相続放棄 2017.10.04

財産を放棄するとは?

親が亡くなった後は、基本的に子どもが親の残した財産を引き継ぐことになります。これを一般的に「相続」と言います。ただ、中には「親の財産を引き継ぎたくない、財産を放棄したい」と考える人がいるかもしれません。相続は義務でなく一つの権利ですから、このような財産の放棄は、もちろん可能です。ここでは、どのような場合に財産の放棄を検討した方がいいのか、詳しくご説明します。

記事ライター:nexy編集部

財産よりも借金の方が多い

「相続」と聞くと、現金や不動産などの「財産」を親から引き継ぐイメージを多くの人がすぐに思い浮かべるはずです。しかし、「財産」にはプラスだけでなく、マイナスのものもあります。

例えば、親が生前に借りていた借金があり、まだ全部返済していなかった場合には、それを相続した子どもが代わりに返済しなければなりません。また、親がマンションを「住宅ローン」で購入していて、かなり返済金額が残っていたりする場合も、マンションを相続した子どもが、代わりに返済し続けなければなりません。

このように、マイナスの財産を受け継いでしまうと、親が作った借金やローンを代わりに自分が支払うことになりますから、財産を放棄した方がいいと多くの人は判断するはずです。もちろん、借金をはるかに上回る財産、しかも現金があれば、すぐに借金を返済できますから、そのまま引き継いでも構わないと判断する可能性も出てきます。

いずれにしても、親の財産の全てを把握した上で、借金はあるのか、額はどれくらいあるのかなどを十分吟味して、放棄するか否かを決めた方がいいでしょう。

 

利用価値のない財産

「財産」だから価値があるのは当然、と多くの人が考えるかもしれません。確かに、多額の現金や都心にある広大な土地であれば、かなりの価値が見込める財産です。しかし、人里離れた土地など、資産価値が乏しく、しかも利用価値もほとんどないような財産を親から相続する場合があるかもしれません。

このような財産を引き継いだ場合には、土地を管理する義務が必然的に生じてきます。もし相続した土地に不具合があって、他人に損害を与えた場合には、損害賠償を支払わなければなりません。例えば、土地が大きく陥没して、そこに人や車が落ちて、ケガをしたような場合は、所有者の「管理責任」が問われ、大きな代償を払うことになります。

また土地を所有することで、毎年「固定資産税」の納税義務も生じてきます。低価格の不動産ですから、納税額はそれほど高額にならないかもしれませんが、納税は毎年のことですから、トータルで考えると負担は決して軽くはありません。このような財産も放棄を検討した方がいいかもしれません。

いらない土地なら、自治体に寄附をすればいいのでは、と思う人がいるかもしれません。しかし、人里離れた利用価値のない土地ですから、無料で譲渡されても自治体は使い道がなく、困惑するだけです。寄附の話を窓口に持って行っても、初めから寄附の受け入れは厳しいかもしれません。一度寄附の話を打診してみて、難航しそうだったら、財産の放棄をした方がいいでしょう。

 

負担付きの財産

価値の高い財産を引き継ぐ代わりに、引き継いだ人が「負担」を負わなければならない場合があります。先程ご説明した、ローンの支払いが残っているマンションがそうです。

例えば、高額のマンションを親から相続することは誰にとっても喜ばしいことですが、そのマンションに長期間、高額の「住宅ローン」が残っていた場合には、引き継いだ人にとって大きな負担になってしまいます。そのような財産であれば、放棄したいと思う人も少なくないはずです。

駐車場も負担付き財産に当たります。月々駐車料金が入ってきますが、契約者との折衝やトラブルの処理など、何か起こるたびに、駐車場の持ち主が対応しなければなりません。そのような負担を考えたら、もろ手を挙げて、財産を引き継ごうという気持ちはなかなか湧いてこないかもしれません。やはり放棄を検討した方がいいでしょう。

 

既に利用している不動産

家やマンションで、既に家族の誰かが住んでいる場合があります。例えば、親の名義の家なのに、親の生前から子どもの誰かが同居しているようなケースです。あるいは、親名義の農地なのに、親が生きているうちから既に、子どもの誰かが農作物を作っているようなケースです。

このような場合、親名義の家や農地ですから、親が亡くなった後は、当然子ども全員に相続する権利があります。しかし、3人の子どもで「3分の1ずつ」で不動産を分けて所有しても、後でトラブルに発展する可能性があります。

一つの財産を複数人で所有することを「共有」と言います。共有財産を変更するには、所有者全員の同意が必要です。家の場合には売却や解体、農地の場合には宅地などの転用が変更に当たりますので、そのような際には全員が賛成しないと手続きができないことになります。

つまり、子どもの一人が既に使用していても、共有財産というだけで、その人が自由に処分できないということです。このような財産も、相続を放棄した方が得策だと言えます。

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