相続税 2020.11.13

【令和2年度版】これまでとどう変わった?相続税の変更内容まとめ

令和2年度の税制改正大綱が決定され、令和2年1月1日から同年12月31日までの間に被相続人となった人を対象とした相続税の変更がなされました。
大きな相続税の変更点は2カ所あり、配偶者短期居住権と配偶者居住権について施行されている点に注目しましょう。ここでは、相続税が変更に至る改正の歴史や背景事情について説明していきます。

記事ライター:棚田行政書士

相続税の法改正の歴史

そもそも日本の相続税変更の発端となったのは、戦後アメリカによる「シャウプ勧告」を受けての税制改革だとされています。それまで財閥等に集中していた富を公平にする目的で、日本における税率を高くするよう要求してきたのです。

これが税制改正の歴史の始まりとなり、相続税に関する変更点としては、昭和25年の高度累進課税制度が挙げられその税率は90%に達することになりました。

昭和27年には、最高税率を70%まで引き下げ、さらに時を経て50%、55%と推移しましたが、結局は、数十年に渡り相続税の大きな変更は特に行われてこなかったと言えます。

しかし、平成25年になり、非嫡出子の相続割合を嫡出子と同率にすることが最高裁で決定されたことから、民間では相続時の諍いのたねになるのではないかという危惧が広がりました。

具体的には、非嫡出子が法定相続人として被相続人の配偶者を追い出して相続しようとするのではないかといった心配や不安です。

このように、非嫡出子の法定相続分が増えることに伴う配偶者の処遇に不安が発生したことから、相続税の変更に関して最高裁事件にまで発展したと言われています。

 

相続税改正の背景

過去数回行われてきた変更に比べると、相続税改正は非常に大きな出来事だったと言えます。従来は、最高税率の引き下げ等「税率を下げる」ことに重きがおかれていたからです。

その後、平成27年に法律は改正されましたが、被相続人がバブル期に購入した不動産について、バブル崩壊後の相続人が高額な相続税を払えないケースが激増したことが問題となっていました。

法律自体はバブル期の基準を維持していたため、実際に納税できたのは全体の数%にも満たなかったのです。

この状況を鑑みて、相続税が適正額となるよう配慮し、納税者がきちんと納税できるよう、長い時を経て相続税が大きく変更されたのだと言えます。

 

令和2年度改正のまとめ

令和2年度の法改正による相続税の大きな変更点について見ていきましょう。

1:未利用地と低利用地に関する特別控除

空地や空き家等、長期に渡り使用されていない土地建物のことを「未利用地」といい、資材置きなど頻繁に使用されているわけではない土地のことを「低利用地」といいます。

これらの未利用地が仮に都市計画区域にあった場合、長期譲渡所得額から100万円を控除することができます。ただし、譲渡額は500万円以下に制限がつく等の各種条件もありますが、相続税の変更点としては大きなものの1つに挙げられるでしょう。

2:配偶者居住権と配偶者敷地利用権

これが相続税の変更点としてよく取り上げられているものになります。

仮に嫡出子・非嫡出子を問わず、子が自宅を相続したとしても、被相続人は無償で自宅に住み続けることができるため、追い出されるような事態には至りません。

また、配偶者敷地利用権により、自宅が建つ土地も、配偶者は無償で使い続けることができます。これにより、配偶者の立場は正式に守られることになったのです。

この他、配偶者が配偶者居住権や配偶者敷地利用権を放棄する代わりに金銭対価を受け取った場合、これを譲渡所得として計上し課税対象とする相続税上の変更点もあります。

3:所有者不明の土地に関する相続税上の変更点

所有者不明の土地がある場合、課税する上で困難が少なくなるよう、現在の所有者が課税対象者となることになりました。また、明確な所有者がいない場合、現在主に土地を使用している者を所有者と見なして課税できるよう相続税の変更が行われたのです。

令和2年度の税制改正大綱では、主に土地関係と配偶者関係の相続面での変更点が見られました。従来とは大きく取り扱いが変わるところでもあるため、予め十分に相続上の変更箇所を確認し理解しておくことが大切です。

特に、相続に関する法令は頻繁に見直されているため、注意が必要だと言えます。

 

まとめ

法律という難しい分野で相続税の納税手続きを進めていくうえで、納税者としてはできるだけ使える特例は使い、控除を利用して、納められる範囲の納税額に落としどころを持っていきたいところでしょう。

しかし、これら税制に関することは非常に専門的であり、同時に相続税の納税まで10ヶ月という期間も存在します。この期限内に正しく手続きを行う必要があることからも、できるだけ相続問題の取り扱いが多い税理士事務所等の力を借りて相続税の申告を進めていくことが大切になってくるでしょう。

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