土地・不動産 2018.09.05
土地の相続税評価額の金額に影響する「地目」とは?
土地を相続する際には、「土地の相続税評価額の金額はいくらになるか」と考えることでしょう。相続税評価額の金額によって、相続税の金額も大きく変わってくるためです。
実は、土地の相続税評価額の金額は、土地の「地目」に大きな影響を受けます。そこで今回は、土地の「地目」による相続税評価額の違いについて解説します。
土地の評価額の金額とは
土地は、その価値を金額で表すことが難しい財産です。それでも「この土地の価値はいくらなのか」を、金額に換算しなければならないことがあります。
土地を相続する時もそうです。
土地の金額を表す基準は複数あります。路線価、公示価格、売買取引価格、固定資産税評価額です。土地はこれら4つの価値を併せ持っているため、「一物四価」と表現されることもあります。なお、相続において重視される金額は、路線価によって計算される評価額の金額です。
路線価を用いて土地の価値を計算すると、売買取引価格の約7割~8割程度の金額になると言われています。そこから土地の地目や形状に応じた補正を行うと、最終的な相続税評価額の金額を算出できるというわけです。
土地の地目による相続税評価額の違い
相続する土地の相続税評価額の金額は、地目に左右されます。地目とは、「どういう用途でその土地を使用しているのか」を表すものです。
では実際に、相続で取得する可能性の高い4パターンの土地について解説しましょう。
1.宅地
宅地とは、所有者が自分の住む住居を建てたり、事業を行ったりするために使用する土地を表します。宅地は自用地とも呼ばれることがあります。使用に伴う制限がなく、所有者が自由に使用できる土地のことだと覚えておけば良いでしょう。
宅地の相続税評価額の金額は、以下の式で計算します。
「路線価×土地面積」
宅地の条件によっては、上記の式で算出した金額に各種補正率をかけて最終的な金額を出します。形が整っていて使い勝手の良い土地は、補正によって相続税評価額が高くなり、形がいびつで不便な土地は、補正により相続税評価額が下がることがあります。
2.借地権
相続した土地が、他人に地代を支払って借りている状態の場合は、借地権を相続したことになります。借地権とは、土地を借りて建物を建てる権利のことです。
借地権の相続税評価額の金額は、以下の式で計算します。
「宅地としての評価額×借地権割合」
借地権割合は、路線価図や評価倍率表に記載されているアルファベットを確認すると分かります。商業地域などは往々にして借地権割合が高くなりますが、一般的な地域では50%~70%程度の割合が多くなります。
宅地の相続税評価額と比較すると、借地権の相続税評価額は低くなるため、相続税の金額も抑えられます。
3.貸宅地・貸家建付地
相続する土地が他人に貸し出されている場合は貸宅地、マンションなどの賃貸物件を建てて他人を住まわせている場合は貸家建付地となります。
どちらも収益を生む土地ではあるものの、他人に使用させていることにより所有者が自由に処分することはできません。使用に制限があるため、宅地よりも相続税評価額が低くなります。
貸宅地の相続税評価額の金額は、以下の式で計算します。
「宅地としての評価額-(宅地としての評価額×借地権割合)」
一方、貸家建付地の相続税評価額の金額は、以下の式で計算します。
「宅地としての評価額×(1 -(借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」
借家権割合とは、家を借りている人が持つ権利のことで、全国一律で30%とされています。賃貸割合とは、建物の入居率を床面積に換算したものを指します。
4.田畑(農地)
相続する土地が田んぼや畑などであれば、農地として評価します。農地という地目は、下記のように4つに分かれており、それぞれ評価額の計算方法が異なります。
純農地
宅地の影響を受けない農地で農用地区域内にある農地、または市街化調整区域内にある農地で第一種農地、または甲種農地に該当する農地などが純農地と呼ばれます。相続税評価額の金額は、倍率方式で計算します。
中間農地
都市近郊にある農地で、純農地よりも農業政策上の規制や宅地価額の影響を受けにくいことが特徴の農地です。相続税評価額の金額は、倍率方式で計算します。
市街地農地
おもに市街地区域内にある農地で、農地法による転用の許可を受けた農地などを表します。相続税評価額の金額は、倍率方式または「宅地比準方式」で計算します。
宅地比準方式は、以下の式で計算します。
「宅地とした場合の1㎡あたりの価額 - 1㎡あたりの造成費用)×土地の面積」
市街地周辺農地
市街化区域外にある農地で、宅地などに転用可能な農地です。相続税評価額の金額は、市街地農地であるとした場合の価額の80%となります。
まとめ
宅地の土地の相続税評価額は、他の地目の土地の基準となります。相続する土地が宅地の場合は、一定要件を満たすことで最大80%の評価額減ができる「小規模宅地等の特例」が適用できないか、調べてみると良いでしょう。
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