土地・不動産 2019.01.18
親から収益不動産を相続するメリットとデメリットとは?
相続税がかからないように、もしくは安く済ませるために、生前にアパートやマンションなどの収益不動産を建築したり、購入したりする親がいます。
そのため、相続で収益不動産を取得することになる子供も多くいます。相続後、収益不動産のオーナーになった子供の中には、思いがけないメリットや想定外のデメリットに直面して、驚く人もいることでしょう。
そこで今回は、親から収益不動産を相続することに伴う、メリットとデメリットを考えていきます。
親の収益不動産を相続するメリット
1.財産を保有できる
土地を持っているだけでお金持ちと考えられていた時代は終わりましたが、依然として土地や建物などの不動産には、財産としての不動の地位があります。
親から相続した収益不動産が過疎地域の変形した土地、または今にも倒壊しそうなあばら家であれば、話は別ですが、一般的な不動産には、ある程度の資産価値があるのが普通です。
時間がかかるとしても、買い手を募れば購入希望者が現れる可能性はあり、万が一、売却できなかったとしても、自分の生活の本拠にできる場所を常に持っていることになります。
ローンを組む際にも、不動産は担保としての信用性が高いため、希望に近い金額を引き出しやすくなるでしょう。
2.賃料収入が入る
親から収益不動産を相続した子供には、その後の賃料収入が入り続けます。常に満室にしておくことは難しくても、入居者がいる限りはコンスタントに収入があるため、安定した収入源を確保できるでしょう。
3.相続税が安くなる
親の遺産を現金などの形で相続するよりも、不動産として相続する方が相続税を安く抑えることができます。およそ、現金を相続する場合の約7~8割の評価額で相続税が計算されることになるでしょう。
しかも、収益不動産の場合、借地権割合や借家権割合も考慮されるため、さらに評価額が抑えられることになります。
4.小規模宅地等の特例を適用できる
被相続人の自宅や事業所をおもな対象としている「小規模宅地等の特例」という制度を利用することで、親から相続する土地の評価額を半額に抑えられる場合があります。
この特例において収益不動産は「貸付事業用宅地」という扱いになり、面積が200㎡までの土地については、評価額が50%減額されるのです。
1億円相当の土地なら5,000万円として評価されるということになります。親から同額の現金を相続するよりも、相続税は圧倒的にお得になるでしょう。
親の収益不動産を相続するデメリット
1.相続時に税金がかかる
立地や築年数、構造などにもよりますが、収益不動産は一般住宅よりも価値が高くなります。そのため、親から収益不動産を相続する時には、相続税がかかる可能性が高いです。
もし、収益不動産を相続する子供が現金など他の財産を相続しない場合には、自分の貯蓄から相続税を払う必要も出てきますので、ある程度の預金を持っていなければ相続すること自体が難しいでしょう。
さらに、相続した収益不動産を自分の名義に変更するためには、登録免許税や印紙代も必要になります。
2.所有している限り、毎年税金がかかる
収益不動産を所有している間は、毎年かかり続ける税金があることも考えなくてなりません。
賃料収入に対する不動産所得税や固定資産税、事業規模で収益不動産を所有している場合には事業税も課されることになります。該当地域の場合は、都市計画税も必要です。
3.収益不動産の管理責任を負う
オーナーとして、収益不動産についての管理責任を負う必要もあります。定期的、また突発的に起こる不具合に対応しなければならず、入居者同士のトラブルやクレームを収めるのもオーナーの仕事です。
賃料を滞納する入居者がいれば交渉し、あまりに長期間の滞納になれば裁判手続きをしなければなりません。他にも、オーナーが果たすべき責任はたくさんあります。
管理会社と契約して管理を任せればある程度負担を軽減することもできますが、その分管理会社に手数料を払わなければいけません。どちらにしても、決して少なくない犠牲が必要になるということです。
4.相続人の間での不平等感の原因
収益不動産の相続は単なる財産の取得に留まりません。相続人にとっては、将来にわたる安定収入をもたらすものです。当然、欲しいと思う相続人は多くなるでしょう。
子供が一人しかいない親や、収益不動産を子供の人数分用意している親にとってはあまり関係のない話かもしれませんが、そうでないなら、子供たちの間で争いを起こす原因になる場合があるということも理解しておく必要があります。
まとめ
相続対策になるからと、アパートやマンションの建設をしきりに勧める不動産業者もいますが、相続人となる子供の立場で考えると、親から収益不動産を相続することにはデメリットもあります。子供の意見にも耳を傾け、十分に考慮してから決断するようにしましょう。
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