相続税 2020.08.28

相続税で間違いやすい養子縁組の取り扱い。トラブルや注意すべきポイントとは

相続税を計算する際には、数学的な要素はもとより相続人に関する正しい知識を持っていないと間違えて申告してしまうリスクがあります。
中でも注意が必要になるのが「養子縁組」です。
そこで本記事では、養子縁組でよくあるトラブルや注意すべきポイントなどについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続税における養子縁組の取り扱い

養子縁組とは法律的な親子関係を生じさせる手続きのことで、普通養子縁組と特別養子縁組があります。養子縁組は相続税の取り扱いにおいて、原則として実子と同じように取り扱われます。

普通養子縁組とは

普通養子縁組とは、実親との親子関係をそのまま維持して養親と養子縁組をします。

よって、養親が死亡した場合はもちろんの事、元々の実親が死亡した場合にも相続人になるのです。

相続税対策などで用いられる養子は、普通養子縁組であることがほとんどです。

特別養子縁組とは

子供の福祉を図る目的で行う養子縁組で、家庭裁判所の決定を受けて成立する養子縁組のことです。当事者の意思で行われる普通養子縁組とは違い、特別養子縁組は実親との親子関係を断ち切ることになるので慎重に行われます。

相続税の関係では、普通養子縁組、特別養子縁組どちらのケースについても実子と同じように扱われます。

 

相続税が割高になってトラブルに

養子縁組した人は実子と同じように扱われますが、一点例外があります。それは孫と養子縁組した場合です。

孫と養子縁組することで、相続を一代飛ばすことができるので節税対策でよく用いられるのですが、この場合ある部分は実子と異なる取り扱いを受けます。

それは相続税の2割加算です。

被相続人から血縁関係が遠い相続人や、そもそも血縁関係がない人が相続した場合については、本来納税すべき相続税から2割加算されることになります。

養子縁組している場合は、実子と同じ扱いを受けるので基本的には相続税の2割加算の対象外ですが、孫と養子縁組した場合については例外的に相続税の2割加算の対象となるのです。

このことを知らずに孫と養子縁組をしてしまう人がいて、トラブルになることがあります。

養子縁組すること自体は節税対策の1つとして有効ではありますが、孫と養子縁組する場合は十分注意が必要です。

代襲相続はどうなるのか

養子縁組ではなく、子供が先に死亡していて孫が子供の地位を代襲して相続人になるケースでは、相続税は2割加算されるのでしょうか。

結論からいうと、代襲相続の場合相続税の2割加算はありません。

あくまで養子縁組をして意図的に孫を相続人にした場合に2割加算が適用され、代襲相続の場合は子供の地位を引き継いでいますので適用されないのです。

ちなみに、税務署側は相続税対策としての養子縁組は認めない方向ですので、その点も頭に入れておきましょう。

 

養子縁組をするメリット

養子縁組をすると相続には様々な影響があります。

中でも一番のメリットは相続税の基礎控除額の増額です。相続税は相続する財産が基礎控除額以下であれば相続税がかかりませんが、基礎控除の計算においては相続人の人数が関係してきます。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数

このような計算式になっているため、法定相続人が1人増える度に基礎控除額が600万円上乗せされるのです。ただし、無限に上乗せされるわけではなく、次のような制限があります。

・被相続人に実の子供がいる場合1人まで
・被相続人に実の子供がいない場合2人まで

また、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果になると判断された場合は、養子であっても基礎控除の計算から除外されるので注意が必要です。

息子の嫁と養子縁組する

最近相続対策で注目され始めているのが、息子の嫁との養子縁組です。

女性の平均寿命の方が長いため息子が先に死亡して息子の嫁とそのまま同居をしていくケースがよくあります。

この場合、嫁が献身的に義理の両親の世話をしていても、将来相続が発生した際には相続人ではないので一切遺産は受け取れません。

そこで息子の嫁と養子縁組をすることで、相続が発生した際に一定の財産を息子の嫁に相続させられるのです。ただし、このやり方は実子との間でトラブルになることもありますので、その点も十分考慮に入れておく必要があります。

 

まとめ

養子縁組は節税対策として用いる人もいますが、本来の養子縁組の趣旨からは外れるので、節税対策のみが目的の養子縁組はあまりおすすめできません。

ただ、息子の嫁のように相続させたい人が具体的にいる場合に、養子縁組をすることは遺産分割対策上非常に有効なので覚えておくといいでしょう。

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