土地・不動産 2018.01.11

土地を生前贈与する際のポイント

生前贈与による主な相続税対策は、相続財産を減らすこと・配偶者の税額控除や養子縁組制度を活用すること・そして土地や不動産などの財産価値を下げることの3点です。

この記事では、生前贈与として空地になっている土地にアパートを建てること・住宅地にある広い土地の評価を下げること・単価の安い土地を単価の高い土地に買い換えることなど、土地を生前贈与する際に行える効果的な相続税対策について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

空地になっている土地にアパートなどを建てる

生前贈与する土地が空地の場合、そこにアパートなどを建てることで、主に次の2つの要素による相続税対策が可能です。

1.土地の相続税評価額が下がる

生前贈与する土地にアパートなどの賃貸物件を建てると、その土地は「貸家建付地」となります。生前贈与する土地を空地のままで持っているよりも、貸家建付地にして生前贈与した方が土地の評価額は下がるので、効果的な相続税対策ができるのです。

 

貸家建付地の評価額は、次の計算式で算出します。

貸家建付地評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

2.建物の相続税評価額が下がる

生前贈与する土地に賃貸物件を建てると、自宅や別荘など自用建物の評価額と比べ、建物の評価額は低くなります。

 

貸家の評価額は、次の計算式で算出します。

貸家評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 

住宅地にある広い土地の評価を下げる

広い土地をそのまま生前贈与しようとすると、多額の相続税が課される可能性があります。条件を満たす土地ならば、別の評価基準で評価額を算出することができるため、効果的な土地の生前贈与が可能になります。

なお、同制度については法改正が行われており、贈与や相続するタイミングによって制度が異なります。

平成29年12月31日まで:広大地評価

平成30年1月1日以降:地積規模の大きな宅地の評価

 

それぞれの適用要件について解説します。

広大地評価の場合

1.その地域の標準に比べて、著しく広い土地であること

生前贈与する土地が、地域の標準より著しく広いかどうかがポイントです。どれくらいの面積なら広いのかという明確な定義はありませんが、自治体が定める開発許可基準面積より広いということがひとつの目安となります。

一例として、大都市圏の市街地で500㎡以上の土地があるならば、広大地評価が適用される可能性が高まるでしょう。ただしこれはひとつの目安なので、地域や自治体により正確な数値は異なります。

 

2.マンションなどの集合住宅の建設に適していないこと

生前贈与する土地が、戸建分譲素地とするのが最も有効な土地であり、マンションなど集合住宅の敷地として適していないことも条件です。実際に建設できるかできないかだけでなく、地域で需要があるのかなどの要素も考慮されます。

区域内に道路などが必要であること

生前贈与する土地を戸建住宅分譲地として開発した場合に、道路や公園など公共公益的施設を設ける必要があるかどうかも条件です。公共公益的施設の部分は売買の対象外のため、その土地の取引価格が低くなることが考えられるためです。

 

地積規模の大きな宅地の評価の場合

認定の基準が曖昧だった広大地評価に代わって新設された評価制度です。適用要件が以下のように明確になりました。

 

地積の要件:三大都市圏500㎡その他の地は1,000㎡以上

地区区分の要件:普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区のみ

容積率:400%以上の土地は適用されない(東京都23区は300%)

 

広大地評価では「広大地補正率」という数値によって減額されていましたが、土地の形状についての情報が反映されないことから廃止となりました。

代わって導入されるのが「規模格差補正率」です。

 

具体的な計算方法は以下のとおりです。

地積規模の大きな宅地の評価額 = 路線価額 × 各種補正率 × 規模格差補正率 × 地積

 

広い土地を生前贈与する際には、これらの評価基準が意識されることが多くなりますが、適用されるかどうかの判定は初心者にはなかなかわかりません。

これらの制度を利用して土地の生前贈与を検討する場合は、必ず税理士に相談することをおすすめします。

 

単価の安い土地を単価の高い土地に引っ越す

土地を一定の広さの範囲内で単価の高い土地に買い換えるという方法もあります。これには「小規模宅地等の減額特例」という制度が使えます。

特例では、相続税の評価額の計算において、330㎡までの地積の居住用宅地の場合、80%の減額特例を受けられます。もし土地が330㎡以上の広さだと、減額対象外の部分が残ることになってしまいます。

この場合、買い換えして引越しする土地を330㎡未満の敷地に買い換えることで減額特例をもっと効果的に受けられるようになるのです。

つまり評価額が同じ土地であっても、単価の安い田舎の土地から単価の高い都市圏の土地へ買い換えることで地積が狭くなり、小規模住宅等の減額特例をより効果的に活用することができるようになるのです。土地の売却を検討する場合は、この減額特例の仕組みも念頭に置いておきましょう。

 

 

まとめ

土地を生前贈与する際にできる節税対策のアイディアとしては、空地に賃貸住宅を建てることや広大地評価を利用すること、一定面積以下の単価の高い土地に買い換えることなどがあります。

中には適用や判定にたくさんの時間が必要なものもありますから、土地の生前贈与や売却を決めたなら、早めに行動を起こすようにしましょう。

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