土地・不動産 2018.08.26
建物の相続税評価額はどうやって出す?
近年、相続税の基礎控除枠が縮小され、財産を相続した場合に相続税が課税されるケースが増えました。土地や建物といった不動産は、一般に金額が高いものですから、相続税の課税の有無が気になるはずです。ここでは、不動産のうち、建物の相続税評価額の計算方法について説明しますので、参考にしてみてください。
相続税評価額は売買価格とは違う
財産を相続すると税金がかかる
親族が亡くなって相続が発生すると、相続人は財産を取得できます。財産を取得するといっても、よいことばかりではありません。相続で財産を受け取ると、相続税という税金の大きな負担も発生することがあります。
相続税が課税されるかどうかは、亡くなった人が残した財産の額によります。亡くなった人が残した財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続税の課税対象となります。
相続税評価額は定められているとおりの方法で出す
相続税の課税対象となるかどうかを知るためには、相続財産の額がトータルでいくらになるかを計算しなければなりません。相続財産は、現金や預金など、金額が明確なものばかりではないので、財産をどのように評価して金額を出すべきかが問題になります。
相続財産の評価方法については、「相続税法」という法律や国税庁の出す「財産評価基本通達」で、具体的な基準が定められています。相続財産の額を計算するときには、定められているとおりの評価基準にもとづいて評価額を算出し、これを合計する必要があります。
建物を売った場合の値段が相続税評価額ではない
亡くなった人が建物を残している場合には、建物の評価額を出さなければなりません。建物の評価額というと、建物を売却したときの価格をイメージする人が多いと思います。建物の売却価格は、不動産会社に査定してもらうとわかりますが、査定額を相続税評価額にするのではありません。
建物の相続税評価額は、建物の売却価格とは異なります。一般に、建物の相続税評価額は建物の売却価格よりも安くなります。
自己の居住用建物の相続税評価額
土地の相続税評価額を出す方法は2種類
不動産のうち、土地の相続税評価額を出す方法には、路線価方式と倍率方式の2種類の方法があります。路線価方式とは、国税局が定めた路線価にもとづいて相続税評価額を算出する方法で、一方の倍率方式は、固定資産税評価額に所定の倍率をかけて相続税評価額を算出する方法です。
建物の評価は倍率方式で行う
自己の居住用や事業用に利用している建物は、倍率方式で評価するものとされています。建物の相続税評価額を出す場合には、倍率1をかけるものとされています。建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じということです。
固定資産税評価額の目安
建物の固定資産税評価額は、建物の所在地の市区町村役場で固定資産評価証明書を取得して調べることができます。固定資産税評価額は、売買価格よりも安く、一般に売買価格の7割程度となっています。
建物を賃貸している場合の相続税評価額
貸家の場合には借家権を差し引いて評価額を出す
建物を他人に賃貸している場合、貸家ということになります。貸家には、賃借人の借家権があり、借家権には財産的な価値があります。亡くなった人が所有していた建物が貸家の場合には、相続税評価額を出す際に借家権の評価額を差し引きする処理が必要になります。
借家権の相続税評価額の算出方法
借家権の相続税評価額は、自家用建物とした場合の評価額(固定資産税評価額)に国税局が定める「借家権割合」をかけて算出します。財産評価基本通達によると、借家権割合は30%とされています。
借家権の相続税評価額は、建物のうち、どれくらいの部分を賃貸しているかという賃貸割合によっても変わります。賃貸しているのがアパートやマンションの場合、満室であれば賃貸割合は100%ですが、空室があれば賃貸割合は低くなります。
借家権の相続税評価額を算出する式は、次のようになります。
借家権評価額=固定資産税評価額×借家権割合(0.3)×賃貸割合
貸家の相続税評価額の算出方法
貸家の相続税評価額は、建物の固定資産税評価額から借家権評価額を差し引くため、次のようになります。
貸家評価額=固定資産税評価額-(固定資産税評価額×0.3×賃貸割合)
=固定資産税評価額×(1-0.3×賃貸割合)
貸家の相続税評価額の計算例
亡くなった人が所有していた建物が固定資産税評価額1,000万円の賃貸アパートで、全室満室となっている場合、相続税評価額は
1,000万円×(1-0.3×1)=700万円
となります。
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