相続放棄 2018.01.13
相続放棄の有無を照会する方法について
相続人として遺産を相続する機会は、法定されている順位の順に与えられます。しかし時に、先順位の相続人が相続放棄したかが分からず、次順位の相続人である自分が取るべき行動が分からないという事態が生じます。
このような時に、正式な方法で相続放棄の有無を照会する方法があります。この記事では、相続放棄の有無を照会しなければならない場面や、相続放棄の有無を照会する方法について解説します。
相続放棄の有無を照会する必要のある場面とは
相続には、法定の順位があります。被相続人の配偶者は、どんな場合でも常に相続人となります。そして法定順位の一番目は被相続人の子、二番目は被相続人の両親、三番目は被相続人の兄弟姉妹となります。
例えば、被相続人に多額の債務があるため相続放棄しようと思う場合には、自分に相続権が発生してから3カ月以内に相続放棄申述書を提出する必要があります。しかし先順位の相続人の相続放棄の有無を知るすべがない場合、自分に相続権が移行したかどうかが分からないまま時間が過ぎてしまう可能性もあります。
仮に先順位の相続人が相続放棄していても、そのことを次順位の相続人に伝えなければならないという法的義務はありません。相続放棄の有無については次順位の相続人へ報告・説明するよう「推奨」されているに留まるため、相続放棄の有無を知らないうちに自分が相続人になっていた、ということもあり得るのです。
相続権がある人が相続放棄の手続きをしないままでいると、場合によっては単純承認をしてしまう可能性もあるため、相続放棄の有無は迅速に照会する必要があります。
相続放棄の有無を照会する方法とは
では、実際に相続放棄の有無を照会する方法を具体的にご紹介します。
まずは家庭裁判所で「相続放棄・限定承認の申述照会」を申請します。相続放棄の有無を照会申請できるのは相続人か、被相続人に対する利害関係人(債権者など)に限られます。
どうしても自分で行けない場合には委任状を作成して代理人に委任できますが、代理を務めることができるのは弁護士のみです。
相続放棄の有無を照会するためには、たくさんの必要書類を揃えなければなりません。相続放棄の有無を照会する人が誰かによって、次のように必要書類が違ってきます。
相続人が申請する場合
1.被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
被相続人の死亡の事実と、最後の住所地を確認するための書類です。
2.照会者と被相続人の、発行から3か月以内の戸籍謄本(照会者と被相続人との関係がわかる戸籍謄本)
戸籍謄本だけでは、相続放棄の有無を照会しようとする人と被相続人との関係が分からない場合、その関係がわかる戸籍謄本および除籍謄本を別途用意しなければなりません。
3.照会者の住民票(本籍地が表示されているもの)
相続放棄の有無を照会しようとする人の住所地を確認するために必要となる書類です。
4.委任状(代理人に委任する場合のみ)
相続放棄の有無に関する照会申請を代理人に委任する場合には、委任状が必要です。
5.返信用封筒と返信用切手
6.相続関係図
正式な家系図でなくても、手書きのものでも受理してもらえます。被相続人と相続放棄の有無を照会しようとする人の関係が分かるように、関係図を作成して下さい。
被相続人に対する利害関係人(債権者など)が照会する場合
1.被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
2.相続放棄の有無を照会する者の資格を証明する書類
個人の場合・・・照会者(個人)の住民票
法人の場合・・・商業登記簿謄本または資格証明書
3.利害関係の存在を証明する書面(コピー)
被相続人との利害関係を照明する資料として、金銭消費貸借契約書、訴状、競売申立書、競売開始決定、債務名義等の各写し、担保権が記載された不動産登記簿謄本、その他債権の存在を証する書面などを用意しなければ、利害関係人が相続放棄の有無を照会することはできません。
また書面上の住所地と、被相続人の住民票の除票の住所地とが異なっている場合は、被相続人の戸籍の附票などを別途用意し、住所が変更された事実を証明する必要があります。
4.委任状(代理人に委任する場合のみ)
利害関係人の場合も、相続放棄の有無を照会する申請についての代理人として依頼できるのは弁護士だけです。ただし、相続放棄の有無を照会する者が法人の場合には、申請会社の社員を代理人とすることができます。この場合には、代表者印のある社員証明書を提出する必要があります。
5.返信用封筒と返信用切手
6.相続関係図
相続放棄の有無を照会することは、不本意な相続をしてしまわないために大切な手続きです。相続放棄の有無を照会するのに費用はかかりません。相続放棄する可能性があるなら、早めに相続放棄の有無を照会しましょう。
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