相続税 2017.11.24
相続税に時効はある?
相続税は、金額が高額になることも多いため、できれば払いたくないと思うものです。借金などもずっと払わなければ時効で支払い義務が消滅することがありますが、相続税にも時効があります。ここでは、相続税の時効について説明します。時効で相続税の支払い義務を免れることがあるのかどうかを知っておきましょう。
相続税にも時効がある
相続税の納税義務は5年で消滅する
家族などが亡くなって財産を相続した場合、相続税がかかることがあります。相続税がかかるときには、相続開始を知ったときから10ヶ月以内に申告及び納付を行わなければなりません。この相続税の申告・納付期限は延長できないことになっています。
なお、相続税の申告・納付義務があるものの、何もせず一定期間放置していた場合、時効によりその義務が消滅することがあります。相続税の時効は、原則として5年となっています。
法律で定められた相続税の申告・納付の法定期限から5年間、自ら納税することもなく、税務署から納税を請求されることもなかった場合、時効となります。時効になれば、相続税を支払う必要はなくなります。
相続税の時効は7年になることも
相続税の時効が5年であるのは、基本的に相続税を納付しなければならないことを知らなかった場合になります。相続税を納付しなければならないことを知っていたのに、わざと支払わなかった場合には、時効は7年になります。
相続税の納付忘れに気付いたら?
時効まで逃げ切るのは現実的ではない
相続税の申告・納付の法定期限は、相続開始を知ったときから10ヶ月ですから、あっという間に過ぎてしまうことがあります。期限後に相続税の納付忘れに気付いたときには、このまま支払わずに相続税の時効まで逃げきれないかと考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、時効まで相続税を支払わないまま逃れるというのは、現実には難しくなっています。税務署では大きな財産の動きや不動産の名義変更などをチェックしており、相続財産の多い家には通常は税務調査が入ります。相続税がかかるのに納税されていなければ、すぐに税務署にバレてしまうということです。
今後はマイナンバー制度により、税務署はさらに個人の財産状況を把握しやすくなります。相続税を払わずに時効で逃げ切ることは不可能と言えますから、期限後であっても、気付いたときにすぐに納税しておいた方がよいでしょう。
期限後申告の場合には延滞税や無申告加算税がかかる
相続税の法定期限後に納税を行う場合には、遅れた日数に応じた延滞税を加算して払わなければなりません。さらに、期限後には無申告加算税も加算されます。無申告加算税の税率は、自主的に申告した場合には5%、税務調査で無申告を指摘されたから納税をする場合には15~20%となります。
期限後であっても、相続税の納付忘れに気付いたら、できるだけ早く納税した方が、支払う税額が少なくて済みます。相続税の時効まで待ってみようと迂闊に考えて放置していると、かえって多くの税金を支払わなければならなくなってしまいます。
相続税の還付請求の時効
払い過ぎの税金は還付してもらえる
相続財産の額を誤って把握していた場合などに、相続税を多く払い過ぎてしまうことがあります。払い過ぎた税金は還付が受けられます。相続税を還付してもらうには、税務署に「更正の請求」を行う必要があります。
還付の時効は5年
払い過ぎの相続税を還付してもらえるのは、相続税の申告・納税期限から5年以内となっています。5年の時効を過ぎてしまうと、それ以降は払い過ぎの相続税を返してもらうことはできません。
納めた税金が少な過ぎる場合、必ず税務署に指摘されます。一方、納めた税金が多過ぎる場合には、税務署は通常指摘してくれません。払い過ぎの場合には、自分で気付いて還付請求しなければ、税金は返してもらえないことになります。
相続税の還付が受けられるケースとは?
相続税を払い過ぎることなどめったにないと思うかもしれませんが、実際には相続税の還付が受けられることはよくあります。相続税が還付される可能性が高いのは、土地を相続した場合です。
土地の評価方法は複雑になっており、税理士に依頼した場合でも、詳細な調査を行っていなければ、評価減となる項目を見落とされていることがあります。そのため、土地が過大に評価され、相続税額が大きくなってしまうことがあるのです。
相続や不動産に強い税理士に見直してもらうことで、土地の評価額が下がり、還付が受けられることがあります。既に相続税を払った後でも、5年以内であれば還付が受けられます。気になる場合には、相続税の実績豊富な税理士事務所に相談してみましょう。
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