相続放棄 2018.01.23
遠方に住んでいる場合、相続放棄はどうすればいい?
遠方の家族が亡くなったことで相続人となる場合、遺産を相続するか相続放棄するかを一定の期限までに決定しなければなりません。
相続放棄をする場合は、亡くなった家族の居住地を管轄する家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出することになります。
しかし相続人が遠方に住んでおり、相続放棄の手続きのために家庭裁判所へ出向くことが困難な場合もあります。遠方に住む相続人が相続放棄する場合はどうしたら良いのか、考えていきましょう。
遠方に住む相続人が相続放棄する場合、裁判所へ出向くことが必要?
相続放棄の手続きは、必ずしも遠方に住む相続人が裁判所へ直接出向くことが必要なわけではありません。相続人が遠方にいるかどうかに関係なく、郵送でのやり取りでも基本的に相続放棄は可能なのです。
相続放棄に関する書類を提出した後、遠方に住む相続人が関係確認のために裁判所から呼び出される可能性もあるとされていますが、非常にまれなケースのようです。
注意したい点として、相続放棄ができる期限は相続が開始してから(または相続人であることを知ったときから)3カ月以内です。
遠方に住む相続人が相続放棄に必要な書類を郵送で集めるには、予想以上の時間がかかります。遠方に住んでいて郵送での相続放棄を希望する場合は、速やかに準備を開始するべきです。
遠方からの相続放棄に必要な書類について
相続放棄には様々な書類が必要です。遠方に住む相続人の場合、それらの書類も郵送で取り寄せることになるでしょう。
相続放棄に必要な基本的書類は、次の4点です。
1.相続放棄申述書
2.被相続人の住民票除票または戸籍附票
3.相続放棄する人の戸籍謄本
4.収入印紙(800円)
裁判所や遠方の相続人の状況次第では、これ以外にも必要な書類が発生する可能性があります。これらの書類によって相続放棄の意思を表明するとともに、遠方の相続人と亡くなった人(被相続人)が相続関係にあることを証明することができます。
相続放棄する遠方の相続人と被相続人との関係によっても、上記の書類の他に必要となる書類が増える場合があります。
例として、配偶者が相続放棄をする場合には、上記の書類に加えて「被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本」が必要になります。
これについては、配偶者であれば自分の戸籍謄本に被相続人の戸籍も載っているはずですので、自分の戸籍謄本1枚で対応可能でしょう。
被相続人が兄弟姉妹である場合の相続放棄について
多くの場合、遺産を相続するのは配偶者や子供です。しかしまれに、相続順位の中では三番目となる兄弟姉妹が相続人となる場合もあります。この場合、遠方に住む相続人にとっては、相続放棄はさらに時間と手間を要することとなります。
遠方に住む相続人が兄弟姉妹を被相続人とする相続放棄を行う場合、前項で紹介した基本書類以外にさらに以下の3種類の書類が必要です。
1.被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
2.被相続人の配偶者または子の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
3.被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本
このように、先順位の相続人がすべて亡くなっているということを証明する必要が生じます。
取り寄せる書類が増えるというだけでも遠方に住む相続人にとっては負担が増えることになりますが、負担となる理由がもうひとつあります。兄弟姉妹の戸籍謄本は、他の家族の場合と同じようにあっさりと取得することができないのです。
自分の戸籍と同じように難なく取得できるのは、配偶者・父母・祖父母・子供・孫の戸籍となっており、兄弟姉妹は含まれません。兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する場合は、他人の戸籍謄本を取得するように正当な理由を示さなければ取得できないのです。
遠方に住む相続人が相続放棄する場合も例外ではなく、相続放棄という正当な目的のために兄弟姉妹の戸籍謄本が必要であることを証明しなければ、取得できないのです。
遠方に住む相続人が兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する正当性を証明するためには、被相続人である兄弟姉妹の死亡の事実を証明する書類、および相続放棄の手続きのために兄弟姉妹の戸籍謄本が必要である旨の書状などを添えて、兄弟姉妹の居住地の市役所へ請求しましょう。
遠方からの相続放棄の流れ
遠方に住む相続人が郵送で相続放棄する際の流れは、以下のようになります。
1.被相続人の住民票のある地域を管轄する家庭裁判所へ、必要書類を郵送
2.家庭裁判所から送られてくる照会書に回答する
3.「相続放棄申述受理通知書」を受け取り、相続放棄手続き完了
相続人が遠方に住んでいる場合、郵送のみでも相続放棄が可能です。遠方に住む相続人から見た被相続人の続柄によっても、必要書類の数や手続きにかかる時間は異なります。
相続放棄には期限があります。遠方であればあるほど手続きにも時間がかかりますので、早めにスタートさせましょう。
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