土地・不動産 2018.11.05
相続した土地を現金化するときには何に気を付けたらいい?
相続した土地を現金化する場面としては、遺産分割のための現金化と、遺産分割で取得した土地の現金化の2つのケースが考えられます。今回は、それぞれのケースで土地を現金化する際の注意点と、土地を現金化した際にかかる譲渡所得税について解説します。
遺産分割のために土地を現金化するケースと注意点
土地を現金化すれば遺産分割しやすくなる
遺言が残されていない場合、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の分け方を決める必要があります。遺産は各法定相続人が法定相続分に応じて分けるのが原則ですが、土地はうまく分けられないことがあります。
土地の遺産分割が困難な場合には、土地を売却して現金化し、現金を分割する方法があります。現金なら簡単に分けられますから、法定相続分どおり遺産分割ができます。遺産を現金化して分割する方法は、換価分割と呼ばれます。
換価分割ができないケースもある
換価分割は、相続人全員が土地を売却することに同意しなければ実現しません。たとえば、「どうしても土地を使いたい」「先祖代々受け継いだ土地を手放したくない」という相続人がいれば、土地の現金化は困難になってしまいます。
また、土地を売却して現金化するときには、不動産会社に支払う仲介手数料などの経費がかかるため、相続人が取得できる金額が減ってしまいます。遺産を減らしたくないという理由で、現金化に反対する相続人が出てくることもあります。
土地を現金化する前に相続登記が必要
土地を故人名義のまま売却することはできないため、現金化の前に、相続登記をして名義変更する必要があります。
遺産分割が終わっていない段階では、土地は法定相続人全員の共有です。換価分割の前提として相続登記を行う場合には、相続人全員で法定相続による登記を行います。なお、売却の便宜上、相続人の代表者名義に登記することも可能とされています。
遺産分割により取得した土地を現金化するケース
遺産分割後の現金化は自分の意思だけでできる
遺産分割協議で土地を取得することに決まったけれど、土地を使う予定がないので、売却して現金化したいと考えることもあると思います。この場合には、既に自分のものになっている土地を売却することになるので、他の相続人の同意などは必要ありません。
相続登記してから土地の売却手続きをする
遺産分割協議で取得した土地をすぐに売却して現金化する場合でも、相続登記は必要です。まずは土地を自分名義に変更してから、土地の売却手続きを行います。
相続登記をするときには、様々な書類を揃えなければならないため、名義変更が完了するまでに時間がかかることがあります。買主が見つかってから相続登記をするのではなく、相続登記をしてから買主を探した方が安心です。
小規模宅地等の特例が使えるなら売却時期に注意
故人の自宅の土地を親族が取得した場合には、相続税の計算の際、小規模宅地等の特例により土地の評価額が大幅に下がることがあります。ただし、配偶者以外が土地を取得したケースで特例の適用を受けるには、相続税申告期限までの土地の保有が要件になります。
配偶者以外の親族が自宅の土地を相続した場合、相続税申告期限より前に売却すると、小規模宅地等の特例が受けられず、相続税の負担が大きくなってしまいます。相続税申告期限は相続開始から10か月ですから、少なくとも10か月は現金化を待った方がよいでしょう。
相続した土地を現金化すれば譲渡所得税がかかることがある
土地を売却すれば譲渡所得税の課税対象に
譲渡所得税とは、土地などの財産を売却して得られた利益(譲渡所得)に対して課される税金です。故人が古くから所有していた土地を相続した場合には、土地が値上がりしており、譲渡所得税の課税対象になるケースが多くなります。
相続税申告期限から3年以内の現金化で税金が安くなる
譲渡所得を計算するときには、取得費(財産を手に入れたときの価格)を差し引きします。相続税を払った場合には、相続税申告期限から3年以内に売却すれば、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります。
譲渡所得税では特別控除が受けられることがある
故人と同居していた自宅を相続後に売却した場合、または空き家になった故人の自宅を相続した後、耐震リフォームするか更地にして売却した場合には、譲渡所得税について3,000万円の特別控除が受けられ、税負担が軽くなります。
換価分割でも譲渡所得税が課税される
遺産分割のために土地を現金化した場合には、各相続人が遺産分割後に取得した額に応じて譲渡所得税を負担します。ただし、故人と同居していた人については、3,000万円の特別控除の適用が受けられ、税負担額が少なくなることがあります。
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