土地・不動産 2018.07.04
土地の相続登記の期限は?手続きしないとどうなる?
相続に関係する手続きの多くは、期限が定められています。しかし、期限の定めのない手続きもあります。土地の相続登記もそのひとつです。
しかしながら、期限がないことは、相続登記が重要でないということを示すものではありません。期限がないことで油断していると、思わぬトラブルに見舞われることもあります。
土地の相続登記の期限について、また相続登記をしないでいることのリスクについて解説しましょう。
土地の相続登記とは
遺言書の指定や遺産分割協議によって、土地を相続することが決まるとします。それでも、遺言書や遺産分割協議は、被相続人や相続人の間での約束事に過ぎません。
社会的な観点から土地の持ち主として認められるためには、土地の所有権移転登記をしなければなりません。
相続を理由とする所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれており、土地を相続する相続人自身が手続きすべきものです。
相続登記には、明確に定められた期限があるわけではありません。義務も期限もないため、何年〜何十年と土地の相続登記をせずにおく人も珍しくないのが現状です。
しかし、期限がないことを理由に相続登記をしないでおくべきではありません。
土地の相続登記に期限はないものの、放置するとリスクはある
相続登記しないことへの処罰も期限もありませんが、相続発生から時間が経つほど、時間に比例して膨らんでいくリスクというものがあります。
土地の相続登記をしないことのリスクは、次の5つです。
1. 数次相続による権利関係の複雑化
土地を相続した相続人が、相続後、何年も相続登記をせずにおくなら、今度は当の相続人が死亡し、被相続人となることもあります。これは「数次相続」と呼ばれる事態です。
最初の相続で、土地を相続した時点ですぐに相続登記がなされていれば、今回の相続人たちは被相続人の財産としての土地をスムーズに相続できたことでしょう。
土地の相続登記が未完了だと、今回の相続人が土地を相続することは非常に困難になります。ひとつの土地について2回の相続が絡んでおり、それぞれの相続人全員と折り合いをつけなければならないためです。
数次相続で権利関係が複雑化すると、司法書士や弁護士など、専門家の介入がなければ解決は難しくなります。
2. 相続人の高齢化
長期間相続登記をしないでおくことで、土地を相続した相続人が高齢化し、相続登記が負担になることも考えられます。認知症などで判断能力に問題が生じることもあるでしょう。
相続人が自分で法的な手続きができない状態になると、成年後見人を選任して手続きを代行してもらう必要が生じます。成年後見人の選任には、費用も時間もかかってしまいます。
3. 債権者や他の相続人による無断の相続登記
相続登記が未完了の土地は、正当な所有者がいない土地です。もし相続人に債権者がいれば、債権者が土地の登記をし、債務者である相続人の持分を差し押さえてしまう可能性もあります。
また、共同相続人のうちの誰かが自分の持分について無断で登記してしまい、土地を相続するはずの相続人が相続登記できなくなる事態も考えられます。
4. 保管期限超過で、必要書類の取得が不可能になる
相続登記に期限がないとは言え、相続登記に必要な書類が取得できる期間についての期限はあります。被相続人の住民票の保管期限は5年、戸籍は150年が保管期限です。
保管期限を過ぎ、書類が手に入らないとなれば、相続登記は不可能になってしまう可能性もあります。
5. 土地の売却、担保設定は不可
土地を売却したいと思っても、名義が被相続人のままでは売却できません。被相続人名義から直接、買い手の名義へ変更することはできないからです。
相続した土地を売却したいなら、相続登記によって相続人の名義へ変更し、その後、買い手の名義へ変更するという手順で手続きしなければなりません。
土地を担保に借り入れをしたい場合も相続登記が必要です。金融機関は土地に対して抵当権を設定しますが、土地の名義が被相続人のままになっていると抵当権設定ができないためです。
相続登記をして土地を相続人自身の名義に変更しなければ、お金を借りることもできないのです。
期限がないことを理由に相続登記をしないなら、土地の活用はほぼ出来ず、相続した意味もメリットもほとんどないことになります。
まとめ
本当の意味で「土地の相続を終える」とは、土地の相続登記を終え、新しい所有者としての立場を公のものにすることを意味します。
土地の相続では、確かに定められた期限はありませんが、相続税の申告期限である相続開始後10か月以内には相続登記を完了させておきたいものです。
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