土地・不動産 2018.02.13
遺産相続で不動産を相続する場合の注意点
遺産相続で、価値のある財産を相続できるのは嬉しいことです。遺産相続の際に、現金や預金以外に相続することの多い財産に、不動産があります。
不動産はあらゆる面で利用価値があり、相続人に大きなメリットをもたらすものですが、遺産相続で不動産を相続する際には注意しなければならない点もあります。
ここでは、遺産相続で不動産を相続する場合の注意点について、詳しく説明します。
不動産の管理責任や納税義務を果たせるか
遺産相続で不動産を相続することで、自分がそこに住んだり賃貸物件として貸し出したりすることも可能になります。
しかし不動産の所有者となることには、不動産の維持管理費用をまかなうことや、固定資産税などの税金を納めることが必要になってきます。
費用や手間がかかるからと維持管理を怠ると、不動産はどんどん傷んでいきます。それが原因となって近隣の建物に損害を与えてしまったり、そばを通っていた人にケガをさせてしまったりと、不動産の所有者が過失を問われてしまいます。
また、納税が長期間滞れば、不動産を持ち続けることは難しくなります。遺産相続で不動産を相続することを検討する場合は、所有者としての責任を果たしていけるかどうかを慎重に考えましょう。
遺産相続で得た不動産を公平に分配するのは難しい
不動産は現金などと違い、公平に分割することが非常に難しい財産です。遺産相続において、相続人全員が納得する仕方で不動産を含む財産を分配するためには注意が必要です。
遺産相続において不動産を公平に分配するには、次の4通りの方法があります。それぞれのメリットとデメリットも含めてご紹介します。
1.現物分割
遺産相続の際に、家と土地は配偶者へ、事業と預貯金は長男へ、有価証券と貴金属類は長女へなど、相続人それぞれに異なる種類の財産を分配する方法が現物分割です。
メリットは、分割方法が簡明であること、また現物の財産をそのままの形で相続できることです。
デメリットは、遺産相続における各相続人の相続分通りに分けることが非常に困難であることです。
2.共有分割
遺産相続した財産の一部、あるいは全部を相続人全員で共有することです。遺産相続によって不動産を共有する場合は名義が共有名義となり、相続人それぞれが持分に応じた権利を持つことになります。
メリットとしては、不動産を公平に分割することが可能になる点と、不動産の現物をそのまま残しておくことができる点です。
デメリットとしては、所有者が複数になることで不動産を利用したり処分したりする上での自由が制限されることです。
共有する相続人のうちの誰かが「不動産を売却して現金に換えたい」と言い出しても、別の相続人が「賃貸物件として貸し出して家賃収入を得るべきだ」と主張するなら、所有者同士で衝突してしまい円満解決が難しくなるでしょう。
また、共有している相続人の誰かがまた別の遺産相続の相続人になったりすると、共有してる相続人の間の利害関係は複雑になっていきます。
3.換価分割
遺産相続で得た不動産などの財産を売却してしまい、現金に換えて各相続人へ均等に分配する方法です。遺産相続で不動産を取得した場合、よく用いられるのがこの換価分割です。
メリットとして、遺産相続で得た不動産など分割しにくい財産でも公平な分割が可能になること、先に紹介した現物分割では相続分を満たせない相続人がいても、換価分割によって得られた現金で補てんすることが可能になる点です。
デメリットは、せっかく遺産相続で得た不動産の現物が手元に残らないこと、売却に手間がかかるうえに希望する時期に売れない可能性もあること、売却できた際に得る譲渡益に対し、所得税と住民税がかかることです。
4.代償分割
遺産相続における相続人のうち1人が不動産の現物を所有し、他の相続人へは遺産相続における相続分の差額を現金で支払う方法です。
メリットとして、遺産相続で相続した財産の多くが不動産や事業用資産や農地の場合、代償分割によってそれらを現物のまま残すことで、後継者に相続させることが可能になります。
デメリットは、他の相続人の相続分の差額として渡すためのまとまった現金(代償金)が必要になることです。
遺産相続の状況はケースバイケースなので、遺産の状況や相続人の事情に応じて最もふさわしい不動産の分配方法を検討しましょう。
不動産の相続は慎重に
遺産相続で不動産を相続することには、所有者としての管理責任や分配の難しさが付いて回ります。遺産相続で得た不動産を現物で残したいのか、それとも現金に換えた方が良いのか、各自の状況を考えて、最適な仕方で不動産を相続できるようにしましょう。
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