遺産相続・遺産分割 2017.11.15

法人財産を相続する場合に気をつけるべき点について

法人経営をしていた方がお亡くなりになった場合、通常の相続よりやらなければならない手続きが多くなります。この記事では、そのような法人財産を相続したときに、役に立つ知識をご紹介します。どうぞ参考にしてください。

記事ライター:朝陽行政書士事務所

法人の相続

法人の相続財産問題で大変なのが、中小企業で家族経営をしているような場合です。大企業であれば法務部もあり、専門家も所属していますが、法人中小企業ではそうはいきません。

例えば、家族は取締役や、監査役など名前だけの役員になっていて、会計や、雑用くらいはやっていたとしても詳しいことはわかりません。このような時、法人財産の相続はどうやって手続きすればいいのでしょうか。そちらについて、まずはご説明していきます。

法人企業の種類には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人など多数あります。その中でも一般的なのは株式会社です。

それでは、家族経営の株式会社で代表取締役がお父さん、役員2人が、お母さんと社員の1人、監査役が息子という状況の株式会社で、お父さんが亡くなったケースを例にとって、法人財産の相続についてご説明していきます。

お父さんが病気にかかり、余命宣告を受けているような場合ならば、お父さんがご存命のうちに、取締役会設置会社であれば取締役会で、取締役会設置会社でなければ臨時株主総会を開いて、手続きをすることができます。

場所は病院の病室でも大丈夫です。ですが、急病や事故などで突然お亡くなりになった場合は、少々面倒なことになります。この場合は下記のような方法で会社を存続させ、運営していくことになります。

取締役会の開催(取締役会設置会社の場合)

法人である株式会社の代表取締役が欠けている状態になっているため、2週間以内に取締役会を開催して代表取締役を選任して、法務局で登記しなければいけません。2週間を過ぎると100万円以下の過料が発生する可能性がありますので注意が必要です。

ここで取締役会が株主に関係なく代表取締役を選任できる根拠をご説明します。会社法で決められた取締役会の権限は次の3点になります。

1.会社の業務執行の決定
2.取締役の職務の執行の監督
3.代表取締役の選定および解職

以上の権限をもとにして代表取締役を決めることになります。

取締役会被設置会社である場合

株主総会を開いて代表取締役を選任します。お父さんが100パーセント株主であれば、相続人の誰かが法人財産を相続して、株主としての権限を行使することとなります。

 

会社財産の相続

相続人が受け継ぐ法人財産の相続とは、あくまで株式だけです。会社名義の不動産や、有価証券などの財産は、相続人が相続できるのでしょうか。

結論から言うと、出来ません。法人財産の相続の対象となるのは、株や、出資分のみです。

その株式の持ち分の割合に応じて、会社での決められた権限を得ます。お父さんが代表取締役だったからといってその地位を受け継ぐわけではありません。しかし、法人財産から相続した株が100パーセントであるならば、会社の運営を好きにできると言う事になります。

法人所有財産である、不動産、有価証券、預貯金は法人である会社名義のままになります。

相続人が代表取締役になっても、大株主になってもそれは変わりません。法人である会社の財産のままです。だからこそ、株式会社などの法人に信用が生まれるのです。

会社が負債超過だった場合

先ほどと同じく同族企業のパターンで考えてみましょう。お父さんの残した会社が多額の借金を抱えていた場合、株式を相続した相続人や、現行の役員、監査役はマイナス財産である借金を返済する責任を負うのでしょうか。

株式会社の様な有限責任の組織では、あくまで会社そのものの負債であり、個人が負債を負うことはありません。ですが、それでは金融機関も安心してお金を貸すことができません。そのため通常は、金融機関がお金を貸すときに、取締役などに連帯保証人になるよう求めます。

相続する法人財産は負債も資産も、包括的に受け継ぐことになります。法人経営をしていた方の相続人は、税理士に頼んでしっかり財産調査してもらう必要があります。その結果、相続しない方がいいと判断した場合には、相続放棄をすることになります。

相続放棄をする場合には、株式だけではなく、土地、家屋などの個人財産も含めすべてを放棄することになりますので注意してください。

 

まとめ

上場企業の場合の株価はすぐわかるものの、非上場企業の場合は一般の方が調べるのは難しいでしょう。相続人は葬儀もあり忙しいうえに、法務局への届出もあり、とても手が回らないと思います。その意味でも、資産調査は税理士に頼むことが現実的です。

世の中、いつ何があるかわかりません。経営者の方は、日頃からもしもの時のことを想定し、残された相続人のことも考えて、自社に合わせた危機管理を行っておくべきでしょう。

このような法人財産の相続問題の相談先として知られているサポート機関ですと、商工会議所や中小企業庁があります。中小企業庁にはミラサポといって無料相談を受けられる仕組みもあります。ご参考にしてください。

中小企業庁:http://www.chusho.meti.go.jp/

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