続人がイコール納税義務者だと認識しているかと思いますが、法定相続人以外にも納税義務者になるケースがあります。

法定相続人以外の納税義務者とは

相続税の納税義務者とは、相続によって財産を取得する人のことをいいます。相続において財産を取得する人は法定相続人だけではありません。

遺言書や死因贈与などで指定されて財産を取得する人についても、相続税の納税義務者になるのです。ちなみに、遺言書によって財産を取得することは、相続とはいわず「遺贈」といいます。

相続税の納税義務者でよくあるトラブル

例えば遺言書に「預金を愛人Aに遺贈する」といったことが書かれている場合、法定相続人ではない愛人Aも相続税の納税義務者になるのです。

相続税は基本的に納税義務者全員で申告することが一般的なので、法定相続人が愛人に連絡をとって相続税申告書を作成しなければなりません。

生命保険の場合はもっとトラブルになる

さらにトラブルになりやすいのが生命保険の保険金です。被相続人を被保険者とする生命保険金は、遺産分割の対象ではなく保険契約に基づく「受取人」固有の財産となります。

そのため、保険金の受取人が愛人に指定されている場合は、保険金全額が愛人のもとにいってしまうのです。

ここで問題なのが、愛人の認識です。

保険金が遺産分割の対象外であることを知っている愛人の方は多いのですが、相続税の課税対象であり、自身が納税義務者になるという認識を持っていないケースがよくあります。

生命保険金は「みなし相続財産」といって、遺産分割協議の対象からは除外されるものの、相続税の計算においては課税対象なので、被相続人を被保険者とする保険金の受取人は相続税の納税義務者となるのです。

このように、法定相続人に限らず遺産を取得した人については相続税の納税義務者であり申告義務者となります。

 

外国の遺産はどうなる?

最近では外国の不動産に投資する人も増えてきたので、相続財産が外国にあるというケースも少なくありません。相続税は相続財産が外国にある場合でも、その財産を取得した人は相続税の納税義務者となります。

非居住無制限納税義務者とは

被相続人から財産を取得した人で、取得した時に国内の住所を有しない場合は非居住無制限納税義務者となり、国内および国外の財産ともに相続税の課税対象となります。

【日本国籍を有する個人で次に該当する人】

・相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時においてこの法律の施行地に住所を有していたことがある人

・相続又は遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においてもこの法律の施行地に住所を有していたことがない人(その被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)

このように外国での暮らしが長い人でも、日本国籍を有する人については非居住無制限納税義務者として相続税の納税義務者となります。

 

債務控除に注意

相続税の課税対象となる相続財産には、プラスの財産だけでなく借金や葬儀費用などのマイナスの財産も含まれ、マイナスの財産を差し引くことを債務控除といいます。

原則として相続人は債務控除できますが、特定受遺者については債務控除の対象外となるため注意が必要です。

債務控除は日本国内、国外どちらに存在する債務でも債務控除の対象となりますが、居住無制限納税義務者、または、非居住無制限納税義務者に該当する場合は、日本国内の債務についてのみ債務控除ができます。

相続放棄した場合

相続人が相続放棄をした場合は、債務控除は使えません。

というよりも、相続放棄した本人は相続税の納税義務者ではなくなります。ただ、相続放棄していても遺贈などで遺産を取得した場合は、納税義務者となるので葬儀費用について債務控除することが可能です。

ただし、葬儀費用以外については相続放棄をしてすでに法定相続人ではなくなっているので、他の債務があったとしても債務控除はできません。

 

まとめ

相続税は法定相続人だけに課税される税金と考えていると、相続が発生した時に思わぬ税負担が生じます。特に遺言書や生命保険を相続対策で活用しているご家庭については、相続税対策を考える際に、誰が相続人になるのかよく確認しておくとよいでしょう。

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