相続税 2020.05.08

会社の相続は要注意!事業承継対策が必要な理由とは

相続の対象となる財産としては、預金や不動産がオーソドックスなところですが、実は扱いに注意しなければならないのが株式です。

株式の相続と聞いてもピンとこないかもしれませんが、会社経営者の方がお亡くなりになるとこの問題が浮上してきます。

そこで本記事では、株式相続でもめないための事業承継対策のポイントなどについて詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

株式相続とはなにか

会社の経営者の方が亡くなられた場合、代表取締役という地位自体が相続人に相続されるわけではありません。この場合、経営者が保有していた「株式」が相続の対象となります。

ですから、中小企業の同族会社の場合、株式の100%を経営者が保有しているというケースが大半なので、経営者が死亡したらその株式を相続人で分けることになるのです。

これが株式相続です。

株式相続がもめるわけ

相続人が複数いる場合の相続において、株式以外の相続財産がそれなりにあればうまく遺産分割できることもありますが、主だった財産が株式だけの場合は取り分をめぐって相続人同士でもめることがよくあります。

例えば相続人が長男と次男だった場合で、長男は従前から被相続人である父親が経営する会社で後継者候補として働いていて、次男は自由に暮らしていたというケースだとします。

この場合、次男に会社の1/2相当の金銭などを長男が支払う、もしくは割り当てられる同等の相続財産があればよいのですが、ないとなると会社の経営に一切関与してこなかった次男が、株式の1/2の相続を主張してくるのです。

このように、会社経営を一切知らない相続人が株式を取得して会社経営に口を出し始めるというケースがよくあり、そしてこれが会社の倒産する原因になっているともいわれています。

 

株式相続でもめないための対策

株式相続でもめないようにするためには、株式譲渡や贈与によって生前から計画的に株式を移転させることが大切です。

先ほどのケースであれば、経営者が生きている間に自分の保有している株式を長男に移転しておくことがとても大切です。

ただし、譲渡すれば所得税、贈与すれば贈与税が課税されることを忘れてはいけません。

非上場企業の株式評価額の計算方法は複雑なのでここでは詳しくお話ししませんが、簡単にいうと会社の業績などに大きく左右されます。

生前贈与であれば、任意のタイミングで贈与することができるので、一定の対策を行って株式評価額が下がったところで移転すれば、税金の負担を大きく軽減することができます。

また、生前に移転しておくことで相続発生時に、次男に会社の経営に口を出される事態も回避できるのです。

 

遺言書による対策

ここまで聞くと、相続にある程度詳しい方であれば「遺言書を書けば問題ない」と思うかもしれませんが、実は遺言書を書くだけでは問題は解決しません。

例えば「すべての財産を長男に相続させる」という遺言書を書いたとしても、次男には遺留分という法律で保護されている取り分があるので、次男が納得しなければ遺留分相当の遺産は次男が相続することになります。

従来までは、次男が遺留分権を行使すると、会社の株式は1/4を持っていかれてしまう運用でした。

それが2020年の民法改正によって、遺留分減殺請求が「遺留分侵害額請求」に改正となったことで、長男が次男に遺留分相当の金銭を支払えば、長男が株式を100%相続することが可能になりました。

よって、遺言書で株式相続対策を検討する場合は、次のような対策が必要となります。

代償金対策

遺言書で指定すれば、後継者以外の人間に株式を取得されずに済む可能性は出てきましたが、後継者が遺留分相当の代償金を準備できなければ目的を達成できません。

そこで重要になってくるのが、代償金対策です。

代償金は金銭で支払う必要があるので、相続開始時にまとまった現金が後継者の手元に準備できている必要があります。

貯蓄しておくという方法もありますが、効率の面から考えると「生命保険」を活用するという方法も有効です。

被相続人に生命保険をかけておき、保険金の受取人を後継者に指定しておけば、相続開始とともに後継者に保険金が支払われるので、それを代償金の財源とすることができます。

保険金額は加入時に任意で指定できるので、会社の株式評価額などを参考に決めればよいでしょう。

 

まとめ

株式相続は何の対策もないまま相続が開始すると、遺産分割が泥沼化して会社経営に影響をきたす可能性があります。

遺言書を残すのも対策の1つですが、できれば生前贈与によって自分が生きているうちに次の世代へ正しく移転しておけば、後継者以外の親族の経営への介入は阻止できるでしょう。

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