土地・不動産 2017.11.16

不動産を相続したときの登記方法

相続により発生した不動産をご自身名義に変えることを移転登記といいます。意外と知らない方が多いのですが、不動産である土地の移転登記はそんなに難しくありません。自分でやってみれば、いい勉強になるうえにお金の出費もなくなります。ここでは、不動産を相続した場合、移転登記するために必要な知識をご紹介していきます。

記事ライター:朝陽行政書士事務所

土地の登記方法

あなたの親族がお亡くなりになって、遺産相続協議をした結果、もしくは遺言書の内容によって、あなたに故人名義で登記された不動産が相続されたとしましょう。なお、相続においての不動産とは、宅地、農地などの土地、又は家屋などのことです。

その時まず一番にすることは、市役所等で必要書類を集めて、法務局に相続した不動産の所有者移転登記することとなります。

ひと昔と違って、役所も法務局も優しく対応してくれます。特に急いでいるとか、仕事が忙しく手間をかけるならお金を払った方が楽ということでなければ、頑張ってご自身で相続した不動産の移転登記をしてみることをお勧めします。

登記に必要な物

相続で手に入れた不動産を移転登記しようとした場合、まず法務局に予約し、相談するところから始めます。法務局によっては相談時間を20分から30分と区切っているところもあります。

何の用意もなく一から説明を受けていては、専門家に頼んだ方がよいとアドバイスされてしまいますので、必要な書類は用意していきましょう。その上で書類に不備があれば修正する箇所を教えてくれますし、書類が足りなければ追加する書類を求められます。

ではどんな書類が必要なのか、相続で登記すべき不動産を手に入れた場合のご説明いたします。

必要書類一覧 ( 遺産分割協議書 )

申請書類以外の書類は銀行引き出しに使用するため、遺産分割協議書を作成するときにそろえる方がほとんどです。そのため、そちらの書類を使用すればいいでしょう。

この場合、金融機関などでコピーでなく原本をくださいと請求された時には「原本還付でお願いします」と申し出ればよいでしょう。それでもなお金融機関で原本を請求された場合は、改めて取り直すしかありません。

まだ始まったばかりの制度であまり浸透していないものですが、あらかじめ法務局で「法定相続情報一覧図」を作成しておけば、各銀行に書類の束を持っていく必要はありませんのでその制度を利用しても良いでしょう。

1.申請書
法務局のホームページから登記申請書の様式21番(所有権移転申請書)を選びプリントします。記入はこの用紙に行います。

2.相続が発生したこと及び相続人を特定するための証明書
被相続人(お亡くなりになった方)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、相続人となる方全員の現在の戸籍謄本。

3.有効な遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明及び住民票

4.登録免許税(収入印紙)

収入印紙の価格は、該当する不動産の固定資産課税台帳記載事項証明書(評価証明書)の価格の1,000分の4の額となります。

以上のものをもって法務局に登記しに出かけましょう。ご自身の不動産の手続きだけであれば、必要書類さえあれば一人で手続きが行えます。なお、登録免許税に使う印紙は法務局で売っていますので、相談窓口で額を確認してから当日に法務局で購入する方がいいでしょう。計算が間違っていると印紙が無駄になってしまいます。

必要書類一覧(法定相続分)

法定相続分で不動産を共有にするときには、上記 1 の申請書を登記申請書の様式20番(所有権移転申請書 法定相続用)に差し替えます。

2,4 に関してはそのままです。法定相続分で分割する場合には、相続人全員で手続きを行わなくてはいけません。一人の方に任せるときは他の相続人からの委任状を作成しておきましょう。

 

数次相続

少し手続きが面倒なことになるのが数次相続というものです。

これは、相続手続きの最中、まだ先の相続移転登記が終わっていない間に相続人が亡くなってしまった場合のことをいいます。このような場合にはさすがに手間がかかり、相続関係がわかりにくくなりますから、専門家の意見を聞きながらじっくりと遺産分割協議を進め、その結果をもとに法務局で相談をして不動産の相続などの移転登記を進めていくことをお勧めします。

また、このような場合にでも遺産分割さえしっかり行えば、ご自身での数次相続による不動産の移転登記は可能です。

 

まとめ

遺言書が残されていなかった場合、土地、建物の不動産は大きく分けて2つの分け方を利用します。

1つ目は、遺産分割協議書を作成しての一筆ごとの個別登記で、建物に関しても一人の方が登記します。

2つ目は、協議中にトラブルが起きにくいように全ての不動産を共有化する方法です。

なお、今回の記事では、これら2つの方式の相続形態に合わせ、不動産相続の登記方法を記載しました。

どちらの方法で分割するかは相続人間での話し合いになります。しかし、より手続きも楽で将来にわたり手間のかからない方法は、一人が一筆ずつで分割していく方法だといえます。相続した不動産の移転登記をするときには、将来のこと、つまり次の相続人のことも考えて遺産を分割していくことが肝心です。

先に記載したとおり、法務局の相続による不動産の移転登記は難しいものではありません。不動産登記の知識も身につきますので、この記事を参考にしてぜひ、ご自身で移転登記していただければと思います。

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