相続税 2020.07.27

相続税をエクセルの表計算を使って試算する方法

相続税の計算は他の税金と比較してもとても複雑なので、電卓で計算をしていると大変です。
そこでおすすめしたいのがエクセルです。
マイクロソフトのエクセルの表計算を上手に活用すれば、複雑な相続税の計算もスムーズにできます。
そこで本記事では、エクセルを使って相続税を試算する際のポイントや計算の流れについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

ステップ1:相続財産を洗い出す

相続税を計算するためには、まず相続財産の総額を洗い出す必要があります。

ここで重要になるのが、マイナスの財産です。相続税はプラスの財産から借金などのマイナスの財産を債務控除できるので、試算する際には必ずマイナスの財産も漏れなく確認して盛り込みます。

エクセルを使う場合は、プラスの財産とマイナスの財産を別の列に項目をかき出し、金額を入力していき最後にオートサムで集計して合計を試算します。

基本的にはプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた金額が、相続税を試算する際のおおもとの金額になります。

 

ステップ2:基礎控除額を差し引く

先ほど試算した金額から、相続税の基礎控除額を差し引きます。
基礎控除額の計算例は以下の通りです。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

例えば、相続人が配偶者と子供の2名である場合は、4,200万円が基礎控除として差し引くことができます。よって、先ほど試算した金額が4,200万円以下であればこの時点で相続税はかからないということになり、相続税申告の必要はありません。

基礎控除を差し引いても残った金額、それが課税遺産総額となります。

 

ステップ3:法定相続分で分ける

試算した課税遺産総額に直接税率をかけて試算している人が時々いるのですが、これは間違いです。正しい相続税を試算するためには、課税遺産総額を法定相続分に応じて、各相続人に分けて計算をします。

例えば、配偶者と子供が相続人の場合で5,000万円の課税遺産総額を分けるとすると、法定相続分が1/2ずつなのでそれぞれ2,500万円ずつです。

この説明をすると、法定相続分とは違う分け方をしている場合はどうなるのか、という質問をよくされるのですが、相続税の計算上は実際の遺産分割協議でどのように分けたかに関係なく、法定相続分で分けたと仮定して計算をします。

ただ、各相続人が負担する相続税額の分担については、後程解説しますが実際の相続分に応じて試算しますので不公平にはなりません。

 

ステップ4:相続税の総額を試算する

法定相続分で分けた金額に対して、それぞれ相続税の速算表に基づいて次のように税額を計算します。

配偶者:2,500万円×15%-50万円(控除額) =325万円

子供:2,500万円×15%-50万円(控除額)  =325万円

上記の計算は、エクセルに予め計算式を入力しておけば自動で計算できますので、何度も試算する際にとても重宝します。

最後に上記税額を合計すると、本相続において課税される相続税の総額が試算できます。

325万円+325万円=650万円

これが相続税の総額です。

 

ステップ5:それぞれが負担する相続税額を試算する

650万円はあくまで相続税の総額なので、この金額を実際の相続分に応じて分けます。

例えば、法定相続分だと今回のケースでは1/2ずつですが、実際は配偶者が80%、子供が20%の相続割合だとすると、それぞれが負担する相続税は次の通りです。

配偶者:650万円×80%=520万円

子供:650万円×20%=130万円

上記金額がそれぞれ負担する相続税の金額になります。

ただし、配偶者については配偶者の税額軽減という控除制度があり、法定相続分か1億6,000万円いずれか高い金額に対する額までの控除が使えるのです。

よって、今回のケースでは配偶者は当該控除によって相続税がすべて控除されるので一切金額は発生せず、子供だけが130万円の相続税を納税することになります。

このように実際に試算してみると、配偶者の税額軽減の効果が実感できますが、だからといって配偶者の相続割合ばかりを増やすことは危険です。配偶者に相続された財産は、いずれ子供に相続されることになるので、いわゆる二次相続が発生した時に結局相続税が課税されます。

よって、将来的なことを考えた場合、ある程度の割合は子供に相続させることを考えた方がよいでしょう。

 

まとめ

今回はエクセルを活用して相続税を試算する際の流れについて解説してきました。

エクセルの表計算を活用すれば、一番手間がかかる課税遺産総額の計算がスムーズにできますし、あとから財産が発覚した場合もすぐに試算し直すことができます。

相続税対策を検討している方は、一度エクセルで表を組んでおけばとても便利です。

自分で作るのが大変という方は、税理士のホームページからダウンロードできるものもありますので探してみましょう。

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