相続税 2022.03.25
養子を増やしたて節税したい!デメリットはある?
財産を持っていれば、自分が亡くなったときにかかる相続税が気になるのではないでしょうか?財産が多く、多額の相続税がかかると、相続人の負担が大きくなってしまいます。生前から相続税の節税対策を考えておくのがおすすめです。
今回は、資産家の間で広く行われる養子縁組による節税対策について説明します。節税目的の養子縁組の有効性やデメリットについて理解しておきましょう。
養子は実子と同じ相続権を持つ
日本には養子縁組の制度があり、血のつながった実の子供以外に、法律上の子供である養子を作ることができます。跡継ぎがいないなどさまざまな理由で、養子縁組は昔から行われてきました。
養子は法律上、実子と同じ扱いです。相続の場面でも、養子は実子と同じ権利を持ちます。
子供は第1順位の相続人ですから、養子は必ず養親の法定相続人になります。
相続分も実子と変わりません。
養子を増やせば節税になることも
ところで、養子がいれば、相続税が安くなることをご存じでしょうか?
相続税は、法定相続人の人数に左右されます。養子縁組をすれば、法定相続人の数が増えるので、相続税の節税になるのです。
相続税がかかるのは、相続財産の額が基礎控除額を超える場合です。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。
つまり、相続財産の額が同じでも、法定相続人の数で課税の有無が分かれることがあります。
また、相続税には生命保険金や死亡退職金の非課税枠が設けられています。
相続の際に生命保険金や死亡退職金を受け取っても、それぞれ「500万円×法定相続人の数」までは課税されません。
税法上カウントできる養子には制限がある
民法では養子の数に制限はなく、何人でも養子にできます。
そこで、「養子をたくさん作って法定相続人を増やせば、相続税を払わなくてもよくなるのでは?」と考える人もいるでしょう。
残念ながら、相続税の計算では、法定相続人に含められる養子の数は限定されています。法定相続人に含められる養子の数は、亡くなった人の実子がいるかどうかで変わります。
実子がいれば養子は1人だけ、実子がいなければ養子は2人まで法定相続人としてカウントできます。節税目的で無制限に養子を増やすことはできない仕組みになっているのです。
そもそも節税目的で養子縁組してもいい?
養子縁組は法律上の親子関係を生じさせるものですから、慎重に行わなければなりません。
親子関係が生じると、相続権や扶養義務も発生します。養子縁組は重大な身分行為なのです。
こうしたことから、「そもそも節税目的で養子縁組をしてもいいのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。
節税目的の養子縁組の有効性については、2017年(平成29年)に最高裁が無効ではないと判断しています。
ただし、養子縁組をするには、当事者双方が親子関係を生じさせる意思を持っていなければなりません。
たとえば、認知症で意思能力がない人と、節税目的で養子縁組をしても無効です。節税を考えて自らの意思で孫などと養子縁組するケースなら、特に問題はありません。
養子縁組が原因で相続トラブルになることも
さて、養子の人数に制限があるとはいえ、養子縁組をすれば節税になることは確かです。
相続税対策のために、ぜひ養子縁組したいと考える人もいるでしょう。
しかし、新たに養子を作ることで、相続手続きがスムーズに進まなくなる可能性も考慮しておかなければなりません。
法定相続人が増えると、他の相続人の取り分が少なくなってしまいます。
たとえば、妻と実子1人がいる人が新たに養子を迎えた場合、実子の相続分は2分の1から4分の1に減ります。実子としては当然嬉しくないでしょう。
また、長男の嫁など、自分の子供の配偶者と養子縁組するケースでは、子供が離婚したときに注意が必要です。
子供が離婚しても、養子縁組を解消しなければ、子供の配偶者との親子関係はなくなりません。
うっかり養子縁組の解消を忘れていると、他人になった元嫁、元婿が相続権を持ってしまうことがあります。
孫養子のデメリットとは?
孫を養子にする「孫養子」はよく行われています。孫の代に財産が渡るまでには、通常、親から子、子から孫の2回の相続を経なければなりません。
相続税が2回かかると、税負担も重くなります。
孫を養子にすれば、相続1回ですみ、節税になるというわけです。
孫を養子にすれば法定相続人の数も増やせるため、節税効果が大きいように思います。しかし、孫養子は節税効果が薄いことがあります。
配偶者や親、子供など被相続人に近い親族以外が財産を相続した場合、相続税は2割加算されます。孫養子にも相続税の2割加算が適用されるのです。養
子縁組の際には、税理士などの専門家に節税効果を相談してから決めた方がよいでしょう。
まとめ
養子を増やすことで、相続税を節税できることがあります。
ただし、養子縁組は権利義務を発生させる重要な手続きですから、自己判断で決めないようにしましょう。
まずは親族に説明して理解を得ることが不可欠です。節税効果についても専門家に確認し、慎重に進めましょう。
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