相続税 2020.08.21
相続放棄をすると送られてくる相続放棄照会書とは
相続財産に借金などのマイナスの財産が多かった場合、相続をせずに放棄をするための相続放棄という手続きをとらなければなりません。
そこで本記事では、相続放棄の手続きをすると送られてくる相続放棄照会書の書き方などについて詳しく解説します。
相続放棄の窓口
相続放棄は単に遺産を相続しないことではなく、家庭裁判所に対して書類を提出して行う正式な手続きで、相続放棄をすることで当初からその人は相続人ではなかったこととなります。
単に遺産を相続しないとするだけだと、プラスの財産だけであればそれでもいいかもしれません。
ところが、マイナスの財産がある場合については、相続した人がきちんと返済してくれればいいですが、返済が滞るとたとえ1円も相続していない場合でも、債権者から督促されることになります。
このような事態を回避するためには、家庭裁判所で相続放棄の申述をして相続人から外れる正式な手続きを踏む必要があるのです。
家庭裁判所に相続放棄申述書を提出すると、しばらくして家庭裁判所から本人宛に相続放棄照会書が届きます。
相続放棄照会書ってなに?
相続放棄照会書とは簡単にいうと「本当に相続放棄して大丈夫ですか」という最終確認をするような意味合いで送られてくる書類のことです。相続放棄照会書を返送することで、そのまま相続放棄の手続きが進行していくことになります。
相続放棄照会書で聞かれることは主に次の通りです。
相続放棄照会書ポイント1:被相続人の死亡を知った日
被相続人が亡くなられたことをいつ知ったのかについて聞かれます。これは相続放棄に期限があるからです。
相続放棄は相続があったことを知った日から3ヶ月以内にしなければならないという規定があるため、この期限内に相続放棄の申述が行われているかどうかを確認する必要があります。
通常であれば、亡くなられた日と同日になることが多いでしょう。
仮に3ヶ月をオーバーしている場合でも、一定の事情があれば相続放棄が認められることもあるようです。
相続放棄照会書ポイント2:自分の意思によるものであるか
相続放棄をすることが自分自身の意思によるものか確認されます。
仮に自分の意思ではなく、他の相続人が勝手に提出しているようであれば、自分の意思ではない旨回答すれば相続放棄の手続きはストップするでしょう。
相続放棄照会書ポイント3:相続放棄をする理由
相続放棄をすると相続人ではなくなってしまうので、プラスの財産があると一切受け取る権利を失うことになります。よって、なぜ相続放棄をするのかの理由を確認することで、うっかり相続放棄をしてしまうケースを防止しているのです。
理由には以下のようなものがあります。
・被相続人から生前贈与を受けている
・生活が安定している
・遺産が少ない
・遺産を分散させたくない
・債務超過のため
これら以外にも、他の相続人と関わりたくないなどの理由があるかと思いますが、この部分については正直に記載すれば問題ありません。
通常は債務超過のため、を選択するケースが多いでしょう。
相続放棄照会書ポイント4:遺産を処分、消費したことがあるか
ここが非常に重要です。
相続放棄は遺産を処分したり消費したりしていると、単純承認つまり相続するとみなされて以降は相続放棄ができなくなるのです。
例えば被相続人名義の預金を下ろして使ったりしていると、たとえ3ヶ月以内に申述していたとしても、相続放棄が認められない可能性がありますので注意しなければなりません。
ウソ偽りを書いてはいけませんが、遺産に手を付けてしまっている人については一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
相続放棄照会書が届かない場合もある
相続放棄照会書は必ず届くわけではありません。
相続放棄申述書を確認して、問題がないと判断されれば相続放棄照会書は発送されず、そのまま受理されることもあるそうです。
よって、数週間経過しても家庭裁判所から相続放棄申述書が送られてこなければ、一度問い合わせて確認してみましょう。
相続放棄で失敗するケース
相続放棄は原則として一度すると取り消すことは非常に難しいので、慎重に判断する必要があります。例えば、相続放棄をした後に遺産が見つかっても、相続放棄は取り消せない可能性があるのです。
相続放棄をすると、たとえ相続人全員で話し合ったとしても、法定相続人には戻れないので相続という形で遺産を取得することは不可能になります。
よって、相続放棄を検討する際には、本当に債務超過なのか慎重に確認するようにしましょう。
まとめ
相続放棄照会書は相続放棄が受理される一歩手前の最終確認で送られてきます。
相続放棄照会書は基本的に事実のまま記載すれば問題ありませんが、すでに被相続人の遺産を使ってしまっていると相続放棄照会書にその旨を書かなければならないので、相続放棄が認められなくなる可能性がある点に注意が必要です。
その他の項目については、特段難しい部分はありません。
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