相続税 2021.01.13

家族信託のメリットとは?

相続対策としては遺言書が有名ですが、最近では家族信託が徐々に注目を集め始めていることをご存じでしょうか。
信託というと銀行のイメージが強いかもしれませんが、信託は家族に対してすることも可能です。これを家族信託といいます。
家族信託を活用すれば、死亡までに起こりえるさまざまなリスクにも対応できるためとてもおすすめです。
そこで本記事では、家族信託のメリットについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

家族信託とは何か

家族信託とは、財産を信じて託すことで、一般的には銀行の信託が有名ですが、銀行ではなく家族を信じて託すのが家族信託です。

例えばアパートの大家さんが家族信託をする場合、自分でアパートを所有したまま、賃貸経営者である受託者と、家賃を受け取る受益者を家族に指定する内容の信託契約書を締結します。

・委託者:本人
・受託者(賃貸経営する人):子
・受益者(家賃を受け取る人):孫

通常、本人が所有していれば賃貸経営するのも家賃を受け取るのも本人ですが、家族信託を利用することでこれらをすべて別々の人に指定することができるのです。

では、受託者、受益者を指定することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

家族信託のメリット1:認知症のリスクに対応できる

アパート経営をしている本人が認知症にかかってしまうと、その後の賃貸経営が非常に難航します。具体的には、家賃の集金管理や建物に必要な維持修繕費用の支出、さらには管理会社との管理委託契約など、さまざまな法律行為について本人が行うことができません。

通常、このような状況に陥ると成年後見という制度を利用することになります。

成年後見制度とは、認知症や痴ほうなどで判断能力がなくなってしまった方の財産を保護するために、裁判所に申し立てをして本人の代わりに財産を管理する成年後見人を選任してもらう必要があります。

この場合、手続き的には非常に大変で医師の診断書など様々な書類が必要になるほか、時間もかかるため実際に利用するのはとても大変です。また、成年後見人を家族で選任できたとしても、財産の処分など一定の行為については後見監督人や裁判所の許可などが求められるため、とにかく時間がかかります。

一方、家族信託を利用した場合、本人が認知症にかかったとしても賃貸経営の実務については、事前に受託者に委託しているので、本人の同意をその都度得ることなく、受託者の名前で管理委託契約書を締結したり、場合によっては物件自体を売却したりすることも可能です。

つまり、本人が認知症になっても成年後見制度を利用することなく、これまで通り受託者が主体となって賃貸経営を継続することができます。

 

家族信託のメリット2:破産リスクも回避

アパートの所有者が何らかの事情で破産した場合、通常であればアパートは差し押さえの対象になります。一方、家族信託を使っている場合、本人が自己破産した場合でも、アパートは信託財産なので受託者に属するという扱いになり、差し押さえの対象ではなくなるのです。

ということは、受託者が破産したらアパートを差し押さえられるのでは、と思うかもしれませんが、ここが家族信託の面白いところで、信託財産は独立した財産として扱われるので、受託者が破産したとしても差し押さえられません。

このように破産から財産を守ることができることから、「倒産隔離機能」ともいわれています。

 

家族信託のメリット3:遺言書でできないことを実現できる

遺言書で財産を相続させる場合、自分が死亡した時の相続についてはもちろん指定できますが、そこから先の二次相続のことについては遺言書に書いたとしても実現することができません。

よく相談されるのは、自分の財産を妻に相続させたのち、将来妻が死亡したら長男に相続させることはできますか、と聞かれることがあるのですが、これを遺言書で実現することはできません。

通常であれば、妻の相続については妻自身の遺言書でしか指定ができないからです。

一方、家族信託を利用した場合、信託契約書の条文で信託財産から生じる家賃について、受益者が死亡した場合、次の受益者を指定しておくことができます。つまり、妻の死亡後の二次相続にまで踏み込んで信託契約ができるということです。

こういった内容の信託契約のことを「後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託」といいます。

これを使えば、遺言書では実現できない二次相続後の扱いについても、本人の意思で実現することが可能なのです。

 

まとめ

今回は家族信託のメリットについてまとめてみました。

家族信託はまだ広く一般には浸透していませんが、メリットが非常に大きく成年後見制度よりも使い勝手がいいので、アパートなどの収益物件をお持ちの方については特におすすめです。ぜひ遺言書とあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

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