相続税 2020.11.11

相続税はいつまでに払う必要がある?相続税を期限内で納めるために知っておきたい時効と手続きまでのスケジュール

一定の遺産を相続したら納める必要がある相続税ですが、一生に何度もある経験ではないため詳細を理解している人は決して多くありません。
ここでは、相続税の時効や手続きのスケジュール、期限を過ぎた場合の処置を含め、相続税をいつまでに払うべきか、申告の準備はどうするかについて整理して説明します。

記事ライター:棚田行政書士

相続税には時効がある

相続税における「時効」のことを排斥期間といいます。

一定期間を経て条件を満たす時、国は相続税の徴収権利を持たなくなるというものです。条件を満たす場合、相続人は、国からの納税通知が届かない限り相続税を払う必要がなくなります。

そもそも、相続税をいつまでに払うかといえば、「申告・納税期限は、被相続人の死亡を知った翌日から起算して10ヶ月」という規定上、10ヶ月後がリミットです。したがって、時効が適用されるのは、申告期限の10ヶ月間からさらに5年経過した時点となります。

ただし、相続人が「被相続人の死亡を知らなかった場合」「相続税の納税について全く知らなかった場合」なので注意しましょう。

一方、相続税の申告・納税義務があると知りながら相続税をいつまでに払うか確認と申告準備等を怠った場合、国からの通知が届かなければ7年10ヶ月で時効を迎えます。

 

相続税の申告期限を過ぎた場合の措置

相続税には申告期限がありますから、それまでに納税まできちんと済ませなければなりません。納税は義務ですから相続税をいつまでに払うか必ず確認すべきでしょう。

それを怠った場合は、「小規模宅地等の特例や農地の納税猶予の特例を使えなくなる」「その他相続税の特例制度が使えなくなる」「延滞税等がかかる」といったデメリットを受けることになるので注意が必要です。

こういった事態を避けるためには、以下に挙げるような対策を行っておくことが大切です。

1:概算額で申告と納税を済ませる

相続税の申告作業は非常に煩雑で時間がかかるものですから、時間的に間に合わなくなるケースは少なくありません。

そういった場合は、概算額を算出し納税しておくという方法を使うことができます。後から正確な数値を出して申請内容を直し、相続税の還付あるいは追徴金の支払いにより手続きを完了させることが可能なのです。

2:申告期限後3年以内の分割見込書を提出する

遺産分割協議が難航し相続税をいつまでに納められるか不明瞭な場合、申告期限内に税金を納めることができなくなってしまいます。

そこで、仮の措置として、「申告後3年以内の分割見込書」を提出し、法定相続割合に基づいた遺産相続を想定した税額計算を行い、一旦納税しておく方法を採ることも考えてみましょう。

そうすることで、相続税をいつまでに納められるかわからないといった状況を回避できますし、遺産分割協議がまとまってから改めて修正を行うことにより、納めた税金の還付あるいは追納を行い手続き完了とできるからです。

3:延納や物納で納税する

どうしても相続税分のお金を用意しきれず難儀している場合は、その事情を鑑みて延納が認められるケースがあります。それでも納付が難しい場合、条件を満たせば物納申請を行うこともできるので、「相続税をいつまでに払うことができるかわからない」といった状況を避けることができるでしょう。

 

相続税の申告スケジュール

相続税には申告スケジュールがあり、それに沿って粛々と手続きを進めなければなりません。

1:準確定申告

まず、4ヶ月以内に被相続人の準確定申告を行いますが、被相続人の葬儀を終え身辺整理等や遺産分割協議等と同時進行で進めなければならないので、4ヶ月は案外早く過ぎてしまいます。この点に注意してください。

2:書類集め

戸籍謄本等、申告に必要な各種書類を集めておきます。相続税の手続き上、いつまでに書類を用意すべきか、細かく予定を立てておくと良いでしょう。

3:財産評価

金銭は残高で確認できますが、不動産を持っていた場合は専門業者から見積もりを取る必要があります。

4:遺産分割協議

被相続人が遺言を残していればそれに基づき、ない場合は法定相続割合に基づいて、各々の相続分を決定しなければなりません。

5:相続税申告手続き

同時に、被相続人の死亡を知った翌日から起算して10ヶ月以内に、相続税納付のための申告準備を進める必要があります。

一般的に10ヶ月と聞けば「ある程度の長期間」を想定しますが、身内を亡くした遺族にとっては、様々な作業に忙殺されながら過ぎる10ヶ月でもあるでしょう。

そこで、相続税をいつまでに払えばいいかわからないといった状況を回避する目的からも、申告スケジュールをきちんと立て、スムーズに動けるようにしておくことです。

申請準備において何よりも早くするべきは、被相続人の財産状況の把握です。

貯金や現金、株式等のプラスの財産と借金等のマイナス財産がどれだけあるかは、特に重要な点となります。

 

まとめ

相続税の申告作業は10ヶ月という短期間の間に済ませなければならないため、相続税をいつまでに払うか、その時期はおのずと決まってきます。

納税が遅れてしまうとペナルティを受けることにもなるため、期限には注意して進める必要があるでしょう。

だからこそ計画をきちんと立て、相続人同士がよく協力しあって、できるだけスムーズに申告作業を進められるようにしたいものです。

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