土地・不動産 2018.05.14
土地とマンションの等価交換の意味と、その特色とは
大都市圏では、土地の所有者とマンションの建設業者が等価交換方式の取引を行い、古い建物が建っていた土地に新しくマンションを建てることが多くなっています。
土地とマンションの等価交換によるマンション建設は、近年そのメリットが広く認識され、一般的にも普及している取引形態です。
今回の記事では、土地とマンションの等価交換とは具体的にどのようなものなのか、どんな特色を持っているのかについてご紹介します。
土地とマンションの等価交換とは?
土地とマンションの等価交換とは、具体的にどういうことなのでしょうか。一般的に土地とマンションを等価交換する場合の取引は、次のようになります。
1. 土地の所有者が、自分の所有する土地をマンション建設業者に提供する
2. マンション建設業者がその土地に自費でマンションを建てる
3. 建ったマンションの一部が、土地の所有者のものとなる
つまり等価交換とは、所有者が持つ土地の一部と、マンション建設業者が建設するマンションの一部とが物々交換されるという取引になります。
等価交換と呼ばれているのは、交換される土地の一部とマンションの一部が等価になるように設定されていることに由来します。等価交換ではなく、価値の点で隔たりがある場合には、差額分を現金で精算することとなります。
土地とマンションの等価交換が増えている背景
近年は都市部を中心に、土地の所有者とマンション建設業者との間での等価交換によって建設されるマンションが増えています。
従来のマンション建設・経営は、マンション建設業者が土地を購入してマンションを建て、分譲するというシンプルなものが主流でした。マンション建設に適した土地を見つけて十分な額のお金で買い取れば、容易に土地を入手できたわけです。
しかし現在、マンションのニーズが高まっている地域では空地がほとんどありません。そこで、古い住宅や店舗が建っている土地を買い取って中高層のマンションなどを建て、限られた土地を最大限に有効利用しようという動きが見られています。
しかしそうなると当然、元々その土地に住んでいる人たちにどのように納得してもらうかが問題になります。
他の土地へ移転させられるとするなら、元の住人はその土地で長年営んできた仕事を手放したり、慣れ親しんだ地域との別れを強いられたりすることになるでしょう。
等価交換が進む都市部であれば、近場に新たな住まいを見つけることは難しく、今までよりも不便な土地に追いやられる可能性もあります。立ち退き料を支払いさえすればそれで良いということにはならないのです。
その点、等価交換によってマンションが建つのであれば、元の住人はマンションの一部を等価交換によって取得し、自分で住むことができます。
多くの場合、古い木造住宅から鉄筋コンクリート造などの堅牢な新築物件に無償で住み替えることができ、生活も快適になるでしょう。商売をしている人でも、等価交換であれば場所を移転せずに仕事を続けられる可能性が高まります。
このように、土地とマンションの等価交換は、元々そこに住んでいた人にとってもメリットをもたらすだけでなく、時代が求めるニーズをも満たすことができるため、近年普及しているのです。
土地とマンションの等価交換に適用できる税制上の特例も
土地を譲渡して新たな土地に移転しようとする場合には、譲渡益に対して所得税や住民税が課されます。
所有していた土地を売却した時の譲渡所得税には、様々な軽減制度や特例が設けられてはいますが、適用のための要件は細かく定められており、実際に適用できるケースは少ないことも事実です。
特例が適用にならないと多額の所得税を支払うことになるため、次の土地を取得するための資金もその分抑えられてしまいます。必然的に、今よりも価値の低い土地しか入手できなくなってしまうでしょう。
しかし、等価交換によって土地とマンションを交換する場合には、等価交換のための税制上の特例が設けられています。等価交換であれば、新たに取得するものが税金によって目減りするという事態を避けることもできます。
これは主に等価交換を行う土地所有者にとってのメリットですが、税金面の心配が不要なことも、等価交換によるマンション建設が増えている理由のひとつと言えるでしょう。
まとめ
土地とマンションの等価交換は、現代の住宅供給ニーズを満たしつつ、土地の所有者およびマンション建設業者の双方の利益が合致するために、選択されることが増えています。
他方、マンションのニーズが少ない地方や郊外地の場合は、等価交換でマンションが建つことは少ないでしょう。
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