相続放棄 2018.01.28

相続放棄の手続きや必要書類について

親族が借金を残して亡くなった場合、自分が相続人になっていれば、相続放棄をしたいと考えることが多いと思います。相続放棄をするには、民法で定められた手続きをとらなければなりません。ここでは、相続放棄の手続き方法や必要書類について解説します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

相続放棄は相続開始を知った時から3ヶ月以内の手続きが必要

・相続放棄は家庭裁判所で手続きする

相続放棄とは、家庭裁判所で手続きすることにより、相続人としての権利や義務を一切放棄することです。相続放棄で重要なのは、家庭裁判所での手続きが必要という点です。遺産分割協議で「自分は財産もいらないから借金も相続しない」と言ったところで、相続放棄したことにはなりません。債権者からの請求を逃れるためには、家庭裁判所で相続放棄の手続きをし、受理されることが要件になります。

・相続放棄の手続き方法

民法では、「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」(938条)と定められています。相続放棄の申述といっても、家庭裁判所に行って相続放棄をする旨を口頭で伝えるわけではなく、「相続放棄申述書」という書面を提出して手続きを行います。相続放棄の手続きは郵送でもできますから、必ず家庭裁判所に行かなければならないわけではありません。

・相続放棄の手続きができる期間は決まっている

相続の方法には、単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も承継)、限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継)、相続放棄(プラスの財産もマイナスの財産も一切放棄)の3つがあり、相続人が自分で選べるようになっています。民法では、相続方法を選べる期間を「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」(915条1項本文)としています。

また、915条1項の期間内に相続放棄または限定承認をしなかった場合には、「相続人は単純承認をしたものとみなす」とも定められています(921条2号)。つまり、相続放棄をする場合には、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で申述の手続きをする必要があり、その期間を過ぎてしまうと、自動的に単純承認となってしまうということです。

・相続放棄の手続き期間は延長できる

相続方法を選べる期間は、「利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる」旨も民法に定められています(915条1項但書)。本人が家庭裁判所で手続きすることで、相続放棄ができる期間を延長することも可能です。ただし、この場合には当初の3ヶ月の期間内に期間延長の申請をする必要があります。

 

相続放棄の手続きに必要な書類

相続放棄をする場合には、次のような書類が必要になります。

・相続放棄申述書

相続放棄申述書を作成する必要があります。書式は家庭裁判所でももらえますが、裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。パソコンで作成する必要はなく、用意されている書式に手書きで記入したのでかまいません。

・被相続人の住民票除票又は戸籍附票

亡くなった人の最後の住所地を確認するために、住民票除票又は戸籍附票を取得しておきます。住民票は住所地の役所で、戸籍附票は本籍地の役所で請求できます。

・戸籍・除籍・原戸籍謄本

被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本と、相続放棄をする人の現在の戸籍謄本は必ず必要です。それ以外に、被相続人と相続人とのつながりがわかる戸籍・除籍・原戸籍謄本も必要になります。どの範囲の戸籍謄本類が必要になるかは厳密にはケースバイケースですが、相続関係がわかる戸籍謄本類一式を提出しておけば問題ありません。

 

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の手続きの流れは、次のようになっています。

1.相続放棄申述書の提出

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に、相続放棄申述書とその他の必要書類を提出します。相続放棄をする人1人につき800円の収入印紙と、各裁判所で決まっている郵便切手も一緒に提出する必要があります。

2.家庭裁判所からの照会

相続放棄申述書提出後、1~2週間程度で家庭裁判所から意思確認のための照会書が申述人のところに郵送で届きます。照会書が届いたら、必要事項を記入して家庭裁判所に返送します。

3.相続放棄申述の受理

相続放棄申述が受理されると、相続放棄申述受理通知書が家庭裁判所から郵送で届きます。相続放棄申述受理通知書を受け取れば、相続放棄の手続きは完了です。

なお、通常は、相続放棄申述受理通知書のコピーを債権者に渡すだけで請求を逃れることができますが、別途相続放棄申述受理証明書を発行してもらうことも可能です。相続放棄申述受理証明書の発行には1通につき150円の手数料がかかります。

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