相続税 2019.10.11

相続税申告書の書き方や添付書類について徹底解説

相続税申告は通常の確定申告とは違い、一生のうちに数える程度しか経験しないため、いざ相続が発生したときに、作成方法がわからずにあたふたしてしまう方がたくさんいるようです。

そこで今回は、相続税申告書の書き方のポイントや添付書類、提出先などについて詳しく解説したいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

相続税申告書のポイント

相続税申告書は、必要に応じて様々な書類の作成が必要になりますが、最も重要なことは取得財産の明細です。

「相続税がかかる財産の明細書」という書類に、記載する取得財産の明細を正しく記載することが、相続税を計算するにおいてはとても重要になってきます。

相続税がかかる財産の明細書とは?

相続税がかかる財産の明細書とは、文字通り相続税の課税対象となる相続財産について一覧表にした明細のことで、基本的には遺産分割によって決定した内容に沿って忠実に記載します。

遺産の種類ごとの具体的な記載方法については、以下を参考にしてください。

現金

現金は、「所在場所等」の欄に実際に現金が保管されている場所の住所を記載します。価額については、実際に相続した金額を相続人ごとにそのまま記載すれば問題ありません。

預貯金

「利用区分、銘柄等」の欄に預金の種類(普通預金や定期預金)などを記載し、「所在場所等」の欄には銀行名と支店名を記載します。価額については、実際に相続した相続人ごとに金額を記載します。

有価証券

「細目」の欄に公債、社債、株式などの種類を記載し、「利用区分、銘柄等」の欄には国債や社債の種類や株式を発行している会社名を記載します。

株式については保有している株数と株単価を、ファンドについては口数を記載します。

不動産について

不動産は土地と建物に分けて記載すると見やすくなります。

土地については「細目」の欄に宅地、山林などの用途を記載し、「利用区分、銘柄等」の欄については、自己使用の場合は自用地、アパートなどの土地については貸家建付地、山林の場合は普通山林などと記載します。

土地については、価額の算出方法がポイントとなるので、後程解説します。

建物については、「細目」の欄に構造、「利用区分、銘柄等」の欄には自宅であれば自用家屋、賃貸であれば貸家と記載します。

その他の詳しい記載方法については、国税庁のホームページにアップされている記載方法をご参照ください。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/pdf/05.pdf

 

相続税申告書は土地の評価額がポイント

相続税申告書を作成する際のポイントは、土地の評価額の算出です。遺産分割協議をする際における土地の価格については、相続人全員が合意していれば、どのような基準で評価しても問題ないため、通常は市場相場価格である「時価」で評価します。

ですが、相続税申告書においては路線価や固定資産税評価額を基準に計算することと決められているため、遺産分割における時価よりも金額が低くなります。

土地の評価額は、申告書を依頼する税理士によっても若干異なる

土地については、たとえ同じ100㎡の土地だったとしても、その土地が平坦な場所にあるのか、がけ地にあるのかによって、実際の利用価値が異なるため、申告書に記載する評価額についても補正を加える必要があります。

他にも、以下のような土地については、個別に補正率を適用して評価額を修正することが必要です。

・旗竿地

・L字

・三角形

・傾斜地

・崖地

これら以外にも、上空を高圧線が通っているなど、さまざまな事情を漏れなく加味することで、土地の評価額を抑えることができます。

相続税に強い税理士に申告書の作成を依頼すれば、こういった減額要素についても丁寧に確認して評価額に反映してくれるので、結果として相続税を節税することができるのです。

 

相続税申告書の添付書類について

相続税申告をするためには、申告書の内容を補足するための添付書類がたくさん必要になります。

一般的に必要な書類

・被相続人のすべての相続人がわかる戸籍謄本

・遺言書もしくは遺産分割協議書の写し

・相続人全員の印鑑証明書

相続時精算課税制度を利用している人がいる場合

・被相続人の戸籍の附票の写し

・相続時精算課税適用者の戸籍の附票の写し

相続税申告期限までの遺産分割が間に合わない場合

・申告期限3年以内の分割見込書

これら以外にも、相続する財産の種類に応じて多数の書類の提出が必要になります。添付書類に漏れがあると、税務調査の対象になる可能性が高まりますので、漏れのないように事前に税務署に問い合わせて確認するか、税理士に任せることをおすすめします。

相続税申告書の提出先

相続税申告書については、提出先を間違える相続人が時々いますので注意が必要です。

相続税申告書を相続人の住所地を管轄する税務署に提出する人がいますが、それは間違いで、実際は「被相続人の住所地を管轄する税務署」に対して提出しなければなりません。

ちなみに、相続税の納税については最寄りの金融機関や郵便局でも対応可能です。

 

まとめ

今回は相続税申告書の書き方や土地の評価額のポイント、相続税申告書の添付書類などについて解説してきました。

実際の相続では、相続財産の種類が多岐にわたるため、今回ご紹介したもの以外の書類についても相続税申告書に添付する必要が出てきます。

相続税申告書や添付書類にミスがあると、税務調査となる確率が高まってしまうので、自信のない方は相続税に強い税理士にまとめて依頼することをおすすめします。

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