相続税 2020.02.28

ふるさと納税で相続税が節税できるメカニズムを徹底解説

節税対策として注目を集めているふるさと納税ですが、実は相続税の納税においてもふるさと納税を活用することで大幅に節税することができます。

そこで本記事では、ふるさと納税で相続税などの税金が節税できるメカニズムについてわかりやすく解説していきたいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

ふるさと納税ってなに?

そもそもふるさと納税とはどんな制度かご存じでしょうか?

ふるさと納税とは自分で選んだ地方自治体に一定の寄付をすることで、その地方の特産品などの返礼品が受け取れるという制度です。

ふるさととはいうものの、自分の地元に限らず好きな地方自治体に寄附することができます。

また、納税方法も非常に簡単でインターネットでふるさと納税と検索すると通販サイトのように返礼品を選べるようになっているので、若い人でも気軽に利用が可能です。

ふるさと納税が人気のわけ

ふるさと納税の人気が高まっているのは返礼品の充実度もありますが、それ以上にメリットとなっているのが節税です。

ふるさと納税を利用して地方自治体に寄附をすると、寄附した金額から2,000円を差し引いた全額について翌年に納税する住民税や所得税から還付式で控除を受けられるという非常に大きな特典があります。

ただし、控除できる金額には上限があり本人の年収や家族構成によっても異なりますので、ふるさと納税をする際には自分自身の上限金額を調べておくことが重要です。

節税効果で一躍人気になったふるさと納税ですが、最近では住民税や所得税だけでなく相続税についても節税効果があると話題になっています。

 

ふるさと納税と相続税

相続税とは

相続税とは、被相続人(亡くなった方)の財産を受け継いだ際に、その財産を受け継いだ人にかかる税金のことです。受け継いだ遺産のうち、非課税のもの、債務・葬式費用等を差し引いたものに対して相続税がかかります

ふるさと納税を活用すれば相続税を節税することができる

相続税にはいくつかの控除制度がありますが、相続が開始してからでも受けられる控除制度としてふるさと納税が注目されています。

相続によって遺産を取得した人が相続税申告期限である10ヶ月以内にふるさと納税をした場合、納税した全額が相続税の課税対象から除外されるのです。

そもそもふるさと納税は納税という文言にはなっているものの、税務上の取り扱いはあくまで寄附であり税金ではありません。

一定の団体に寄附する寄付金については、相続税が非課税となることからこの規定がふるさと納税にも適用されているのです。

ただし、寄附する予定でも相続税申告期限である10ヶ月以内に実際に寄附をして領収書等をもらわなければ、将来的に寄附をする予定でも控除ができなくなるため相続税の節税にはなりません。

また、相続税は遺産を取得した全ての人が必ず納めなければならないものではありません。

取得した相続財産の総額が基礎控除額以下の場合は、納税の必要はないのです。

基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。

もし、相続した遺産が基礎控除額を上回るようだったら、上回った額に相続税がかかるので、その分をふるさと納税として寄付するのが良いでしょう。

 

ふるさと納税を行なった際の確定申告について

ふるさと納税を行った分の控除を受けるためには、原則として翌年の3月15日までに管轄の税務署で確定申告をする必要があります。

確定申告には、寄付をした自治体が発行した寄付金受領証明書が必要となりますので無くさないようにしましょう。

また、サラリーマンなどで確定申告の必要がない方や、ふるさと納税のためだけに確定申告をしなければならない方などのために、ワンストップ特例といって、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、寄付した自治体に送付すれば確定申告は行う必要が無いという制度があります。

ただし、1月1日~12月31日までに寄付した自治体が5自治体以下であることが条件です。

また、相続した遺産の総額が基礎控除額を上回っていた場合には、原則として相続税の確定申告が必要となりますので、節税としてふるさと納税を行った際は、確定申告が必要であるケースがほとんどだと思います。

この場合、確定申告をした時点でワンストップ特例の申請が無効になるため、確定申告で再度ふるさと納税の寄付金控除の申告をする必要があります。

基礎控除額を上回った場合の相続税対策としてふるさと納税を行うのであれば、ワンストップ特例を使用せず、確定申告を行う必要があると考えて準備しておくべきでしょう。

 

ふるさと納税で相続税を節税するための要件

ふるさと納税した金額を相続財産から控除するためには、以下の要件を満たす必要があります。

・遺言書による寄附ではない

・ふるさと納税をする前に遺産分割協議が終わっていて、預金の名義変更なども終わっている

・現預金以外の相続財産については換金せずに寄附する

・相続税申告の際に寄附証明書を添付する

・相続税申告期限内(10ヶ月以内)に寄附が終わっている

ちなみに、遺言書による寄附についてはもともと相続税が課税されません。

この場合は公益性の高い法人に限らず営利目的の株式会社への寄附についても遺言書によるものであれば相続税は課税されません。

ただし、相続税を減らす目的で同族会社などに寄附をする場合は相続税が課税される可能性があります。

 

ふるさと納税以外で相続税が節税できる寄附先

遺言書で遺産を寄附するように指定されていれば、寄附先については非常に幅広く限定されてはいませんが、相続人自身の意思で寄附をする場合については、一定の条件を満たしている団体でなければ相続税の非課税特例を受けられません。

基本的には以下に該当する団体で、公益性などがあるところに限定されます。

・国

・地方公共団体

・公益社団法人

・公益財団法人

・特定公益増進法人

・特定公益信託の信託財産として

・認定NPO法人

・政党

・政治資金団体

・一定の公職候補者

また、公立学校の入学にあたって行う寄附については相続税の控除対象にはなりません。

 

ふるさと納税で相続税を節税する際のポイント

ふるさと納税は相続が発生してからでも使える節税対策という点では非常に利用しやすいわけですが、注意しなければならないのは遺産分割です。

ふるさと納税をして控除を受けるためには、前提として遺産分割が終わっていなければならないため、遺産分割で相続人同士がもめているような場合については相続税の申告期限である10ヶ月に間に合わなくなる可能性があります。

そのため、ふるさと納税を利用して相続税を節税したい場合については、相続開始後早めに協議を始めて相続人同士が折り合いをつけることが重要です。

 

まとめ

ふるさと納税は所得税や住民税の節税として非常に注目されてきましたが、実は相続税についても節税効果があるということがお分かりいただけたでしょうか。

ふるさと納税は寄附ではあるものの、特産品やサービスなどの返礼品が受け取れるという大きなメリットがありますので、ほかに有効な節税対策が見つからず困っている方はぜひふるさと納税を活用してみてください。

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