相続税 2020.03.09

111万円贈与の落とし穴!税務調査を誘発するわけとは

相続税の節税対策として生前贈与を活用する人が増えているようです。
生前贈与には年間110万円という基礎控除額があるので、長期的に活用することで多くの財産を非課税で次の世代へ移転することができます。

そんな中一部の人があえて111万円の贈与税申告をして贈与をした記録を残す対策をとっているようなのですが、実はこれやり方を間違えると大変危険です。

そこで本記事では、111万円贈与をする理由と間違ったやり方の特徴などについて詳しく解説します。

生前贈与をしている人や検討している人は、ぜひ参考にしてください。

記事ライター:棚田行政書士

111万円贈与をする意図とは?

そもそも贈与税の基礎控除額は年間110万円なので、その金額以下で贈与をしたほうがわざわざ贈与税申告をする必要もありません。

にもかかわらず、なぜあえて基礎控除額を超えて111万円の贈与をする人がいるのでしょうか。

贈与を否定されるとダメージがデカい

111万円贈与をしている人の目的は、「贈与をした証拠を残すこと」にあります。

生前贈与をしている人が一番心配していることは、税務署に贈与の事実を否定されることです。

そもそも生前贈与の問題が発覚するのは、ほとんどの場合で相続税の税務調査の時になります。相続税の税務調査ではあらゆる点について税務署の厳しいチェックが入りますが、中でもよくある指摘が「贈与の不成立」です。

例えば年間100万円ずつ子供に贈与していたとしても、それが子供名義の口座にお金を送金しているだけで、実質的に口座を管理しているのが贈与した側だったりすると生前贈与自体がなかったものとして扱われ、まとめて相続税が課税されてしまうのです。

継続して行っている贈与を否定されると、かなりの相続税が課税されてしまうため、納税者側は贈与をした証拠をできるだけ残そうと、あえて111万円贈与をして税務署に贈与税申告をすることで税務署に対して「贈与しましたからね」という意味で証拠を残しているのです。

 

111万円贈与の落とし穴

111万円贈与で贈与の証拠を残すことは決して悪いことではないのですが、雑なやり方をすると税務調査を誘発する可能性があるので注意が必要です。

例えば次のケースに心当たりのある方は、やり方を修正することをおすすめします。

1:贈与税申告書を贈与者が書いている

本来贈与税申告は贈与を受けた人が贈与税申告書を作成して申告しなければなりません。

ですが、節税目的で贈与をしている人の多くは、贈与していることを相手に伝えていないことが多いので、贈与税申告書も贈与した人が書いて申告しているケースが多いのです。

最近では電子申告や国税庁のホームページで入力して印刷するといった方法もありますが、高齢の方はまだ手書きで贈与税申告書を作成するケースがよくあります。

筆跡を確認されます

相続税の税務調査が入ると、当時の贈与税申告書を全部確認されます。

この時に代筆して贈与税申告書を提出していることがバレると、自ら贈与が不成立だったことを証明してしまう恐れがあるのです。

そこまで確認するの?と思うかもしれませんが税務署側は誰が申告書を書いているのかを細かく確認するので、別の申告書の筆跡と照らし合わせて贈与者の筆跡と同じだとわかれば、贈与は否定されてしまい相続税が課税されてしまうのです。

2:贈与税を贈与者が払っている

贈与税は贈与を受けた人が納税する義務を負っているのですが、孫に贈与しているような場合は贈与者が贈与税も負担しているケースがとても多いです。

例えば、孫の贈与税を祖父の銀行口座から引き落としで納税していると、相続が発生した時に贈与が成立していないとの指摘を受ける可能性があります。

そのため、111万円贈与をするのであれば必ず贈与税は本人に負担させましょう。

本人が未成年の場合はどうする?

孫に贈与するような場合は、孫が未成年ということもよくあります。

その場合は親権者である親が贈与税申告書を作成して納税すれば問題ありません。

贈与した人が贈与税申告書を作成して納税まで済ませてしまうと、実質的には贈与が成立していない証拠を自ら残してしまうことになるので絶対にやめましょう。

 

まとめ

税務署の見解によると、贈与税申告の記録は贈与があったという1つの証拠にはなりえるものの、贈与税申告だけを以て贈与の成立が認定されるわけではないそうです。

つまり、111万円贈与で贈与税申告をするだけでは100%贈与とは認められない可能性があるということになります。

生前贈与をする際には、贈与契約書を作成するなどほかの対策も一緒に講じることをおすすめします。

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