相続放棄 2018.02.11

相続放棄するかどうか判断する方法について

被相続人が亡くなると、遺産相続のために遺産の調査が行われます。プラスの財産だけが残されているなら相続人としてはありがたいことですが、マイナスの財産の方が明らかに多い場合や、プラスの財産はあるものの相続ということに気後れしてしまう状況も生じ得ます。

ここでは、相続放棄という方法を取った方が良いケースや、遺産があるとしても相続放棄という方法を検討すべきケースについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

マイナスの財産が多いことで相続放棄するケース

相続放棄という方法を選択する人の大多数は、遺産にマイナスの財産があることを理由としていることが多い傾向にあります。

調査によって財産状況が洗いざらい判明しており、本当にマイナスの財産の方が多いのであれば、相続放棄という方法を取るほうが良いでしょう。

しかし、マイナスの財産が「多そうだ」という理由で安易に相続放棄という方法を取るべきではありません。

相続放棄後にそれを取り消す方法は原則としてありません。万が一、相続放棄した後に預貯金などの財産が見つかっても相続する方法はありません。そのため、マイナスの財産がどの程度あるのかを、あらゆる方法を駆使して正確に調べてから相続放棄を検討しましょう。

調べる方法としては、被相続人のクレジットカード会社などに利用状況を問い合わせたり、信用情報機関へ情報開示請求を行ったりといった方法があります。被相続人が借りていた金庫やトランクルームなども、徹底的に調べましょう。

 

生命保険金が受け取れるなら、相続放棄しても手元に財産が残る

マイナスの財産がどんなに多かったとしても、相続放棄した人の手元に現金として遺産を残す方法があります。

被相続人が契約者として生命保険に加入しており、自分で保険料を支払っていた場合、被相続人が亡くなった後におりる生命保険金は受取人の固有財産となります。

保険料は受取人が相続放棄した場合でも、問題なく受け取ることができます。マイナスの財産が多いものの生命保険金が受け取れるという場合には、相続放棄という方法を選択した方が良いでしょう。

ただし相続放棄の方法をとってから受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」で算出される生命保険の非課税枠の適用はされません。非課税枠は相続人のためのものであり、相続放棄した人はもはや相続人ではないためです。

相続放棄した人でも受け取れるお金には、被相続人の職場から出ることがある「死亡退職金」もあります。会社の定めによりますが、大抵の会社が死亡退職金の支払い方法として遺族へ贈ると定めています。

この場合、相続放棄という方法を選択した人でも問題なく受け取ることができます。相続放棄を判断する方法として、このようなお金が受け取れるかも考慮しましょう。

 

遺産があっても、相続放棄という方法を選択した方がいいケース

プラスの財産があるとしても、相続放棄という方法を検討すべきケースもあります。

1.親族間での遺産分割協議を回避したい

遺産を巡っては、仲の良い家族でも争いになることがあります。普段から交流が少ない、または関係が良くない親族が関わる場合は大きな争いに発展しやすくなります。

相続人である以上は遺産分割協議に参加しないといけませんし、遺産の名義変更などで頻繁に他の相続人と顔を合わせなければなりません。煩わしい種々の手続きもこなす必要があります。

遺産の額も大きくなく、不快で面倒な思いをしてまで相続したくない場合は、相続放棄という方法を選択することもできます。

2.他の法定相続人に遺産を譲りたい

被相続人の事業を長男へ継承させたいなどの事情がある場合も、他の相続人が相続放棄という方法を選択することで全体的にスムーズな相続が可能になるでしょう。

また、現状の相続人が相続してしまうと当人の財産額が大きくなり、その相続人が遺産を残す段階になって次の世代へ相続税の負担をかけてしまう場合も、相続放棄して今のうちに次の世代へ遺産を移行しておく方法を取ることもできます。

3.被相続人が、裁判の被告である

相続では被相続人の遺産だけでなく、被相続人の権利や義務までもが相続されます。被相続人が何らかの理由で訴訟の被告になっている場合、相続人がその立場も相続してしまう場合があります。

代表的な例としては、被相続人が債務者である場合です。

債権者は、債務者の死亡後その相続人に請求できる権限を持っています。被相続人に遺産があっても債権者から訴訟を起こされているなら、相続放棄という方法も検討した方が良いかもしれません。

 

まとめ

マイナスの財産が多い場合だけでなく、プラスの財産があるとしても状況によっては相続放棄という方法を取った方が良いこともあります。事情は人それぞれですので、自分の状況ではどの方法が最善かを慎重に判断しましょう。判断が難しい場合には、弁護士などの専門家に頼るという方法も検討できます。

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