土地・不動産 2018.09.08
土地を相続する際の評価額の計算方法とは?
土地を相続する場合は、相続税の申告の前に土地の相続税評価額を計算する必要があります。相続税評価額は、一般の売買金額とは別のものです。
相続が始まる前に土地の相続税評価額を計算してみると、将来の相続税額をある程度把握できます。相続税が高額になりそうであれば、評価を下げて節税するために、今から相続対策をすることもできるでしょう。
この記事では、土地を相続する際の相続税評価額の計算について解説します。
土地の評価額計算の3大要素
土地の評価額は、以下の3つの要素に影響を受けます。
1.路線価
路線価とは、ある道路の両側の土地の価格について、国税庁が定めている基準です。路線価は全国の主要道路にのみ設定されているため、郊外の土地には設定がない可能性があります。
路線価の設定のない道路に面する土地は、倍率方式で評価額を計算します。評価倍率も、国税庁が地域ごとに定めている基準です。
2.地目
地目とは、土地の用途や種類を表すものです。例えば、宅地、畑、山林、牧場などが地目となります。
3.地積
土地の面積のことです。どんな地目の土地でも、広いほど評価額は高額になります。
宅地を相続する場合の評価額計算
宅地とは、住居や事業用地として使用される土地のことです。宅地の評価方法は、路線価方式または倍率方式で行い、相続予定の宅地が路線価のある道路に面している場合には、路線価を調べます。
路線価による評価額計算は、以下の通りです。
「路線価 × 土地の面積」
路線価は、標準的な宅地を想定した場合の価格基準です。現実の宅地は立地や形状の点で標準的なものばかりではありませんから、路線価から計算される評価額に対し、現状に応じた調整が必要になってきます。
この調整は「画地調整」と呼ばれるものです。画地調整には、土地の評価額を上げるものもあれば下げるものもあります。
おもな調整項目には、次の通りです。
側方路線影響加算
正面と側面に道路がある宅地は、2つの道路に接しているため、利便性が高いとされています。一般的に「角地」と呼ばれる土地が該当するでしょう。一方だけが道路に接している標準的な宅地よりも、評価額は増額となります。
奥行価格補正
土地の奥行が長い、または短い宅地は、建物の建築などの点で制限が生じることから、評価額は減額されます。
不整形地補正
三角形、台形などの形がいびつな宅地は「不整形地」と呼ばれており、宅地としての利便性は低いことから、評価額は減額となります。
相続予定の土地に路線価がない場合には、土地の固定資産税評価額に倍率をかけて計算します。路線価での計算と違い、倍率方式での評価額計算の場合は、原則として画地調整などの補正はありません。
なお、倍率方式で計算する場合は、必ず基準年度の固定資産税評価額を確認するようにしましょう。
借地権を相続する場合の評価額計算
誤解されがちな点ですが、借地権の相続にも相続税がかかります。借地権とは、建物を所有する目的で土地を借りる権利のことを言います。
相続予定の土地が、借地権によって借りている土地の場合は、次のように計算します。
「宅地としての評価額 × 借地権割合」
借地権割合は、路線価図または評価倍率表を見ると確認できます。
借地権に関係して間違えやすいのは、親の土地に子供が家を建てて住んでいるケースです。このような場合、子供が親に地代を払っていないこともよくあります。
無償で土地を利用している状態のことは「使用貸借」と呼ぶため、借地権を持っていることにはなりません。相続予定の土地が上記のようなケースであれば、借地権ではなく、宅地として評価することになります。
貸宅地を相続する場合の評価額計算
借地権の逆で、他人から地代をもらって貸している状態の土地のことを、貸宅地と言います。
貸宅地の評価額は、次の計算方法で算出します。
「宅地としての評価額-借地権の価額」
相続予定の土地にアパートやマンションが建っており、入居者がいる場合には、貸家建付地として次のように計算します。
「宅地としての評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」
農地を相続する場合の評価額計算
田んぼや畑などの農地を相続する場合には、相続する農地の区分を確認しましょう。農地は、「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」「市街地農地」の4種類に分類されています。
純農地と中間農地の計算方法は倍率方式で、次のように計算します。
「固定資産税評価額 × 倍率」
市街地農地の計算方法は、宅地比準方式、または倍率方式です。
宅地比準方式の場合は、次のように計算します。
(宅地とした場合の1㎡価額-1㎡あたりの造成費)×農地の面積
また、市街地周辺農地は、次のように計算します。
「市街地農地とした場合の評価額×80%」
まとめ
今回解説してきたのは、土地のおおよその評価額を計算する方法です。土地の条件は千差万別ですから、正確な評価額を計算したい場合には専門家に依頼しましょう。相続と不動産、両方の分野に明るい税理士を頼るのがお勧めです。
関連記事
-
土地・不動産
-
相続不動産の評価方法と節税方法について
不動産はどのように評価されるのか 不動産の価格というと時価をイメージする人も多いと思います。 例えば、1億円で購入した土地であれば評価額も1億円と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。 相続 ...
2020/12/25
-
土地・不動産
-
不動産相続で大トラブル!実家の価値は果たしていくら?
不動産と預貯金の違いとは? そもそも、なぜ不動産相続が揉めやすいのかというと、それにはいくつかの要因があります。 不動産は高額である 相続財産に占める不動産の価格割合を見てみると、ほとんどの相続のケー ...
2019/10/04
-
土地・不動産
-
相続対策で不動産は売るべき?売らざるべき?
今売ったらどんな得がある? 東京でも山手線の内側を中心に、不動産価格は以前よりも大きく上昇しています。 例えば、実際の事例でいうと、港区にある築10年程度のワンルームマンション、新築時に約2,000万 ...
2019/08/07
-
土地・不動産
-
家を相続するには!? 相続登記の方法!
相続登記は、できればしておいたほうが無難 相続登記は、いわゆる名義変更です。ですが、しなくても特に問題はないのです。法的な義務はありません。たとえば、その家を売ろうとしたとき、そして、建て替えをするの ...
2017/10/03
-
土地・不動産
-
相続登記申請書の書き方について
相続登記申請書の書き方 相続登記自体は自分でも申請することが可能です。その際には相続登記申請書と複数ある必要書類を添えて、不動産の所在地を管轄する法務局に提出する必要があります。 それでは、相続登記申 ...
2017/10/02
-
土地・不動産
-
相続登記の費用はいくらかかる?その内訳とは?
相続登記ってそもそも何? 相続に伴って不動産を取得した場合に、その名義を被相続人の名義から相続人の名義に変更する手続きのことを一般的に「相続登記」と呼んでいます。 ただ、正式には相続登記という登記手続 ...
2017/10/02