土地・不動産 2019.04.15
相続不動産を売却する際の名義は誰にすればよいのか?
相続財産の中に不動産が含まれている場合は、納税資金の関係などで不動産を売却して、それによって得られた現金を相続人間で分配して相続することがあります。
ただ、その時に気になるのが不動産の名義です。
相続不動産を売却する際には、不動産の名義を誰にして売却すればよいのでしょうか。そこで今回は、相続不動産を売却する際における「名義」について詳しく解説します。
相続不動産の名義は誰になっている?
相続不動産の名義については、通常は亡くなられた方、つまり被相続人名義になっていることが一般的です。ただし、場合によっては被相続人の一つ前の代から不動産の名義が変更されていないケースもありますので、注意が必要です。
相続不動産の名義は実態に合わせる
相続人としては、どうせすぐに売却することになるわけですから、できればそのまま名義変更せずに売却したいと思うことでしょう。
確かに、不動産の名義を変更するとなると、相続を原因とする所有権移転登記である、いわゆる相続登記をしなければならず、それなりに費用もかかってしまいます。
ただ、不動産の登記については、実態とイコールになっていなければなりません。そのため、亡くなった方の名義になったままでは、相続不動産を売却することはできないのです。
相続不動産は誰の名義にすればいい?
相続不動産の名義については、亡くなった方のままでは売却ができないため、実態に合わせて名義を変更する必要があります。通常は、不動産を相続する相続人名義に変更すればよいのですが、相続不動産を売却して現金化する場合は、誰の名義にすればよいのでしょうか。
相続不動産の名義の2つの選択肢
相続不動産の名義については、次の2つの選択肢があります。
1:相続人全員の共有名義にする
相続人が複数いる場合については、一旦全員の法定相続分に合わせて共有して登記するという方法があります。
ただ、共有登記をする場合、その後の売却手続きの際についても、原則として全員が売買契約の当事者となるため、契約手続きが煩雑になってしまうのです。
代表者を決めて、その人が窓口となって手続きをする方法もありますが、登記上の名義が共有になっている場合は、買主が心配する場合があるので、全員で契約に携わる必要が出てくると考えた方がよいでしょう。
2:相続人の代表者の名義にする
相続人が複数いる場合、そのうちの誰か1人を代表者として単独名義で相続登記をします。その後、その相続人が単独で不動産を売却し、得られた現金を相続人全員で分けるという流れになるのです。
相続人の単独名義にすれば、買主としてもシンプルなので安心して購入することができるでしょう。また、契約手続きについても、相続人の1人が対応すればよいので、手続きも非常にスムーズです。
相続不動産の名義変更の前に遺産分割協議書が必要
相続不動産を売却するために、一旦、相続人の代表者名義に相続登記する場合は、あらかじめ遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書とは、遺産の分け方について記載する協議書で、遺産分割協議で話し合われた内容を、忠実に書面にしたものです。
不動産の相続登記については、遺産分割協議書に書かれた内容に沿って行われるため、相続不動産を単独名義で登記するためには、その旨の内容を遺産分割協議書に書く必要があります。
遺産分割協議書に書くべき内容について
相続不動産の名義を単独名義に変更するためには、次のような点について遺産分割協議書に記載する必要があります。
1:相続不動産の名義を単独名義にすること
相続不動産の名義を、相続人のうち誰の名義にするのかをはっきりと記載します。ただ、それだけだと、その相続人が相続不動産の相続人となってしまい、持逃げされる可能性もあるため、次の内容についても同時に記載します。
2:相続不動産を売却して現金を分けること
単独名義で相続登記した上で、相続不動産を売却して現金化し、その現金を分けることをはっきりと記載する必要があります。ここをしっかりと記載しておかないと、後でトラブルになる恐れがあります。
相続不動産の換価分割は贈与になる?
相続不動産を単独名義で登記した後、売却した代金を相続人で分ける場合、気になるのが税金の問題です。
普通に考えると、単独名義の不動産を売却して、その現金を相続人で分けるとすると、相続人から相続人への「贈与」という形になってしまい、贈与税が課税されるのではと心配になることと思います。
この点については、遺産分割協議書に換価分割(売却して現金を分ける遺産分割方法のこと)する旨を明確に記載しておけば、贈与ではなく相続における遺産分割の一環として行われたとみなされるため、贈与税は課税されません。
ただし、遺産分割協議書と違う分け方をしたり、いつまでたっても換価分割していないようなケースでは、別途税務署から指摘を受ける可能性があるため、注意しましょう。
まとめ
相続不動産の名義については、売却して現金化する場合でも、実態に合わせて相続登記をする必要があります。
その場合は、相続人全員の共有名義にするよりも、代表者を決めて単独で名義を変更した方が、売却する際の手続きがスムーズです。
相続不動産の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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