相続放棄 2018.04.24

兄弟の子が相続放棄をしたら、遺産相続はどうなる?

多額の負債など、受け継ぐことが望ましくない遺産が多い場合には、相続放棄をすることで負債の返済責任から法的に免れることができます。
遺産相続の相続人の中で順位が上の人が相続放棄すると、次の順位の人が新たに相続人になります。この流れを繰り返していくと、被相続人の兄弟の子、つまり甥や姪にたどり着きます。
ですがもし、兄弟の子である甥や姪までが相続放棄をしてしまったら、次は誰が相続人になるのでしょうか?この点を考えていきましょう。

記事ライター:棚田行政書士

兄弟の子が相続放棄した後は、相続人になる人がいない

遺産相続の相続人には、法定の順位があります。一位が被相続人の子ども、二位は両親や祖父母などの直系尊属、三位が被相続人の兄弟姉妹です。三位より下の相続人はいません。

上位の相続人が死亡しているか相続放棄した場合に限り、下位の相続人が相続します。兄弟姉妹は三位ですから、被相続人の子どもおよび直系尊属がすべて相続放棄した場合に限り、相続人になります。

被相続人の兄弟の子が相続人となるケースは、被相続人の兄弟の「代襲相続」が発生した場合のみです。

つまり、上位相続人の相続放棄によって、被相続人の兄弟に遺産相続の相続人になる順番が回ってきても、遺産相続の開始前に兄弟が死亡していたなら、兄弟の子が親の代わりに相続人になることができるのです。

これによって代襲相続人となった兄弟の子、つまり被相続人から見た甥や姪は、上位の相続人と同様、相続をするか相続放棄するかを自分で決定することができます。

しかし、遺産相続において被相続人の兄弟の順位は最下位です。そして甥や姪である兄弟の子が代襲相続人になった場合には、兄弟の子は相続人となり得る最後の人となります。兄弟の子が相続放棄したら、その次に相続人になる人は誰もいません。

 

兄弟の子が相続放棄したら「相続財産管理人」を選任する

兄弟の子が相続放棄し、相続人になる人が誰もいなくなった場合は、相続財産管理人を選任する必要があります。この手続きは、家庭裁判所へ「相続財産管理人の選任申立て」をすることで選任できます。

他の相続人がこの申立てを行ってくれることは稀なことであるため、甥や姪である兄弟の子自らが申立てをすることが望ましいです。

相続財産管理人の選任申立てが無事に受付されると、家庭裁判所は「相続人不存在」を確定させるうえで、次のような手続きを行います。

1.相続財産管理人の選任

相続財産管理人の選任申立てを受けた家庭裁判所は、相続財産管理人選任の審判を行うと同時に、相続財産管理人が選任されたことを公告します。

2.債権者などに対する公告(申立てから2カ月目)

相続財産管理人の選任の公告から2カ月が経過すると、相続人捜索を兼ねた債権者等に対する債権申し出の公告がなされます。この時に債権者が名乗り出た場合は、相続財産管理人が財産の中から清算を行います。

3.相続人捜索の公告(申立てから4カ月目)

債権者などへの公告からさらに2カ月が経過すると、相続財産管理人の申立てによって6カ月の間、相続人捜索の公告がなされます。

期間満了までに相続人が現れない場合には、相続人不存在が確定します。相続人不存在が確定した後は、債権者や受遺者が財産を請求する権利は消滅します。

4.特別縁故者への財産の分与(申立てから12カ月目~)

この段階まで到達したら、特別縁故者が相続財産の分与を請求できるようになります。特別縁故者として認められるのは、内縁の配偶者や生計を共にしていた友人、被相続人の介護や身体の世話に努めた者などです。

 

被相続人と血縁関係や婚姻関係がなくても特別縁故者にはなれますが、被相続人と特別な間柄であったことが必須条件でしょう。

相続財産の分与を希望する特別縁故者は、相続人不存在が確定してから3カ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ請求することになります。

分与請求が認められるか、いくらの分与を認めるかということは、各家庭裁判所の判断によって決定されます。

債権者や受遺者、特別縁故者への財産の分与を終えてもなお財産が残っている場合には、相続財産は国庫に帰属するものとなります。兄弟の子が相続放棄した場合の遺産相続は、ここでやっと完結します。

 

まとめ

兄弟の子が相続放棄してしまったら、相続財産管理人を選任するしか方法はなくなります。相続放棄をしても相続財産管理人が選任されるまでは、最後の相続人である兄弟の子に相続財産の管理責任があります。

この場合は相続放棄して終わりではありませんので、速やかに相続財産管理人の選任申立てを行いましょう。

関連記事

相続放棄

話が違う!相続は放棄したのに、借金返済を迫られるのはなぜ?

相続財産が実家と借金のみだった事例 両親の相続で子供が相続人となる場合において、相続財産が実家である「不動産」と両親が残した「借金」のみというケースが時々あります。 今回ご紹介する事例も、母親の二次相 ...

2019/11/11

相続放棄

相続税の期限はいつ?期限に間に合わない場合の対処法とは

相続税申告とは? 相続税とは、相続する遺産に対して課税される税金で、財産を取得する人に納税義務が発生します。 相続人が支払う税金というイメージがあるかもしれませんが、たとえ相続人ではなかったとしても、 ...

2019/10/21

相続放棄

相続放棄する前に知っておくべきデメリットとは

相続放棄の基礎知識 相続放棄というと、文字通り相続を放棄する意思を示すことであるというイメージがあるかと思いますが、法的な意味での相続放棄とは、家庭裁判所において相続放棄の申述をすることです。 相続放 ...

2019/09/27

相続放棄

遺産放棄とは何か?

いつまで遺産放棄を決めるのか? まず大事な話になりますが、人が亡くなった時点で、その人が持っていた財産全ては、法定相続人全員の「共有財産」になります。「共有財産」ですから、誰かが勝手に使ったり、あるい ...

2017/10/03

相続放棄

遺産相続を放棄するとは何か?

遺産相続の意味は? 「遺産相続」という言葉を何気なく使っていますが、なぜ「遺産」を相続する必要があるのでしょうか?まず、この点から考えてみましょう。 日本の民法では、自分のものは自由に処分できるという ...

2017/10/03

相続放棄

遺産を放棄するための手続きはどのようなもの?自分でもできる?

遺産を放棄したいと考えたとき 家族が亡くなり、自分に遺産が残されたとします。ですが、負債が資産を上回っていて、その遺産を受け継ぎたくないと思うとき。 また亡くなった親族となんらかの人間関係上のこじれが ...

2017/10/03

Copyright© 相続メディア nexy , 2019 AllRights Reserved.