相続税 2020.07.08

保険金は遺産分割の対象外。それでも揉めてしまう現実とは

相続が発生した際、基本的には全ての財産が遺産分割の対象になりますが、中には例外的に対象から外れるものがあります。
中でもトラブルになりやすいのが保険金です。
そこで本記事では、保険金の相続でもめてしまうケースと対策について詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

保険金は遺産分割の対象外だが

相続が発生した際に被相続人に保険金がかけられている場合、支払われる保険金は相続によって取得するものではあるものの、遺産分割の対象からは外れます。

保険金はあくまで生命保険契約に基づくものであり、契約上の取り決めである「受取人固有の財産」として処理されるため、遺産分割に持ち戻して計算する必要はありません。

ただ、この仕組みが正しく理解されていないせいで様々なトラブルが起きるのです。

保険金額を隠そうとする

保険金の受取人としては、他の相続人よりも実質的に取り分が多くなることから、実際にいくら保険金を受け取ったのかを言いたがりません。

また、保険金の受取人が愛人など相続人以外で指定されている場合は、なおさらその傾向が強く、相続人が保険金額を把握できないというケースが発生するのです。

遺産分割の対象ではないんだから、保険金額を把握しなくてもよいのでは、と思うかもしれませんが、実はここが一番の落とし穴なんです。

というのも保険金は遺産分割の対象にはならないものの、「みなし相続財産」という扱いで相続税が課税されることから、相続人は相続税を計算するために受け取った保険金額を確認しなければならないんです。

愛人が話し合いに応じない

このように保険金には相続税が課税されるのですが、それを説明してもなかなか保険金額を教えてもらえないことがあります。

保険金を受け取った愛人としては、保険金分の相続税は自分で申告すると考えるからです。ところが、相続税は総額を計算した上で相続人ごとの負担金額を算出するため、計算の流れ上、愛人が受け取った保険金でも相続人が把握する必要があるのです。

相続税は相続人など納税義務者が一緒に相続税申告することが一般的です。

愛人が教えてくれないとなると、相続人と愛人は別々に相続税申告をすることになるので、同じ相続なのに申告する遺産総額などに違いが出てきてしまい、税務調査のリスクが高まる可能性があります。

保険金でも相続税がかからない

保険金が支払われたとしても、必ず相続税が課税されるとは限りません。

被相続人が被保険者であり保険料負担者である場合には、受取人に対して相続税が課税されますが、保険料負担者が受取人と同一であれば所得税、その他の者であれば贈与税が課税されるのです。

そのため、相続だからといって必ず相続税が課税されると考えていると、申告漏れなどが発生しますので注意しましょう。

 

納得できない相続人が多い

保険金の相続が紛争化してしまう一番の原因、それは他の相続人が納得できないことにあります。いくら保険金が遺産分割の対象外とはいえ、いきなりそんなことを受取人からいわれても、騙されているのではないかと疑ったり、疑心暗鬼になったりするケースが多く、親族間がギクシャクしてしまうのです。

遺言執行者が有効な対策に

こうした保険金による紛争を防止するためには、私の経験上「遺言執行者」を指定することが一番効果的です。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実行する人のことで、遺言書の中で指定をします。相続人でも遺言執行者に指定できますが、私がおすすめしたいのは弁護士に遺言執行者を依頼するということです。

遺言書の作成を弁護士に相談すれば、そのまま遺言執行者についても引き受けてくれます。弁護士が遺言執行者に選任されていれば、相続発生時に保険金の取り扱いについて、弁護士が直接説明してくれますので、相続人としても納得がしやすくなります。

また、遺言書の作成に関与した弁護士が遺言執行者をすることで、被相続人の意図もわかっているため相続人に対する説明もスムーズに進みます。

私の経験では、遺言執行者を選任しているケースとそうでないケースとでは、手続きのスムーズさに大きな差が出ますので、できるだけ遺言執行者を弁護士に指定しておくことをおすすめします。

 

まとめ

相続における保険金の取り扱いは、紛争の火種になることがよくあります。

残された家族が争わないためにも、遺言書で弁護士の遺言執行者を指定して未然に紛争を回避しましょう。

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