土地・不動産 2018.05.13
土地の等価交換手続きの流れを紹介
資金をほとんど、あるいはまったくかけずに新たな土地や建物を取得する方法に、等価交換という手続きがあります。等価交換とは、価値が同等のものと交換する取引形態です。
土地の等価交換手続きは、等価交換する土地を決定することから始まり、確定申告で譲渡益の申告手続きをすることで終了します。ここでは、土地を等価交換によって取引する際の手続きの流れについて解説します。
手続きその1. 等価交換する土地を決める
まずは、等価交換で取引する土地を決めます。
宅地や雑種地であればスムーズに手続きできますが、等価交換しようとしている土地または交換対象の土地が農地である場合は、農地法第3条による許可が必要となります。
農地の取引に許可が必要なのは、誰でも気ままに農地を取得してしまうことで、国内の限りある農地面積が減少し過ぎることのないようにするためです。
農地法の許可無しでも等価交換自体は行うことができますが、許可のない農地の等価交換は法的には無効のため、登記ができません。
それだけでなく、農地法に違反したとして罰則も科されますので、等価交換する土地が農地であるなら、事前に必ず許可を取りましょう。許可申請については、行政書士に手続きを依頼すると便利です。
手続きその2. 等価交換になるよう、土地の時価を調べる
等価交換のためには、土地の時価を正確に調べる手続きも必要です。土地の正確な時価が分かって初めて、その価値と等価になる交換対象を選定できます。
時価の計算は、しようと思えばできなくもありませんが、正確なものでなければならないため、プロである税理士に手続きを依頼するのが最善です。計算に間違いがあると、手続きを遡ってやり直す必要も出てきます。
手続きその3. 土地の時価をもとに、等価交換する割合を決める
土地の全部を等価交換するのか、あるいは一部を等価交換するのかを決めます。交換対象の不動産と同等の価値になるように割合を決めるなら、課税の繰り延べなどの税制上の特例を受けられる場合があります。
手続きその4. 等価交換する土地の分筆を行う
土地の一部を等価交換する場合には、交換する部分に対して分筆の手続きを行います。分筆手続きには測量も必要になるため、土地家屋調査士に依頼します。
測量は素人が行えることではないため、土地の広さなどに応じた費用がかかることを覚悟しておきましょう。測量費として50万円程度はかかる可能性があることは覚えておいてください。
手続きその5. 交換契約を締結する
ここまでの手続きが済んだら、等価交換の契約を締結します。
手続きその6. 土地の登記手続きを行う
契約後は、速やかに等価交換した土地の登記手続きを行います。必要になる書類は、次のとおりです。
1. 登記原因を証明する情報
交換契約書など
2. 権利証
登記済証または登記識別情報
3. 印鑑証明書
登記義務者の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
4. 住所証明書
土地の権利者の住民票または土地の権利者の戸籍の附票
5. 評価証明書
等価交換した土地の固定資産評価証明書または納税通知書
6. 第三者の許可を証する書面
農地法の許可証(農地を等価交換した場合のみ)
登記手続きの時には、登録免許税も納税します。税率は、土地の評価額の20/1000です。
手続きその7. 確定申告を行う
等価交換において金銭の授受がなく、物々交換に終わっても、必ず確定申告は済ませましょう。確定申告をしていれば課税されなかったはずの等価交換取引でも、確定申告がされていないと課税される場合があります。
原則として、個人が土地を譲渡した場合には、所得税と住民税が課されます。譲渡した土地を5年以上所有していたのか、5年未満の所有だったのかにより、所得税と住民税の税率は異なります。
等価交換で取引したのが土地同士、建物同士など、同一種類の不動産であった場合には、譲渡がなかったものとして課税を繰り延べる「固定資産の交換の特例」が利用出来る場合もあります。ただし、所定の要件をすべて満たす必要があります。
まとめ
土地を等価交換によって取引する場合には、大きく分けて7つのステップを踏んで手続きをしていきます。税理士、土地家屋調査士、行政書士など、様々な専門家の手を借りて行う手続きも多々あります。
手続きのすべてを自分で行おうとすると多大な時間や労力を割くことになるため、予算が許すのであれば、土地の等価交換に強い専門家にすべて任せてしまうことも検討してみてください。
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