相続税 2020.02.07

税務署に相続税の税務調査で狙われやすい家庭には共通点があった

「うちは財産がそこまで多くないから、税務調査は入らないですよね」
こんな風に質問してくる人がよくいるのですが、実はそうとは限りません。

税務調査の対象は、相続財産の多寡だけで決まっているわけではなく、もっと別の部分も
チェックされています。

そこで本記事では、相続税の税務調査になりやすい家庭の特徴について詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続財産の多寡はどの程度関係するのか

相続財産が多くなれば、それだけ追徴課税になった場合の税額も大きくなる可能性が高いので、そういう意味ではある程度財産が多い家庭のほうが税務調査に入られやすいともいえます。

実際、相続財産が3億円を超えると税務調査に入られる可能性は高まるといわれているようです。

ただ、相続財産がそこまで多くない家庭でも次のようなケースは税務調査に入られる可能性が高いです。

生前の年収と申告財産に差があるケース

税務署は国民が生前にどの程度の所得を稼いでいたのかについて、KSKシステムという国のデータベースで完全に把握しています。そのため、人が死亡して相続が発生すると、税務署としては「この人の年収であれば、相続財産はこれくらいになるだろう」とある程度の予測を立てているのです。

例えば年収5,000万円の人が死亡した時に相続財産が5,000万円以下だったら、申告している相続財産としては非常に少ないですが、税務署側からすれば「怪しい」というフラグが立ちます。

このように、相続財産の多寡というよりは、生前の被相続人の収入と相続財産を比較した場合に極点に少ないと税務調査が入る可能性が高まるのです。

「お尋ね」をきっかけに税務調査が入ることもある

相続開始後6~8か月くらい経った頃に、税務署から相続人宛に、「相続税のお尋ね」という書面が郵送で届くことがあります。この「お尋ね」が、税務調査のきっかけになることがあります。

「お尋ね」は、同封されている書面に相続財産の内容を書いて税務署に返送する形式になっています。ただし、返送は義務ではありませんので、返送しなくても罰則を受けるようなことはありません。

「お尋ね」が届いた場合、既に相続税申告の準備を進めている人は、面倒であれば返送しなくてもよいでしょう。「お尋ね」は相続税申告を促すためのものですから、期限までに相続税申告書を提出すれば何の問題もありません。

注意しておかないといけないのは、相続税がかかるほどの財産がないため申告しないつもりの人や、財産はあるけれど相続税がかかることに気付いていなかった人です。

相続税がかかるほどの財産がない人は、「お尋ね」に対して返信しておくのが安心です。財産状況を偽りなく記載し、相続税申告が不要である旨の回答を返送しましょう。

一方、「お尋ね」が届いたのをきっかけに、相続税の申告が必要であることに気付いた人は、早急に準備を進めなければなりません。

税務署は亡くなった人の財産状況をだいたい把握しています。その上で、相続税がかかると思われる人に「お尋ね」を送ってきます。もし「お尋ね」が届いたのに回答せず、相続税の申告もしない場合には、高い確率で税務調査の対象になると考えられます。

 

こんな人は税務署に狙われやすい!

税務署は、税務調査の対象者を適当に選んでいるわけではありません。「相続税をきちんと申告していないのでは?」と思われる人のところには、税務調査に入って確認することが多くなります。

たとえば、亡くなった人が以下に該当する場合には、税務調査に狙われやすくなるので注意しておいた方がよいでしょう。

タンス預金をしている人

亡くなった人が現金を残していたけれど、「タンス預金」であった場合、相続税をきちんと申告していなければ税務調査の対象になる可能性が高くなります。

タンス預金をしていれば相続税を申告しなくてもバレないと考えている人もいますが、年収に対して申告財産が少ないとまず疑われます。

テレビなどでタンス預金がバレる瞬間がよく報道されていますが、なぜ税務署が自宅の地中に埋めている現金を掘り当てることができるのかというと、それはタンス預金があると確証を持って税務調査に来ているからです。

生前にこれだけ稼いでいるのに、そのお金はどこに行ってしまったのか、この部分について税務署は徹底的に追及をしてきます。言い逃れはできませんから、タンス預金がある場合にも相続税の申告はきちんとしましょう。

貸金庫に多額の現金を隠している人

亡くなった人が銀行の貸金庫の中に多額の現金を隠していた場合も、相続税申告を正しく行っていなければ、税務調査に入られることがあります。

 

海外送金している人は注意

亡くなった人に海外送金履歴がある場合、高い確率で税務調査の対象となります。特に、100万円以上の海外送金を行っている場合には要注意です。

海外へ資産を移すことにより節税しようと考える富裕層は多くなっています。海外には「タックスヘイブン」と呼ばれる、税金がかからないか、あるいは税金がかかっても税率がきわめて低い地域があります。資産を海外に移して課税を回避しようと考える人は少なくありません。

しかし、税務署は100万円以上の国外送金の情報について、金融機関から入手できるようになっています。高額の現金を海外へ送金している場合、資産隠しを疑われ、税務調査に入られる可能性が高いでしょう。

最近は、海外不動産投資など、海外に投資する人が増えています。資産隠しをするつもりはなくても、脱税を疑われることもあります。海外送金をする人は今後も増えると思いますので、相続税申告の際に十分気を付けましょう。

ちなみに、亡くなった人が国内居住者であった場合には、海外にある財産に対しても相続税が課税されます。海外に資産を移しても、相続税の課税を逃れることはできないことも知っておきましょう。

高額所得者が少ない地域に住んでいる人

相続税が課税されるのは、基礎控除額以上の遺産があるケースです。基礎控除額は法定相続人の人数によって変わりますが、相続人が1人なら3,600万円です。

基礎控除額を超えると直ちに税務調査の対象になるわけではありません。一般に、高額所得者は追徴できる税金も多くなるので、高額所得者ほど狙われやすくなります。

ただし、税務調査の対象者に選ばれる所得の目安は国内どこでも同じではなく、地域によって異なります。特に、地方などで高額所得者が少ない地域に住んでいる人は、中程度の所得でも税務調査の対象になることがあります。

税務調査に入られるのは、何億も財産がある人ばかりとは限りません。

あくまでその地域における所得を基準に判断されます。自分の家は財産が少ないから大丈夫と思っていても、税務調査に入られる可能性は地域によっては十分あるのです。

 

ギャンブル好きだった人

生前ギャンブルが好きだった人も、税務調査のターゲットとなりやすいでしょう。多くの所得を稼いでいても、ギャンブルで浪費していれば、資産があまりないことがあります。つまり、ギャンブル好きの人が死亡すると、稼いでいた所得と相続財産の間に大きな開きが出てしまいます。

浪費していたとはいえ、ギャンブルにお金を使っていたこと自体は違法ではありません。つまり、税務調査に来られても、ギャンブルで浪費していたことを証明できれば、特に問題はないということです。

 

まとめ

税務調査に入られると84%の確率で追徴課税されるので、自分が対象にならないか心配して聞いてこられる方がたくさんいます。

相続税の税務調査は非常に厳しく行われますので、少しでも心配な部分があれば税理士に相談して申告の時点でクリアにしておくことが1番の対策となるでしょう。

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